※この記事は本田雅一さんのメールマガジン「本田雅一の IT・ネット直球リポート」 Vol.064「世の中は感情とシステムで動いている」(2020年3月19日)からの抜粋です。
相変わらず、今週も日本列島どこに行っても新型コロナウイルスの話題。それは旅先の長野県湯田中でも同じでした。宿のオーナーは横手山・渋峠スキー場のリフト会社も所有しているそうですが、彼の話を聞いていると、周辺の宿泊施設を含め、政府による自粛要請以降、団体予約がパタリとなくなり、その代わりにほぼ全数のキャンセルが入ったことがよくわかりました。
一方で、オープンなスペースで、人の密度もたいして高くはないスキー場ですから、個人客はほとんどキャンセルされていないとのこと。これは、レストラン業界なども同じですが、歓送迎会の季節と重なったこともあって団体客を相手にするレストランは、すぐさま閉業になってもおかしくないほどの打撃を受けていますが、個人のファンを多く抱えるレストランは相変わらず繁盛しています。
僕が住んでいるエリアの人気店も、いつもより多い地域人口に対応しきれないのか、予約なしでは入れないお店ばかりになってしまいました。それが悪いというわけではないのですが、“人が集まる場所”が移動しただけで、クラスターが発生する場所を変える効果しかないんじゃないか? と思うほどです。
しかし、前述のオーナーは、ほとんどの予約客がスキーのハイシーズンにキャンセルを入れたと嘆く声を挙げながらも、むしろ今のうちに借りられるだけお金を借りて、しっかりと投資をして人の流れを掴もうと前向き。彼には人の流れ、お金の流れの変化が見えるのでしょう。
もっとも、この原稿を執筆してる時点で、日米欧……すなわち昼夜を問わずに株価は暴落し続け、あちこちでさまざまなトラブルが続いています。この文章を書いてる時点で、米株式市場は今年7回目の取引停止になりました。
大胆な政策を各国ともに繰り返し、政府予算が尽きるまで……と思えるほどの財政出動をかけていますが、それもほとんど効果がないようです。その背景には、やはり人の感情という、制御しがたいことが影響しているようです。この新型コロナウイルスの問題が発生して以来、“事実関係の整理”だけでは解決しない“気持ちの問題”を強く感じています。
人間は“共感”で生きているものです。身近な人が喜ぶ場面に同席すれば、一緒に幸せな気分を感じたり、心配だと感じる思いに一緒に不安な空気を感じる。同じこと、同じものに対しても、一緒にいる人たちや事前の情報で、感じ方、気持ちの持ち方が変化します。
これは素晴らしい能力である反面、緊急時には厄介なこともあります。なぜなら、世の中は感情ではなく、システムによってルールが決められているからです。
世の中はシステムによって動きが決められている
世の中の多くの事象は、システムを理解することで大まかな動きが予測できると言われています。もちろん、予想は簡単なことではないですが、システムを理解していれば、それはかなり易しくなります。
水でいっぱいのバスタブの栓を抜けば、……
(この続きは、本田雅一メールマガジン 「本田雅一の IT・ネット直球リポート」で)
本田雅一メールマガジン「本田雅一の IT・ネット直球リポート」
2014年よりお届けしていたメルマガ「続・モバイル通信リターンズ」 を、2017年7月にリニューアル。IT、AV、カメラなどの深い知識とユーザー体験、評論家としての画、音へのこだわりをベースに、開発の現場、経営の最前線から、ハリウッド関係者など幅広いネットワークを生かして取材。市場の今と次を読み解く本田雅一による活動レポート。
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