長崎佐世保での、女子高生による同級生の殺害、死体損壊事件は大きなセンセーションを巻き起こしました。
加害者が未成年ということもあり、実名報道のあり方についても話題となっている今回の事件。犯罪者と被害者について深い知見をもたらしてくれる本とDVDを夜間飛行編集部がセレクトしました。
『殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』
清水 潔 著
先日、菅家利和さんのえん罪が確定した「足利事件」。しかしその事件は、4歳から8歳の5人の少女が誘拐・殺害されるという、同一犯による連続殺人だった? 著者は徹底した取材によって、連続殺人の「真犯人」にたどり着きます。その「真犯人」は今も、司直の手を逃れながら、あなたの隣で暮らしている……。
『心臓を貫かれて』
マイケル・ギルモア著
銃殺刑を望む殺人犯。その四人兄弟の末弟が、兄を殺人へと導いた一家の「歴史の闇」に踏み入る。村上春樹さんの訳で、上質な小説のように読めるノンフィクション。人はどうやって殺人者になるのか。それを考えるヒントにあふれています。
『アフター・ザ・クライム 犯罪被害者遺族が語る「事件後」のリアル』
藤井 誠二著
『少年の町』で女子高生コンクリート詰め殺人の鮮烈なルポを放ち、『人を殺してみたかった―愛知県豊川市主婦殺人事件』で、殺人者の内的な動機に迫ってきた藤井誠二がつづる、被害者遺族の声をつづるノンフィクション。「音羽幼女殺害事件」「大阪姉妹殺害事件」等、日本中を震撼させた凶悪事件の被害者遺族が「犯罪のその後」からの苦しみを語る。
『加害者臨床の可能性: DV・虐待・性暴力被害者に責任をとるために』
A.ジェンキンス著、信田さよ子訳、高野嘉之訳
加害者はどう責任を取ることができるのか? 翻訳は『カウンセラーは何を見ているのか』『共依存』などの著書のあるカウンセラー・信田さよ子。
『心理学化する社会』
斎藤 環著
なぜ私たちはセンセーショナルな殺人事件が起こると、犯人や被害者の「心」を語りたくなるのだろう? あらゆる社会現象が心理学・精神医学の言葉で説明される「社会の心理学化」を、精神科医が鮮やかに分析する。
DVD『A』
ジャーナリスト、森達也さんがオウム真理教を取材した作品。広報担当者・荒木浩への密着取材を通じて「なぜ事件の後も信者で居続けるのか?」を追求する。地下鉄サリン事件という、戦後史に刻まれる大量「殺人」事件の「その後」を考えさせられます。

その他の記事
![]() |
YouTube広告問題とアドフラウド(やまもといちろう) |
![]() |
今年は「動画ゼロレーティング」に動きアリ(西田宗千佳) |
![]() |
【告知】私の経営情報グループ『漆黒と灯火』がまもなく10周年に(やまもといちろう) |
![]() |
「日本の労働生産性がG7中で最下位」から日本の労働行政で起きる不思議なこと(やまもといちろう) |
![]() |
参議院議員選挙をデータで眺める(小寺信良) |
![]() |
最下位転落の楽天イーグルスを三年ぐらいかけてどうにかしたいという話に(やまもといちろう) |
![]() |
アジアではじまっているメガハブ空港の王座争い(高城剛) |
![]() |
過去最高益を更新したトヨタ自動車の今後に思うこと(本田雅一) |
![]() |
チェルノブイリからフクシマへ――東浩紀が語る「福島第一原発観光地化計画」の意義(津田大介) |
![]() |
ショートショート「木曜日のエスケープ」(石田衣良) |
![]() |
インターネットに期待されてきた理想と現実の落差(やまもといちろう) |
![]() |
谷村新司さんの追悼と事件関係(やまもといちろう) |
![]() |
「ふたつの暦」を持って生きることの楽しみ(高城剛) |
![]() |
ウェブ放送&生放送「脱ニコニコ動画」元年(やまもといちろう) |
![]() |
「嫌われJASRAC」が地裁裁判で無事勝利の報(やまもといちろう) |