※高城未来研究所【Future Report】Vol.369(2018年7月13日発行)より
今週も、札幌にいます。
馴染みの鮨屋に出向くと、年々黒潮が国土から離れ、同じ魚を獲るにも燃料コストが上がったと嘆き、古い友人たちと話せば、まるでこの世の終わりのような重い雲に覆われた日が続く異常気象に、すっかり疲れています。
これは、北海道だけの問題ではなく、僕らが知らぬところで、この星に大きな変化が起きているのは間違いないと実感する今年の夏です。
さて、夏休みが近づくにつれ、旅のご案内や観光情報をお求めになる方も増えますが、どの旅行ガイドブックを見ても乗ってないのが、タクシー情報です。
全国通津浦々どこに行っても、日本ではそれなりの都市であればタクシー網が整備されており、実はこの地域に根付くタクシーには特色がありまして、値段やサービスだけでなく、地域によって大きな特徴があります。
例えば、今週滞在する札幌には、僕のお気に入りのMIDというタクシー会社がありまして、ここは、全車乗りごごちがバツグンのブラック・アウディを、通常のタクシーと同じ金額で提供しています。
アムステルダムの空港に降り立つと、レーンに並ぶタクシーは全車テスラで、ここにオランダの先進性を見ることができるように、空港は、その国の顔であることは間違いありません。
このコーナーでも頻繁に空港のあり方をお話ししており、それは空港のデザインや機能性に限らず、空港全体を生態系として考えるようなエコシステムが最終評価を分けています。
日本のほとんどの空港で見かけるのは、「昔ながらのタクシー」が大半で、Uberを呼ぶこともできません。
近年、配車アプリケーションなども登場していますが、実態は無線基地につながり、いまも「昔ながらのタクシー」に「昔ながらの無線」でアプリケーション情報を伝えているにすぎません。
そこで、僕はUberが使えない日本の地方都市に行く際に、都市別のお気に入りタクシー会社を決めて乗車するようになりました。
いつものように10リットルのバックパックだけなら交通手段も選べますが、大きな機材を持って、札幌市内から新千歳空港に4人で移動する場合、定額タクシーが便利で、同じコストなら「昔ながらのタクシー」より、アウディA6 Avantのほうが心地よいに決まっています。
シェイクスピアの有名なセリフ「終わりよければ、すべてよし」と言うように、先入観や第一印象より、旅の最後を締めくくる空港までのアクセスが、意図せずとも旅の評価を決めるものです。
さて、2020年までに、海外ゲストをあっと言わせるようなタクシーは、東京に登場するのでしょうか?
国家の印象は思いもよらぬところに潜み、だからこそゲストをアッと驚かせる可能性も持つのです。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.369 2018年7月13日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
その他の記事
ゆとり世代に迫るタイムリミット(岩崎夏海) | |
組織変革とは、まず自分が変わろうとすること(やまもといちろう) | |
フランス人の「不倫」に対する価値観(石田衣良) | |
「死にたい」と思ったときに聴きたいジャズアルバム(福島剛) | |
アジアではじまっているメガハブ空港の王座争い(高城剛) | |
子供会にLINEを導入してみた(小寺信良) | |
“YouTuberの質”問題は、新しいようでいて古い課題(本田雅一) | |
深まる韓国経済のモヤ(高城剛) | |
2本の足で立つ、ということ(やまもといちろう) | |
屋久島が守ろうとしているものを考える(高城剛) | |
【第5話】オープン戦(城繁幸) | |
週刊金融日記 第317号【外国語を使ったAttractionフェーズ攻略法、トヨタ自動車2018年3月期決算純利益2.5兆円他】(Array) | |
温泉巡りで気付いた看板ひとつから想像できる十年後の街並み(高城剛) | |
内閣支持率プラス20%の衝撃、総裁選後の電撃解散総選挙の可能性を読む(やまもといちろう) | |
今の京都のリアルから近い将来起きるであろう観光パニックについて考える(高城剛) |