※高城未来研究所【Future Report】Vol.613(3月17日)より
今週も、東京にいます。
冬に多くの時間を過ごす東京は、僕にとって食事を選んで体調を整えることができる場所です。
これが南米のボリビアやアフリカのエチオピアなどだと自分にあった良質な食事を選ぶのは容易ではなく、選択の幅は極めて狭くなると言わざるを得ません。
美味しいものにありつければかなりの幸運で、むしろ、お腹を壊さない食事を日々続けられば、それこそラッキーだと経験上感じています。
しかし、東京やロサンゼルスは違います。
自分(のSNPs)にあった食材を幅広く入手することが出来る街なのですが、一方、糖中毒に陥りやすい自制心が問われる場所でもあります。
また、メキシコやブラジルのように、南米の奥地やアフリカのサファリほど物資は不足せず、だからと言って幅広く健康的な食材を選べるような環境にない「健康発展途上国」では際限なく糖が溢れ、年々肥満が大きな社会問題となって国家財政を逼迫させています。
実は、21世紀に入ってから肥満率が減少した国は、世界でひとつもありません。
BMI(ボディマス指数)を見ますと、1975年の日本ではBMI25以上の割合は14.9%だったが2016年にはおよそ二倍の27.2%まで増え、同じく米国では1975年当時41.0%だったのに、2016年は67.9%まで増加。
現在、世界中で糖中毒者が急増していることが、よくわかります。
本来、人間は飢餓状態になると細胞内に膜が発生して細胞質成分を包み込み、体内の不要物を分解して栄養源にします。
最後にものを食べてから10時間が過ぎると肝臓に蓄えられた糖がなくなり、16時間を超えたあたりでオートファジーが働き、これが何万年も続いた人間の心身を整える仕組みでした。
しかし、この数十年、特にグローバル化した21世紀に入ると、どこでも安易に手の届く範囲に糖が溢れ、また、ゲームやSNS等によるドーパミン過多と掛け算になって、今日、多くの人たちが囚われている「不健康な世界」から容易に脱出できなくなってしまっています。
この糖まみれとドーパミン過多の「不健康な世界」から脱する裁量の手立てが、ファスティングなのです。
2016年にノーベル医学生理学賞を受賞した東京工業大学の大隅良典教授によって発見された理論によれば、ファスティング(断食)が病気の細胞や老廃物など体の不要なものを分解するシステム=オートファジー(自食作用)を活性化することがわかっており、これが「IF」と呼ばれる食間を16時間開ける間欠ファスティングが万病に効くと言われる所以、というより、本来の人間の体と心を整えていた秘密の他なりません。
かくありまして、いまこそ「地球(人)を守るため」に、Co2削減以上に糖の削減を真剣に話さなければならないのですが、残念ながらそのような様子はまったく見受けられません。
それゆえ、食への自制心こそが「地球(人)」の未来を左右するのだろうと考えます。
僕が食事を選ぶことができない中南米へと向かうまで、あと10日ちょっと。
この残されたわずかな時間の中で、いかにして心身を整えるのか日々真剣に自分と向き合っていますが、「甘い誘惑」が多い街ですよね、東京は。
打ち合わせに入ったカフェでも、ついつい目移りする今週です。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.613 3月17日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
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