――インフラやウェブサービスの事業者たちが見据えているような大きな時代の変化に、宇野さんの抱えていた問題意識がシンクロしていたということかなと思いました。
宇野 結果的に、僕自身も予想していなかった需要があったのだから、そうかもしれないね。 こういう問題意識のあり方は、そもそも僕の批評のモチーフと強く関わっているんだよ。例えば、僕は特撮が好きなのだけど、あれは「現実には存在しないキャラクターを一度造形物に落とし込んで半現実化したものを映す」という形でしか成立しない映像表現なんだよね。
一方で僕は、「現実そのものを映したもの」にも、「現実とは完全に断絶した虚構を映したもの」にも興味が持てない。本当に興味があるのは、特撮のように「まだ存在していないけど、これから存在する可能性があるもの」なの。それは個人的な趣味嗜好にも反映していて、だから特撮以外でも、絵画よりも立体造形物の方が好きで、模型も大好き。
このあいだ反響があったレゴ対談も、こうした興味の延長線上で作られている。
▼関連記事 【対談】根津孝太(znug design)×宇野常寛「レゴとは、現実よりもリアルなブロックである」
僕自身は、こういう感性というのは、現実に商品やサービスを制作して、それによって新しい文化やビジネスを生み出していくような動きにどこか親和性がある気がするんだよね。実際、イノベーションやマーケットの力というのは、まさに「まだ存在していないけど、これから存在する可能性があるもの」に力を与えていくものなわけでしょう。
その他の記事
![]() |
人はなぜ「モテたい」のか? いかにして集注欲求を昇華させるかが幸福のカギ(名越康文) |
![]() |
21世紀の民族大移動:大きくリフォーム中にある移民大国の今(高城剛) |
![]() |
食欲の秋、今年は少しだけ飽食に溺れるつもりです(高城剛) |
![]() |
気候変動に適応したポストコロナ時代の働き方を考える(高城剛) |
![]() |
川端裕人×オランウータン研究者・久世濃子さん<ヒトに近くて遠い生き物、「オランウータン」を追いかけて >第1回(川端裕人) |
![]() |
立憲民主党の経済政策立案が毎回「詰む」理由(やまもといちろう) |
![]() |
「考える」というのは「答えを出すこと」じゃないよ(家入一真) |
![]() |
「ストレスを溜め込まない」って、意味あります?(やまもといちろう) |
![]() |
武術研究者の視点—アメフト違法タックル問題とは? そこから何かを学ぶか(甲野善紀) |
![]() |
公共放送ワーキンググループがNHKの在り方を巡りしょうもない議論をしている件(やまもといちろう) |
![]() |
今週の動画「払えない突き」(甲野善紀) |
![]() |
あまり参院選で問題にならない法人税のこと(やまもといちろう) |
![]() |
「本気」という無意識のゴンドラに乗るために(名越康文) |
![]() |
『赤毛のアン』原書から、アイスクリームの話(茂木健一郎) |
![]() |
「あたらしいサマー・オブ・ラブ」の予感(高城剛) |