※名越康文メールマガジン 生きるための対話より
それは過剰適応?
何をやっても達成感が感じられず、常に「やらなきゃ、やらなきゃ……」と追い詰められている。それは「過剰適応」の状態にある可能性を、疑っておく必要があると思います。
過剰適応というのは、簡単にいえば、他人や会社などの組織に合わせすぎて、疲弊してしまうことです。
特に、新入社員の方々などで、「ここまでやればいい」とか「こういう成果を出せればいい」というゴール設定がはっきりしていない中で、長時間作業し続け、なおかつ「何かをやり残している感じ」が残った状態で疲弊している。
そういう人たちは、過剰適応に陥っている可能性が高いといえます。過剰適応は、そのまま放っておくと過労死や、精神的に追い詰められた自殺などにもつながりかねない危険もありますので、注意が必要です。
自分が過剰適応に陥っているかどうかをチェックするには、以下の2つの問いを自分に投げかけてみてください。
「自分のやっている仕事にゴールはあるのか?」
「そのゴールは、自分でコントロールできるものなのか?」
この場合の「ゴール」というのは「明確」であれば、はるか遠くであってもかまいません。また、後者の「自分でコントロールできるものなのか」という問いは非常に重要です。というのも、僕らはしばしば感情的に「私さえ頑張ればいいんだ」という自己犠牲的な考え方によって、過剰適応に陥ってしまうからです。
本当に、そのゴールまでの道のりは、自分の力で切り開くことが可能なのか。あるいは、自分の意志で、そのゴールを諦めることが許されるのか。それを冷静に、自分自身に問いかけてみる。
この2つの質問に、自分なりにきちんと、誠実に答えてみた結果、もしゴールが明確でなかったり、自分でゴールをコントロールできないにもかかわらず、あなたが「やらなきゃ!」と焦っているとすれば、それは過剰適応の徴候と言えます。少し、自分を追い詰めるばかりの仕事からは、距離を置くようにしていただいた方が良いでしょう。
場合によっては、仕事を休んだり、転職を考える必要があるかもしれません。ゴールの見えない状態で、主体性のない仕事を長く続けることは、それくらい、人の心身に深いダメージを与えてしまうことがあります。
コンディションを整える
ゴールが明確で、それを自分でコントロールできるにもかかわらず「やり残した感じ」が残っていて、いつまでも達成感が得られずに、苦しんでいる。なかには、そういう人もおられるかもしれませんね。そういう人は、もしかすると「自分本来のパフォーマンスを十分に発揮できていないこと」への焦りを覚えているのかもしれません。
自分のエネルギーを十分に燃やし尽くせないことは、人によっては大きなストレスになります。もしあなたの「やり残した感じ」が、心身の不完全燃焼によるものだとすれば、大切なことは、仕事に十分なエネルギーを注ぎ込めるようなコンディション作り、ということになるでしょう。
まず必要なことは、睡眠の時間と質の確保です。少なくとも6時間以上の時間をとって、清潔な寝具でぐっすりと眠ってください。次は、食事です。お酒を飲み過ぎたり、胃に負担のかかるものを食べ過ぎていないか。定期的に運動しているか。そうやってひとつひとつ、生活習慣を整えていけば、身体と心のエネルギーをうまく「燃やし尽くす」ことができるようになります。身体と心のエネルギーを上手に完全燃焼できれば、焦りに囚われることは少なくなるはずです。
<お知らせ1 2017年3月18日(土)開催決定! 名越康文スライドトークvol.1>
名越式性格分類ゼミ(通信講座版)の2周年と、
名越康文メールマガジン「生きるための対話」の7周年を記念した感謝イベントを
来る3月18日(土)、青山の「3rd page」さんと共催で行うこととなりました。
通信講座会員の方は1名を無料で同伴できます!
2/13(月)より、メルマガ購読者の受付を開始します!
詳細・お申し込みはこちらのページから
http://nakoshisemi.yakan-hiko.com/?page_id=367
<お知らせ2 名越式性格分類ゼミ第8期会員募集の受け付けを開始しました>
「なぜこの人とはわかりあえないのだろう?」
「どうして私の言うことが伝わらないのだろう?」
名越式性格分類ゼミ(通信講座版)は、毎月1回行われている名越式性格分類ゼミの2時間超の講義をDVDに完全収録し、自宅にお届けします!
名越康文先生の貴重な体癖論講義を自宅で受講できます!
第8期受付定員は30名! お急ぎください!
https://yakan-hiko.com/meeting/nakoshi.html
精神科医・名越康文公式メールマガジン「生きるための対話」
http://yakan-hiko.ckhttp://yakan-hiko.com/nakoshi.htmloshi.html
名越康文先生の講義を少人数で体験!
名越式性格分類ゼミ
http://nakoshisemi.yakan-hiko.com/
その他の記事
「大テレワーク時代」ならではの楽しみ(高城剛) | |
カビ毒ダイエットという新しい考え方(高城剛) | |
ネット教育今昔物語(小寺信良) | |
日本人の情報感度の低さはどこからくるのか(やまもといちろう) | |
実は「スマート」だった携帯電話は、なぜ滅びたのか ーー10年前、初代iPhoneに不感症だった日本市場のその後(本田雅一) | |
「控えめに言って、グダグダ」9月政局と総裁選(やまもといちろう) | |
南国滞在を引き延ばすもっともらしい言い訳(高城剛) | |
日本人に理想的な短期間ダイエット「七号食」(高城剛) | |
TPPで日本の著作権法はどう変わる?――保護期間延長、非親告罪化、匂いや音の特許まで(津田大介) | |
『小説家と過ごす日曜日』動画版vol.001<IRA’Sワイドショー たっぷりコメンテーター><恋と仕事と社会のQ&A>(石田衣良) | |
「見たことのないもの」をいかに描くか–『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(切通理作) | |
仕事とは「何を」するかではなく「どう」するかだ(岩崎夏海) | |
目的意識だけでは、人生の中で本当の幸せをつかむことはできない(名越康文) | |
アーミテージ報告書の件で「kwsk」とのメールを多数戴いたので(やまもといちろう) | |
安倍晋三さんの総理辞任と国難級のあれこれ(やまもといちろう) |