LINEは「被害者」なのか?

LINE傍受疑惑、韓国「国家情報院」の素顔


実際の国情院もやはり、その前身である韓国中央情報部(KCIA)時代に、東京の中心で映画さながらの犯罪的工作活動を行ったことがあるからだ。1973年8月に起きた「金大中拉致事件」である。40年以上前の古い事件だが、金大中事件とはまさに、KCIAから現在の国情院に至るまで連綿とつづく、韓国の情報機関の体質を象徴的に現している。

「国家情報院」についての百科辞書的な説明として、例えばウィキペディアを見てみると、

「国家情報院は危機管理とその監視機能を担当し、南北が対立する状況下での安全保障維持を目的とする。この法(国家情報院法)には政治関与禁止条項があるが、安全企画部時代には遵守されず、国内政治に深く介入して野党や言論機関に対する工作をして来た。初代院長である李鍾賛はこのような工作の排除、組職の構造改革、経済・産業・通商・技術分野の情報収集強化などを策定した。(以下略)」

と紹介されている。また、

* 1961年6月 - 朴正煕政権は韓国中央情報部(KCIA)を創設し、金鍾泌を部長に任命。
* 1973年8月 - 中央情報部、金大中を東京から拉致。(金大中事件)
* 1979年10月 - 中央情報部長金載圭、酒席で朴正煕大統領を射殺(朴正煕暗殺事件)。
* 1981年1月 - 全斗煥政権、中央情報部を拡大、再編して国家安全企画部を創設。
* 1999年1月 - 金大中新政権は国家安全企画部を廃止し、大幅に縮小した大統領直属機関として国家情報院を新設。

という沿革が記されている。名称の変遷だけを抜き出せば、KCIA→安企部(国家安全企画部)→国情院、として今日に至ることが理解できよう。

もちろんウィキペディアに記された説明自体は間違いではない。だが国家情報院法に「政治関与禁止条項」が含まれていることの意義、あるいはこの条項をときに無視する体質が国情院に存すること、そして韓国国民もまたこの条項が有名無実化することを「致し方のないこと」と認識している傾向にあることは、ウィキペディアの記述からは分からないだろう。

KCIAの正体は「経済発展の障害要素を制圧する強制的ツール」

韓国の一般社会では、2014年の現在でも国情院を「政治権力機関なのでは」と感じる人が多い。いわゆる先進国では、このような疑惑の提起自体がまず、あり得ない。先進国においては、インテリジェンス機関とは国家の安全保障に関する情報を専門的・客観的に収集・分析する機関であり、それ以上でも以下でもないからだ。

だが多くの韓国人はいまでも国情院を「国家セキュリティに専念するプロ集団」とは思っていない。むしろ、大統領が自分の側近を責任者に据え置いて、国政全般にわたって利用する、または補佐を受ける政治権力組織、という認識が強い。これは、日本やアメリカとはまったく異なり、韓国ではインテリジェンス機関が「政治権力機関」としてスタートしたことに起因している。

韓国中央情報部(KCIAまたは“中情”)は、1961年6月に当時の朴正煕大統領によって創設された。だが、ちょっと待ってほしい。これ、ずいぶんと遅すぎやしないか。朝鮮半島の分離独立、つまり大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の成立はともに1948年。韓国にとって「北の脅威」は、このときからすでに始まっていた。

その脅威が現実となったのは1950年6月。北朝鮮の侵攻による朝鮮戦争の勃発である。その3年後、朝鮮戦争は休戦を迎える。だがその直後から北緯38度線付近を境として、今日にいたる北朝鮮との熾烈な緊張状態がつづいている。なお「休戦」とは戦闘の一時休止を意味し、戦争それ自体は継続している。したがって2014年の現在もなお、韓国と北朝鮮はともに「戦時下」にある。
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