高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

季節の変わり目の体調管理

高城未来研究所【Future Report】Vol.648(11月17日)より

今週は、東京にいます。

そろそろ冬の忘年会シーズンに備えたメンテナンス週間に突入したいところですが、まずは時差ぼけ&季節ボケを完全に解消しなければなりません。

実は季節によって飲むサプリメントを変える必要がありまして、例えば日差しが強い地中海にいる時にはビタミンDを接収する必要はありませんが、今週の東京のように、短期間に気温が10度も下がり、日照時間も少なくなれば、冬の準備のためにもビタミンDは必須です。

大昔の先祖たちの生活環境では、日光を体に浴びることで十分に生成されいたため、当時の人々の体内のビタミンDレベルは50〜110mg/dLの範囲にあったと推察されており、食物や現代人のようにサプリメントからビタミンDを得る必要はありませんでした。
もし、古い遺伝子が多い人であれば(もしくはSNPsのVDRに変異がある人であれば)、100mg/dLを目指した方が良いとお話しするのはこのためで、実際、僕自身は130mg/dLを割り込むと不調を感じるほどビタミンDの血中濃度を高めています。
事実、コロナはもとより、最後に風邪をひいたのも覚えていません。

また、お住まいの地域によって異なる日照時間も十分に懸案する必要があります。
米国の調査によれば、アトランタとロサンゼルスの間を結ぶ線より北側に住んでいる67〜93%の人々は、30mg/dL以下のビタミンD欠乏症状態にあるという事が判明しています。
10月1日から4月15日の間のこの地域の日照量だけでは十分な活性型ビタミンDを生成できず、米国の南部に住む人たちでさえ、半数以上のビタミンDレベルは30mg/dL以下で、日本の大多数の地域に住む人たちも他ではありません。

血中のビタミンDが50mg/dLあれば、動脈硬化を防ぎやすいほか、認知症の発生率やインフルエンザ罹患率の低下に関連していることが明確に示されており、40歳を過ぎるとビタミンDの吸収は不規則になるため、40歳以上の人は冬季に(準備のため秋から)、出来る限り血中ビタミンD濃度を高めたほうがいいでしょう。

一方、ビタミンDのほか、太陽を浴びることで体内時計調節に大きく寄与する「クロノバイオティクス」として知られるのはメラトニンです。
化学的に「N-アセチル-5-メトキシトリプタミン」と呼ばれ、動物、植物、微生物にも存在するメラトニンは、人間では松果体から分泌され、覚醒と睡眠を切り替え自然な眠りを誘う内因性ホルモンです。
メラトニンは、体内時計に働きかける他、強力な抗酸化剤、免疫活性剤、ミトコンドリア調節因子としても作用し、がん、アルツハイマー病、多発性硬化症、不妊症、さらにはコロナやインフルエンザにまで効果があります。

前述したようにビタミンD不足は「日光欠乏症」として懸念されているのと同様、人工的なブルーライトの浴びすぎによる「暗闇欠乏症」の結果としてメラトニン分泌が低下します。

現在、日本では医薬品医療機器等法に違反するとしてメラトニを販売することは禁じられていますが、米国では2017-20年のわずか3年間だけでもメラトニンの販売量は倍増しており、この背景にはスマートフォンの普及などがありますが、副作用もほとんど見られないことから人気が急上昇。
最近は、「次のビタミンD」であるとサプリメント業界で話されるようになりました。

つまり、10月後半から4月後半までの間で、特に曇天だと思われる日の朝や夜には「ビタミンD」を摂取し、コンピュータやスマートフォンを長く見た日の寝る前には「メラトニン」を補充して、体内クロック・マネージメントを整える必要があります。
時差ぼけ解消にも、このふたつは欠かせません。

また、体内クロック調整のためにデジタルディバイスも愛用しています。
最近は、「PEGASI」というジョンズ・ホプキンス大学医学部との共同開発したライトセラピー・ゴーグルを使って、体内のマスタークロックをリセットするのに大いに役立てています(https://www.amazon.co.jp/dp/B099HYWH1H)。

このディバイスは、どこの国にいてどのような天気でも、朝7時から9時の間にゴーグルを装着してUVカットされたLEDを浴び、体内クロック・マネージメントを行います。
アプリを使えば、フライト先との時差を考え、渡航前から徐々に調整を行うことも可能で、もはや手放せなくなっています。

タイムゾーンをまたがなくても、ちょっとした生活環境の変化でも体内時計は狂うもので、特に季節の変わり目は、注意が必要です。

現代社会における本当のタイムマネージメント。
誰も語らないタイムパフォーマンスの本質は、体内時計を正すことにあるのだろうな、と考える今週です。

どうか皆様、季節の変わり目の体調管理にご注意を。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.648 11月17日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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