1975年大阪生まれ。同志社大学を卒業後、三菱自動車京都を経て神戸製鋼所に入社。1999年ウェールズで行なわれた第4回W杯日本代表(FB)に選出。2007年に現役を引退し、現在は神戸親和女子大学講師。著書に『合気道とラグビーを貫くもの』(内田樹氏との共著、朝日新書)があり、ミシマ社WEBマガジンにてコラム(「近くて遠いこの身体」)を連載中。
「頭でわかる」だけでは足りない
初めて甲野善紀先生にお会いしたのは2005年。大阪で行われた稽古会に飛び入りで参加したときである。着物姿の甲野先生は著書で読んだ印象そのままで、道場の端に座していた僕は横目で先生を気にしながらやや緊張の面持ちで稽古会が始まるのを待っていた。
『古武術の新・人間学』を読んで僕は甲野先生を知った。そして興味を抱いた。「タメ」を無くす動きの研究、人間は頭の中に物語をつくって動いている、身体の中のオートとマニュアル、不安定の使いこなしなどについて書かれてあり、読書中はこれまで漠然と考えていたあれこれが氷解し、なるほどと膝を打つこと頻りであった。読み終えた瞬間に僕の世界は変わっていた。
私たちにもっとも身近にありながらその実態を掴むことがきわめて困難な身体と、真摯に向き合う先生の語り口がとても新鮮に感じたのを今でもはっきりと憶えている。
だが、当時の僕はラグビー選手であった(今も心根はそうだが)。グラウンド上でのパフォーマンスがすべてのスポーツ選手は、頭で考えるよりも身体で憶えることに慣れている。どれだけ考え方に納得したとしてもいざ身体を使って実践できなければ意味がないという世界でずっと生きているのだから、それはある意味で当然のことだ。
すなわち「頭でわかる」だけでは不十分で、「身体でできる」にまで至って初めて身についたことになる。
柔道選手をいなしたり、ものすごいスピードで真剣を振り回したり、「ホンマにそんなことできんのかいな」というのがこのときの本音で、だけど頁をめくる手が止まらず、読めば読むほどその世界に引きずり込まれてゆく。活字だけでは腑に落ちないながらも、貫徹した思考のもとに導き出される真摯な言葉にどうしても惹かれる。悩んだ末、これはもう実際にお会いしてこの目で確かめるしかないと決意したのである。
その他の記事
|
公開中映画『郊遊<ピクニック>』監督・蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)インタビュー 「俳優」「廃墟」「自由」を語る(切通理作) |
|
株の運用、まずはゲームから(石田衣良) |
|
明石市長・泉房穂さんの挑戦と国の仕事の進め方と(やまもといちろう) |
|
小商いと贈与(平川克美) |
|
出口が見えない我が国のコロナ対策の現状(やまもといちろう) |
|
重要な衆院三補選、戦いが終わって思うこと(やまもといちろう) |
|
家入一真×上祐史浩悩み相談「宗教で幸せになれますか?」(家入一真) |
|
季節の変わり目の体調管理(高城剛) |
|
テレビと政治の関係はいつから変質したのか(津田大介) |
|
自民党、まさかの派閥解消からの安倍派処分の強硬手段で政治資金ネタを有耶無耶にしてしまう(やまもといちろう) |
|
「AI色」の未来は避けられない(高城剛) |
|
マジックキングダムが夢から目覚めるとき(高城剛) |
|
rovi、TiVoを買収して何が変わる?(小寺信良) |
|
「常識の毒」を薬に変える(名越康文) |
|
そんなに「変」じゃなかった「変なホテル」(西田宗千佳) |











