やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

任天堂の役割は終わったのか スマホでゲーム人口拡大を受けて

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ということで、業界の一部で衝撃をもって迎えられておりますファミ通「ゲーム白書」(KADOKAWA)では、ゲーム市場においてゲーム時間、ゲーム人口ともに大幅に昨年から引き上げられ、スマホゲームがゲーム業界全体を牽引している姿がありありと見えている状況になっています。

14年の国内ゲーム市場、過去最大に スマホゲームがけん引 「ファミ通ゲーム白書2015」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1506/12/news120.html

2014年の世界ゲームコンテンツ市場規模は6兆7148億円、『ファミ通ゲーム白書2015』が6月22日に発刊
http://www.famitsu.com/news/201506/12080664.html

もちろん、いわゆる「スマホゲーム」業界としては、さまざまな悪しき風習も定着しつつある中で、3DSなどの携帯型ゲーム機がとりわけ中高生以上からすでにスマホにとって代わられ、完全に従来のゲーム専用機は子供用とマニア用に限定されている現状は古き良きゲーム業界人やファンの中でも評価が分かれるところであります。

かくいう私も、ゲームを遊ぶにあたっては仕事上必要なもの以外はPCでやる趣味のゲームと移動中に遊ぶスマホ用でおおよそのゲームは済ませるようになってしまいました。だって好きなゲームをやるにあたっては手軽なほうがいいんですもの。ポケットから出してタップすればすぐに遊べるスマホゲームに比べて、かばんから出して開いてスイッチ入れて起動してというステップを踏む携帯型ゲーム機は「いますぐ遊びたい」ニーズからはさすがに遅れている印象です。

そして、俄然色褪せているのはそういう古色蒼然としたゲーム業界の雄、任天堂の説く「誰もが楽しめる商品を提案することでゲーム人口を拡大する」であり、そして「人々のQOLを楽しく向上させるプラットフォームビジネス」です。任天堂のゲームは質がいいのは間違いないにしても、手軽に遊べる入り口が必要なプラットフォームビジネスとしては、スマホゲームに比べて圧倒的に手間がかかり、むしろQOLが下がっています。

任天堂 株主・投資家の皆様へ
http://www.nintendo.co.jp/ir/management/message.html

その意味では、一時期あったパソコンVSワープロ専用機論争を思い出します。純粋に文字を打つだけに特化して使いやすかったワードプロセッサも、必ずしも文字が打ちやすくはなかったけれど他の用途にも使えてコンビニエントなパソコンに取って代わられ、ワープロ機そのものが衰退していった世界とあんま変わりません。

一方で、なぜか任天堂はDeNAと組んだりしています。単純にビジネスのことだけ考えてのことであれば「そうですか」で終わる話ですが、なぜかそこに「すべてはゲーム人口拡大のため」とかいう錦の御旗も同然の大義名分がくっついているわけですよ。

任天堂・DeNA共同記者会見。岩田社長「すべてはゲーム人口拡大のため!」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20150317_693190.html

ゲームといえば任天堂、業界の主力と目されていた時代ならいざしらず、明らかに市場の動きに取り残され、ガキ向けのゲームしか市場を残さなくなってしまった任天堂は自分のポジションすら分からなくなってしまったんですかねえ… 個人的に知る任天堂関係者は誰もが紳士で穏やかな人たちばかりですが、完全に市場の変化に取り残されてIPぐらいしか外から見て価値のあるものが残っていなさそうな任天堂はその気はなくとも「奢る平家」みたいな状態なのかもしれません。

ここまで任天堂がいけてないと他のゲーム業界各社も困惑すると思うので、早く立て直して時代の最先端に復帰していただきたいと強く願う次第であります。

 

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路

Vol.132<任天堂の行く末を案じながらも、年金機構データ漏洩事件が招くゾンビ問題について深く考える回>

2015年7月1日発行号
目次
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目次
【0. 序文】任天堂の役割は終わったのか スマホでゲーム人口拡大を受けて
【1. インシデント1】年金機構125万人データ漏れ後、続々と名簿屋に年寄りデータが集まっていろんなことが分かる
【2. インシデント2】「瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず」という言葉はたまに思い出して自戒したいものです
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A

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やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。サイバーインテリジェンス研究所統計技術主幹など歴任。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

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