やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

コロナワクチン関連報道に見る、日本のテレビマスコミの罪深さ


 時事通信が、英調査会社Ipsos Mori社の調査で「日本はコロナワクチンに対する忌避の姿勢が最も強い」というニュースを報道していました。

Japanese Most Hesitant about Coronavirus Vaccines: Survey

Attitudes to COVID-19 vaccines
The Japanese seem to be the most hesitant to be vaccinated. This is a trend we have seen in previous surveys.

 我が国のワクチンに対する忌避の姿勢については、それこそ子宮頸がんワクチンにおける朝日新聞報道の問題などは顕著に知られる例ではありますが、それは別としても、今回のコロナウイルスにおいてもワクチンが世界的にこれだけ接種されて、短期的影響としては驚くほど副反応が少ないにもかかわらず、デンマークなどのガセネタと言ってもいいワクチン死亡報道に引っ張られてワクチン懐疑論がいまなおテレビ報道で見られます。

 両論併記というのは、科学的に均衡している賛否においては有効なのかもしれませんが、先日のAERAの見出しといい、朝まで生テレビの上昌広医師の妄言といい、ワクチンの有効性や安全性に対してこれといった知見を持たない人々からの議論がメディアで流れることで国民がかなり揺れ動いてしまう実情があるのではないかと思います。

 事実、自分がまったく知らない分野でメディアから垂れ流される映像だけ見ていれば、確かに怖い、怖ろしいという感情を抱いてもおかしくはありません。

 今後、これに関する議論は続出するのかもしれませんが、いわゆるテレビ報道、バラエティなどの情報番組での放送内容が、我が国の世論にいかなる影響を与えたのか、とりわけコロナ問題のように国民の生活に強く密着した問題についての放送内容についてはきちんとした検証が必要になっていくでしょう。

 この流れで、いわゆる政局報道がもたらす内閣支持率や政治過程に対する影響もまた、重視されていくものだと予想されます。単純に言えば、先の民主党政権もその後の反動での安倍長期政権もみようによってはメディアが産み出し、後押ししたものだと言われればそういう側面も否定できないよねとなるわけです。

 同様に、有力芸能事務所からの営業を受けて、取り立ててこの方面の専門家でもない元政治家が繰り返し起用され、その結果としてあたかもコロナ政策をリードしているかのような錯覚をもたらす事態も起きています。

 たぶん、テレビ局も目の前の視聴率をどうにかしなければならない、でもスポンサーが求める視聴者層に見合う番組作りをしなければならないというところで、先を見失ってるのではないかと思います。

 YouTubeでもテレビ業界の話をしたところ、業界の友人から「業界の行く末よりも自分の未来がヤバイので、YouTubeで勢いのあるところで制作スタッフとして紹介して欲しい」なんてことを相談されるぐらいには見通しが暗いのだろうなあと思います。ただ、だからといって、多くの高齢者や女性が見ているバラエティ番組でワクチンへの不安やコロナの恐怖を煽るような番組作りをし、国民を萎縮させるようなことだけは避けて欲しいんですけどね。
 

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」

Vol.Vol.323 昨今のテレビマスコミの罪深さを問いつつ、巨大プラットフォーマー動静や呆れた千代田区長選・区議補選のあれこれを取り上げる回
2021年1月31日発行号 目次
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【0. 序文】コロナワクチン関連報道に見る、日本のテレビマスコミの罪深さ
【1. インシデント1】プライバシーと広告ビジネスをめぐるプラットフォーマーの諍い
【2. インシデント2】千代田区長選・区議補選のクソ具合と泥仕合
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A
【4. 跋文】記事にするまでもない吉本興業とキングコング西野亮廣さんとの大人の事情

 
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やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

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