――インフラやウェブサービスの事業者たちが見据えているような大きな時代の変化に、宇野さんの抱えていた問題意識がシンクロしていたということかなと思いました。
宇野 結果的に、僕自身も予想していなかった需要があったのだから、そうかもしれないね。 こういう問題意識のあり方は、そもそも僕の批評のモチーフと強く関わっているんだよ。例えば、僕は特撮が好きなのだけど、あれは「現実には存在しないキャラクターを一度造形物に落とし込んで半現実化したものを映す」という形でしか成立しない映像表現なんだよね。
一方で僕は、「現実そのものを映したもの」にも、「現実とは完全に断絶した虚構を映したもの」にも興味が持てない。本当に興味があるのは、特撮のように「まだ存在していないけど、これから存在する可能性があるもの」なの。それは個人的な趣味嗜好にも反映していて、だから特撮以外でも、絵画よりも立体造形物の方が好きで、模型も大好き。
このあいだ反響があったレゴ対談も、こうした興味の延長線上で作られている。
▼関連記事 【対談】根津孝太(znug design)×宇野常寛「レゴとは、現実よりもリアルなブロックである」
僕自身は、こういう感性というのは、現実に商品やサービスを制作して、それによって新しい文化やビジネスを生み出していくような動きにどこか親和性がある気がするんだよね。実際、イノベーションやマーケットの力というのは、まさに「まだ存在していないけど、これから存在する可能性があるもの」に力を与えていくものなわけでしょう。
その他の記事
俺らの想定する「台湾有事」ってどういうことなのか(やまもといちろう) | |
日本人は思ったより働かない?(高城剛) | |
幻の鳥・ドードーの来日説を裏づける『オランダ商館長の日記』(川端裕人) | |
電気の「自炊」が当たり前の時代へむけて(高城剛) | |
新型コロナウイルスが浮き上がらせる様々な物事の本質(高城剛) | |
土建国家の打算に翻弄される南アルプスの美しい山並(高城剛) | |
週に一度ぐらいはスマートフォンを持たず街に出かけてみよう(名越康文) | |
「安倍ちゃん辞任会見」で支持率20%増と、アンチ安倍界隈の「アベロス」現象(やまもといちろう) | |
「小文字」で執筆中(平川克美) | |
週刊金融日記 第287号<イケメンは貧乏なほうがモテることについての再考察、小池百合子は出馬するのか他>(藤沢数希) | |
トレンドマイクロ社はどうなってしまったのか?(やまもといちろう) | |
真っ正直に絶望してもいいんだ(甲野善紀) | |
百田尚樹騒動に見る「言論の自由」が迎えた本当の危機(岩崎夏海) | |
フランス人の「不倫」に対する価値観(石田衣良) | |
週刊金融日記 第283号 <ショート戦略を理解する、ダイモンCEOの発言でビットコイン暴落他>(藤沢数希) |