※「競争考」はメルマガ「ハックルベリーに会いに行く」で連載中です!
岩崎夏海の競争考(その27) 苦手を克服する
競争に勝つためには苦手を克服しよう
今回から、競争に勝つための具体的な方策について指南していく。まずは、「苦手を克服する」ということについて。
多くの競争について書かれた本が、「苦手を克服してはならない、その逆に長所を伸ばすべき」と書かれている。しかし、それは端的にいって誤りだ。苦手が克服されない人が競争に勝てた試しはない。勝つことは、苦手を克服した先にある。なぜなら、勝つことは以前にも述べたように「全てを兼ね備えた圧倒的なもの」であるべきだからだ。
例えば、バスケットボールのマイケル・ジョーダンは、シュートが得意だった。しかし、ディフェンスが苦手だったら、それは果たしてジョーダンといえるだろうか? 野球のイチローは、ヒットを打つのが得意だ。しかし、肩が弱く、ランナーを差すのが苦手だったら、それはイチローといえるだろうか? 将棋の羽生善治さんは、終盤の粘り強さに定評がある。しかし、序盤の駒組みが苦手だったら、それは羽生さんといえるだろうか?
圧倒的な勝利をする人というのは、オールラウンドプレイヤーである。長所が複数ありつつ、短所がないのだ。なぜそれが可能かといえば、「等価交換的な考え」に縛られていないからである。彼らは、「胸が大きい女性だからといって、頭が悪い必要はない」と思っている。胸が大きくても、頭が良くたっていいではないか、と考える。そういう二者択一、トレードオフ的な考え方に縛られない。どっちも取る――それが彼らの流儀だ。
苦手は、克服されなければならない。「苦手を克服するな」というのは、単に苦手を克服できない人への慰めか、あるいはまやかしに過ぎない。なぜこのような言説が広まったかといえば、苦手を克服する方法を知らないまま闇雲にそれをしようとしても、時間を浪費してしまうからだ。つまり、多くの人が苦手を克服する方法を知らないのである。それを伝授できないので、知らないものには取りかかるな、と言っているのだ。
「苦手を克服する方法」は、ほとんどの人が知らない。これまで方法論化されたこともほとんどない。なぜか?それは、とても難しいからだ。苦手を克服するには、メタ的な思考を持ち、自分自身を疑う必要がある。

その他の記事
![]() |
「正しく怒る」にはどうしたらいいか(岩崎夏海) |
![]() |
観光業の未来を考える(高城剛) |
![]() |
ゆとり世代がブラック企業を育んだ(岩崎夏海) |
![]() |
ゲームと物語のスイッチ(宇野常寛) |
![]() |
「けものフレンズ」を見てみたら/アマゾン・イキトスで出会った動物たち(川端裕人) |
![]() |
イベントの「行列待ち」に解決方法はあるのか(西田宗千佳) |
![]() |
なぜ、日本人はやりがいもないのに長時間労働で低賃金な仕事を我慢するのか(城繁幸) |
![]() |
思い込みと感情で政治は動く(やまもといちろう) |
![]() |
在韓米軍撤退の見込みで揺れまくる東アジア安全保障と米韓同盟の漂流(やまもといちろう) |
![]() |
新型コロナウイルスのデマに立ち向かう方法、我が家の場合(本田雅一) |
![]() |
なくさないとわからないことがある(天野ひろゆき) |
![]() |
韓国情勢「再評価」で、問題知識人が炙り出されるリトマス試験紙大会と化す(やまもといちろう) |
![]() |
いじめられたくなければ空気を読め(岩崎夏海) |
![]() |
低価格なウェアラブルモニター「Vufine」(西田宗千佳) |
![]() |
乱れてしまった自律神経を整える(高城剛) |