※この記事は株式会社スプラウトのメールマガジン 7月25日 <LINE傍受疑惑、韓国「国家情報院」の素顔>の冒頭抜粋です。全文はメルマガバックナンバーをご購読ください。
韓国の情報機関・国家情報院がLINEを傍受していたという月刊誌「FACTA」の報道が話題を呼んでいる。「韓国では通信の秘密を守る法律が存在しない」ことを理由に、ユーザーとLINEとの通信途中のデータ傍受し、データは欧州に保管され分析されている、という。LINE側は否定したものの、報道が事実であれば、約5000万人ともいわれる日本人ユーザーの通信が抜き取られていることになる。
実際には韓国にも通信秘密保護法(1993年12月27日施行)が存在し、「何人も本法と刑事訴訟法または軍事法院法の規定によらずに、郵便物の検閲または電気通信の通信傍受(原文では“監聴”)、公開されていない他人同士の対話を録音または聴取することはできない」ことが明文化されている。
FACTAによれば、LINE盗聴を明らかにしたのは韓国政府のサイバーセキュリティ関係者であり、日本の内閣情報セキュリティセンター(NISC)との協議の場においてのこと。「韓国側は悪びれない」と同誌は記しているが、この「悪びれない」のは韓国政府当局者であり、LINE側ではない。
FACTAや日本のITセキュリティ専門家の一部は、「LINEはむしろ被害者」との見解を示しているが、筆者もまったく同感だ。本稿ではLINEの問題やITセキュリティ分野から離れて、あまりしられていない国家情報院という“インテリジェンス機関”の真の姿を、ここで多少なりともお伝えしようと思う。
・韓国国情院がLINE傍受(FACTA online)
http://facta.co.jp/article/201407039.html
国家情報院の体質は情報機関である以前に「政治・権力機関」
筆者はLINEが、むしろ国情院の犠牲者だ、という見解を支持する。というのも、国情院とは、その創立からしてインテリジェンス機関というよりも、明白に政治機関、権力機関であったからだ。
大韓民国国家情報院(略称・国情院)とは、韓国の情報機関である。後段で触れるように「本当に情報機関なのか?」という疑問もあるが、公式にはそういう位置づけである。英名はNational Intelligence Service(NIS)。麻生幾原作の映画「外事警察・その男に騙されるな」では、韓国側情報機関を「エヌアイエス」と呼んでいたが、いうまでもなく国情院を指している。
北朝鮮の核をテーマとしたストーリーにリアリティを持たせることと、隣国であり友好国の情報機関を名指しで呼ぶことに対しての、いささかのためらいが作者にはあったのかもしれない。映画では、国情院スパイが東京の街中で、多分に誇張された演出で好き放題に工作活動を行う。先頃公開された韓国映画「ベルリン・ファイル」も同様だ。他国の都市で、国情院が我が物顔で工作活動を展開し、拳銃までぶっ放す。まるでベルリンにおけるドイツの主権は韓国には及ばないかのようなストーリーだった。
しかしこうした荒唐無稽なストーリーも、韓国国民にとっては、あまり違和感の原因とはならないのかもしれない。そこには、理由がある。
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