※メールマガジン「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」2017年12月22日 Vol.155 <今年もありがとうございました号>より
今年も色々な振り返り企画が登場する時期となったが、今回は個人的な買い物のトレンドを振り返ってみたいと思う。
今やネット通販最大手と言えるほどに成長したAmazonだが、個人的にもかなり利用している。なによりもその網羅性と、スマホアプリの存在が大きいのではないかと思う。思いついたらその場で買えるというのは、便利を通り越して罪深いとも言える。
そんなAmazonの購入履歴から、その年の合計購入金額が出せるという恐ろしいブックマークレットがあるのをご存じだろうか。詳しくはこのへんの記事を読んでいただければと思うが、今も現役でちゃんと動く。
・【2017年版】Amazonで今まで使った金額を調べて自分の罪を知ろう!
一応毎年合計金額を出してみて反省したりするのだが、ここ1〜2年で消費傾向が変わってきたように思える。筆者がAmazonを利用し始めたのが2001年のことで、そこから今年まで一体何があったのか、振り返ってみたい。
コンテンツからモノの時代へ
利用開始から今年まで、Amazonで購入した物品の合計金額の推移を表わしたのが、下のグラフである。
・Amazon購入金額の推移
世の中には毎年車が買えるほどAmazonに金を落としている人もいると聴くが、それに比べれば可愛いものである。
こうしてグラフ化してわかるのが、2001年から2009年までの動向だ。多少の増減はあるものの、平均すると4〜5万円といったところだろうか。この時代は、Amazonといえば書籍かCD通販の時代であった。
もちろんそれ以外の物販もされていたとは思うが、「何でもかんでもAmazonで買う」という生活習慣がなかった時代である。これは皆さんも同じだろう。大物を買おうと思ったら、やっぱり家電量販店に出かけていって現物を見て買った、そういう時代である。
潮目が変わるのが2010年だ。この頃もメインは書籍とCDだが、徐々にハードウェアを購入するようになってきた。メモリーカードや携帯用固定ホルダー、HDDの外付け箱、ノートPC用増設メモリーなどである。従来これらのものは、何かのついでにアキバに行って買ってくるものだったが、次第に家に居ながら発注というライフスタイルへと変わってきたのが、購入履歴から読み取れる。この年でもっとも高額な買い物は、PS3とtorneのセット、33,563円である。
一度こういう生活が始まると、元には戻れない。加速度的に購入金額が増えて行き、2012年に最初のピークを迎える。合計金額で50万円越えだ。このあたりから、日用品も購入するようになっていく。はなちゃんのエサやトイレ砂を定期購入したり、包丁やまな板、椅子なども購入している。
この年でもっとも高額な買い物は、SONY α NEX-5Nの43,800円。こうしたカメラは実際に店頭で触って機能を確かめて、というのがセオリーだが、幸いなことに筆者はこういうのをレビューするのが仕事なので、購入前に様々なテストをできる。NEX-5Nも前年夏にレビューし、価格が落ち着いたところで購入したわけである。
その後一時的に減少するが、過去もっともピークの2015年を迎える。このときの合計金額は70万超えである。この年はとにかく、購入量が多かった。購入履歴で13ページもある。この年もっとも高額な買い物は、Dyson Fluffy DC74の 62,800円で、いよいよ本格的に家電量販店に行かなくなった年でもある。
再びコンテンツへ振れ始めた2016年以降
2015年のピークから翌2016年は、激減と言えるほどに反転することになる。まあそれでも35万円越えなので、それなりに買ってはいるのだが。購入量としてはピーク時の2015年と変わっていない。ただしその数を押し上げているのが、Kindleの書籍だ。
2015年から16年の間に、消費生活が物品からコンテンツに移っていったという見方もできる。なぜならば、2015年の秋以降、NetflixとAmazonプライムビデオが相次いで日本参入を果たしたからだ。加えて同年春以降、音楽ストリーミングサービスとしてAWA、LINE MUSIC、Apple Musicがスタート、夏にはGoogle Play Musicがスタートしている。すべて定額聴き放題、見放題サービスである。消費生活が変わらない方がおかしい。
2016年に買ったもっとも高額商品は、高儀 EARTH MAN エンジンチェーンソー「CSE-140E」 15,000円である。実家の山の手入れをする際に、竹を伐採するのに必要ということで購入した。地元のホームセンターも見て回ったのだが、ガチの高級モデルしかなく、年に1〜2度しか使わないモノの価格ではなかったため、Amazonで発注することとなった次第である。
今年はわずかであるが購入金額が下がり、30万円を切るまでとなった。水準としては一時的に購入金額が減少した2013年程度の水準と言えるが、内容がかなり違う。実は2013年は、過去購入数としては一番多い。しかし金額が伸びなかったのは、主にKindle Fire HD用のアプリばっかり買っていたからである。だが以外にKindle用の電子書籍は購入していなかった。やはり個人的なKindleのブレイクは、Kindle Unlimitedがスタートした2016年からだったのだろう。
一方今年は、購入数も減少はしたのだが、単品の購入価格が下がった。全体的にデフレに振れてきたとも言えるかもしれないが、安くてもそこそこ役に立つものが増えたということだろう。その点では価格破壊が進んできた年だったと言えるかもしれない。今年もっとも高額な買い物は、Amazon Echo 11,980円である。まんまとAmazonの術中にはまった人のなれの果てみたいな履歴だが、今後も生活消費は定額コンテンツへの支払いでベースが決まり、あとはその周辺機器を充実させていくといった流れになるのだろう。
消費活動としては、今後もコンテンツ消費がメインの時代が数年続くものと思われる。その中で売れるハードウェアは、スマホ、イヤホンあたりはまだまだ堅いところだろう。それらはコンテンツ視聴に欠かせないものだからだ。HDR対応モニター/テレビも、価格がこなれてくれば、ブレイクする可能性はある。
ただし、これらは高額商品と低価格商品の二極化が極端に進むだろう。なぜならば、消費者が二極化しているからである。定額制コンテンツサービスは、低所得者層にも均等に恩恵を与えるという意味では、素晴らしいサービスだ。だがその楽しみ方や時間の使い方で、大きな差が出てくるのだろう。
皆さんもAmazon購入履歴から、21世紀からこっちを振り返ってみると面白いのではないだろうか。
小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」
2017年12月22日 Vol.155 <今年もありがとうございました号> 目次
01 論壇【西田】
「技術を民主化する」とはどういうことか
02 余談【小寺】
過去17年間のAmazon依存度を振り返る
03 対談【西田】
トリニティ・星川哲視氏と語る「スマートフォン関連市場の今」(5)
04 過去記事【西田】
現場発『ワンソニー』の高級ヘッドホン
05 ニュースクリップ
06 今週のおたより
07 今週のおしごと
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