『本多猪四郎 無冠の巨匠』11月6日より洋泉社から発売!
『ゴジラ』を生み出し、海外では黒澤明、小津安二郎に匹敵する評価を集めている映画人・本多猪四郎。
『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロからクエンティン・タランティーノまでが賛辞を寄せる監督でありながら、果たして日本人は本多猪四郎をどこまで知っているのか?
戦争体験、科学とユートピアへの理想、我々は怪獣に何を見たのか?
気鋭の映画評論家・切通理作が人生をかけた本格評伝、ここに登場!
切通理作『本多猪四郎 無冠の巨匠』
ゴジラは「映画」だ
『本多猪四郎 無冠の巨匠』は1993年に著述業をスタートした私にとって、本来二冊目の本になるはずでした。
それは果たさなければならなかった課題があまりに大きすぎたということもあります。
以下に、その七つの課題を記します。
一.ゴジラは「映画」だ
日本映画の最大のスターであるゴジラ。「ゴジラは神」「核兵器の象徴」「台風や巨大災害の比喩」……色んな事が言われます。どの要素も、本多猪四郎監督による最初の『ゴジラ』(1954)には入っています。しかしもし私が「ゴジラとは何か?」と問われたら、まず最初にこう答えるでしょう。
「ゴジラは『映画』です!」
怪獣という現実にはありえないものを、何かの比喩でもなく、象徴でもなく、そのものとして具現化すること。本当にゴジラが、丘の向こうから「ぬっと」現れたような気にさせること。
そしてゴジラがゴジラであるための最大のインパクトとは何か?
ゴジラを生みだした時、本多猪四郎監督は何に一番手応えを感じていたのか?
本書はまずそれを明確化します。
二.映画における監督の役割
本多猪四郎は空想特撮映画において、所謂「本編」監督としてクレジットされています。
怪獣や超兵器の出てくるところは特撮監督にお任せで、企画はプロデューサー、ドラマは脚本家が作るので、空想特撮映画の「本編」監督というと、役者の芝居部分のまとめ役ぐらいしかやることがないんじゃないの?……といった限定的なイメージを持つ人もいるかもしれません。
実際、本多監督に対して、現場を器用にとりまとめるだけの「職人」に過ぎないという見方があり、SF特撮映画が大好きで本多監督の熱烈なファンを自称する人でも、その役割については曖昧にしか答えられない人が多いと思います。
本書では、本多監督自身が所持し、具体的な演出を書き込んでいた台本に当り、一作一作の映像作品と丹念に比較。本多監督が実際に何をやっていたのか、初めて本格的に検証します。
三.映画は「科学」だ
1911年(明治44年)生まれの本多猪四郎はまだ誕生して日が浅い映画の黎明期に立ち合いながら、映画と一緒に大人になっていった世代。本多監督にとって、映画は科学技術そのものでした。
そして科学の作用(役に立つ部分)と反作用(害になる部分)は、本多監督にとって、生涯追求したテーマでした。『ゴジラ』の中で、原作者の香山滋が用意した、世界中の核実験が自粛されたという希望的なラストをひっくり返し「核時代に入った人類はひき返す事は出来ないのではないか?」という課題をつきつけた本多監督。
その精神は、『ガス人間第一号』『マタンゴ』『フランケンシュタイン対地底怪獣』といった、人間そのものをゴジラになぞらえるかのような、後続する作品群で継承的に展開されていきますが、本書ではそのすべてにおいて本多監督がなした仕事を検証します。
ゴジラシリーズだけ見てゴジラは語れない!変身人間シリーズや超科学戦争映画、ゴジラの登場しない怪獣映画も、実は本多監督にとっては全て「ゴジラ」だったことを検証します。
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