(2012年9月11日 J-WAVE『JAM THE WORLD』「BREAKTHROUGH!」より)
出演:後藤正文(ミュージシャン)、高橋杏美、津田大介
企画構成:きたむらけんじ(『JAM THE WORLD』構成作家)
高橋:今日、2012年9月11日はアメリカ同時多発テロからちょうど11年。そして、3.11から1年半が経った節目の日です。そんな今夜のゲストに、ロックバンド「ASIAN KUNG-FU GENERATION」[*1] の後藤正文さん [*2] をお迎えしました。後藤さんは3.11の震災と原発事故をきっかけに、歌以外でメッセージを発信する場として『THE FUTURE TIMES』[*3] というフリーペーパーを創刊されました。なんと、制作費の全てを自腹で賄っているのだそうです。
津田:アーティストがメディアを作って情報を発信する試みも珍しいですが、デジタル全盛の今、あえてタブロイド版の紙媒体にこだわったというのが面白いですよね。実際に読んでみると、レイアウトや写真、原稿など、どれもしっかりと作られている。今年の「フジロックフェスティバル」[*4] の脱原発イベント「ザ・アトミックカフェ」[*5] で後藤さんと共演する機会があって、本人ともそんなことを話しました。今日は、福島県や原発について考えていることや、『THE FUTURE TIMES』を通じてそれをどう伝えていくのかといったことをお伺いしたいと思います。
高橋:それではさっそくご紹介しましょう。「ASIAN KUNG-FU GENERATION」の後藤正文さんです。こんばんは、よろしくお願いします。
後藤:よろしくお願いします。
高橋:後藤さんが自ら立ち上げ、編集長を務めるフリーペーパー『THE FUTURE TIMES』は、2011年7月に配布した創刊準備号から数えてすでに4号が発行されています。改めて、なぜ今こういうメディアを作られたのでしょう?
後藤:震災と原発事故をきっかけに、音楽以外のかたちでメッセージを発信したくなった――それは先ほど紹介してもらったとおりなのですが、情報をどんな「媒体」に焼き付ければいいのか、すごく悩みました。津田さんの言う「アナログ媒体なのか、デジタル媒体なのか」という点ですね。長年音楽に関わっている身として、CDというメディアの時代が終わりに近づいていることは肌で感じています。でも、音楽がどんどんデジタルに移行していく一方で、最近はあえてレコードを出すのがアーティストたちの間で流行っているんですね。デジタルは「未来」なんだろうけど、アナログならではの強さもあるのではないか――そう思い、ウェブと紙の両方で作ることに決めました。

その他の記事
![]() |
『驚く力』から『ソロタイム』へ–『驚く力 矛盾に満ちた世界を生き抜くための心の技法』文庫版あとがき(名越康文) |
![]() |
2017年、バブルの時代に(やまもといちろう) |
![]() |
人間にとって自然な感情としての「差別」(甲野善紀) |
![]() |
「外組」と「内組」に二極化する時代(高城剛) |
![]() |
「現在の体内の状況」が次々と可視化される時代(高城剛) |
![]() |
不調の原因は食にあり(高城剛) |
![]() |
バイデン政権移行中に中国が仕掛ける海警法の罠(やまもといちろう) |
![]() |
「苦しまずに死にたい」あなたが知っておくべき3つのこと(若林理砂) |
![]() |
ウクライナ問題、そして左派メディアは静かになった(やまもといちろう) |
![]() |
「モザイク」は誰を守っているのか−−向こう側からは見えている(小田嶋隆&平川克美) |
![]() |
「負けを誰かに押し付ける」地方から見た日本社会撤退戦(やまもといちろう) |
![]() |
高2だった僕はその文章に感情を強く揺さぶられた〜石牟礼道子さんの「ゆき女聞き書き」(川端裕人) |
![]() |
3月移動に地獄を見た話(小寺信良) |
![]() |
人生を変えるゲームの話 第2回<一流の戦い方>(山中教子) |
![]() |
ファッション誌のネットを使った政党広告炎上は本当に“炎上”だったのか(本田雅一) |