※高城未来研究所【Future Report】Vol.566(2022年4月22日発行)より
今週は、パリにいます。
ウクライナ情勢の問題から、ロシア上空を迂回する安全な航路での運航のため、通常11時間半のフライトが16時間以上かかりました。
距離が伸びたこととあわせて石油高騰による燃油サーチャージもかなり高額になり、また、フライトが少ないことから航空代金も驚くほど高くなっています。
実は「燃油サーチャージ」と言われる航空運賃とは別の追加料金は、かつては存在しませんでした。
米国が起こした湾岸戦争により原油価格高騰に対する措置として今世紀に入ってから導入され、ある日を境にオイルカンパニーと航空会社のリスクを顧客が被るようになったことは、あまり知られていません。
現在、原油価格高騰、円安、航空会社不況から、燃油サーチャージが大幅にあがり、長距離線の航空運賃も3年前の二倍半から三倍に上がっていると感じます。
さらに日本の場合、為替レート変動リスクを(おとなしい)利用者に負担させるようになっており、他国の航空関連価格決定メカニズムは基軸通貨ドルで判断されていますが、日本だけ円で決定され、これもまたツケが搭乗者にまわる仕組みが見られます。
それゆえ、6年ほど前の原油価格の大幅な下落により、日本発の国際線の燃油サーチャージがゼロになって航空会社の業績が好調になりましたが、アベノミクスによる円安政策のため、すぐさま燃油サーチャージの徴収が復活しました。
つまり、航空会社はドルで燃油を仕入れることができるのに、搭乗者に円で請求する「せどり」が公然の秘密として行われているのです。
どちらにしろ当面、航空運賃は高値で推移すると思われます。
さて、フランスへの入国はいつも通りで(ワクチンパスポートなども求められませんでした)、パリ市内を行き交う人々は、誰もマスクをつけていません。
「一応」公共交通機関利用の際などではマスク着用の義務が残りますが、いまや往来でマスクをつけている人は「陽性者」だと見られるようになっています。
事実、フランスでの1日当たり14万人の新規感染者、入院中の感染者の増加、死者数も増加傾向にありますが、もはやコロナを誰も気にしない様子が伺えます。
テレビを見れば陽性者の数を発表するのではなく、「みんなで歯を見せて笑いましょう」とアンカーマンがコメント。
まるで平行世界を旅する気分です。
パリは春の訪れとともに賑わいを取り戻しました。
いま、欧州全域でコロナおよびワクチン協奏曲は、過去のものになったと感じます。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.566 2022年4月22日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
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