高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

5年前とは違う国になったと実感する日々

高城未来研究所【Future Report】Vol.577(7月8日)より

今週は、ロサンゼルスにいます。

独立記念日を含む連休ということもあって、今週はどこもお祭りムードでして、モールに出向けば人だらけ。
誰もマスクをしておらず、1年前とはまったく別の光景が見られます。

成田空港の発券カウンターで、ワクチンパスポートの確認などがありましたが、米国入国の際には一切の検査や書類提出等もありません。
以前と同じどころか、いつも長蛇の列となっていたロサンゼルス空港の入国審査はガラガラですんなり入国できました。

一方、1年前と別の光景はインフレです。

ガソリン価格だけを見ても、LA市内では1ガロン7ドル超まで高騰し、1年前の二倍以上。
モールで見かけた怪しい日本のサバ定食らしきものは、30ドルまで値上がりしており(少し前なら18ドルから20ドル強程度)、それに税金と20%のチップを足せば、およそ40ドル。
円換算しますとランチのサバ定食らしきものが、およそ5500円となりドリンクは別料金です。

現在進行中の40年ぶりのインフレは、落ち着きを見せていると中間選挙を睨んだ政府は単に火消しとしか思えない発言を繰り返していますが、街中の飲食店やショップは例えインフレが落ち着いたとしても、一度値上げした価格を戻すとは思えません。

その上、サプライチェーンの影響で関連品が高騰しており、LAでピックアップしようとしていたヘッドフォンも、パーツの遅れから納期が大幅に遅れ、スケジュールがいつまでたっても見えないことから、入手を急ぐユーザーにより中古市場が活性化しています。
この現象は、昨年、中古車市場でも見られましたが、現在はエレクトロニクス全般に広がっています。

近年、中国の人件費高騰の影響もあって、HiFiオーディオ機器の製造は米国に戻りつつあり、なかでもLA南部に集中していて、米国職人魂の再燃が起きています。
ヘッドフォンのAudezeやオーディオインターフェイスを作るLinx Audioなど、古き良きメイド・インUSAを彷彿させる新興オーディオ・メーカーが、LA南部、特にコスタメッサ周辺に集中しています。

このコスタメッサには、7つのデパートを擁し、西海岸最大のショッピングモールで米国最大の売り上げを誇る「サウスコースト・プラザ」がありまして、独立記念日の前の日に訪れましたが、ここも少し前とはまったく違う光景が広がっていました。

ブランド店を中心にどこも大混雑しているのに、僕の体感ですがモールを行き交う白人も黒人もほぼ皆無で(3%以下)、ラティーノとアジア人しかいません!
それもそのはず、コスタメッサに住む人の4割はすでにラティーノであり、そこに経済侵略しているのではないかと思うほど多くの中国人観光客が押し寄せて、事実上、モールを占拠しています。

この光景は、未来の米国に他なりません。

確かにいままでも日に日に増えるラティーノと中国人観光客急増を目撃してきましたが、白人も黒人もほぼ皆無な街並みを見たことはありませんでした。
1986年に開業したサウスコーストプラザは、もともとオレンジカウンティに移り住んで来た新興白人中間層をターゲットに作られたモールで、「The Ultimate Shopping Resort」とキャンペンコピーにあるように、近隣のディズニーランドより多くの年間来場者を誇ります。
ですが、客層は完全に入れ替わったのです。

これが「グレート・リプレースメント」です。

来月発売の新刊のテーマにも掲げている「グレート・リプレースメント」=民族の大転換は、ロサンゼルスに限らず全土で進行しており、米国は5年前とは違う国になったと実感する今週です。
(まだ、新刊は執筆中なんですが、、、、)
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.577 7月8日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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