高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

12月の夏日を単に「暖冬」と断じてしまうことへの危機感

高城未来研究所【Future Report】Vol.390(2018年12月7日発行)より

今週は東京にいます。

日々27度もあった沖縄から東京に戻ると、驚くほどの夏日。
明治の統計開始以降、12月としては最も高い気温を観測し、一部では桜が咲き、冬眠できない動物たちが、山から村へと出てきています。

先週滞在していた沖縄では、冬の制服への衣がえがいつまでたっても出来ず、北海道では、雪解けがはじまっています。

これを単に「暖冬」と断じて、いいのでしょうか?

「喉元過ぎれば暑さ忘れる」という慣用句同様、徐々に異常気象を異常と思わないようになるもので、「慣れ」こそリスクを高める要因なのは間違いありません。

脳には、可塑性と呼ばれる機能が備わっており、例えば、固体に力を加えて弾性限界を越える変形を与えたとき、力を取り去っても歪みがそのまま残る性質を指します。

本来ならば危機的な状況でも、「慣れ」てしまうのは、人間の脳に備わった基本性能で、この騙された自身の脳に正気を取り戻し、もう一度、リスク管理を構築する必要が、いま誰にもあるはずです。
なぜなら、この時期のこの気候は、どう考えても「おかしい」からです。

初心者ドライバーが二年目に事故を起こすように、三年目の議員にスキャンダルが多いように、また、浮気も統計的に三年目が多いのも、当初の緊張が緩み、異常な現実を異常だと思わなくなる「慣れ」から、引き起こります。

つまり、「慣れ」は本来人間に備わっているはずの危機管理能力を失わせ、結果的に、自分自身を見失ってしまうことにもつながります。

もし、この12月に起きた観測史上でも稀なる夏日が、これから三年も続くと、人々は、地球の異変に「慣れ」てしまい、リスクを管理する能力が持てなくなってしまうはずです。

そこで、脳の可塑性による「現実を歪曲した慣れ」こそが、己の最大の敵であると仮定し、日々自分と対話し、俯瞰的に物事を見るために、騙されている自身の脳を、正常に戻さねばなりません。

以前もお話しした97%の確率で地球気象の未来を予測する北イギリスのニューカッスル・アポン・タインにあるノーサンブリア大学の天体物理学者バレンチナ・ザルコヴァ教授によれば、地球にはいくつかの気候変動サイクルのひとつ、セルビアの地球物理学者だったミルティン・ミランコビッチが見いだした「ミランコビッチ・サイクル」が、現在、地球に「小氷期」が差し迫っているのを教えていると言います。

12月の夏日にこそ、現在本当は地球に「小氷期」が差し迫っていると、誰もがもっと真剣に考える必要があるはずです。
「慣れ」てしまった脳を持つ人たちから見れば、「おかしい」と思われるほどに。

いま、この星の行方も自身の脳も「冷静」に考えねばならない、いままでにない冬のはじまりを感じる今週です。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.390 2018年12月7日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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