高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

ワクチン接種の遅速が招く国際的な経済格差

高城未来研究所【Future Report】Vol.513(2021年4月16日発行)より

今週は、東京にいます。

現在、まん延防止法によって再び飲食店の営業時間が早まってしまった東京ですが、世界の様相は少し異なります。

今月に入り、厳しい対策をとってきたニュージーランド政府は、オーストラリアからの渡航者に限り、隔離なしでの入国を認めると発表しました(4月18日の午後11時59分から実施)。
まもなくニュージーランドのスキーシーズンが本格的にはじまることから「トラベル・バブル」を実施し、今年は最大10億NZドル(約780億円)の経済効果が見込めると予測されています。
事実、アナウンスされた先週4月6日のニュージーランド航空は、1日で記録的な売り上げを達成しました。

また、シンガポールとタイ、台湾とパラオ間でも双方隔離なしの入国が計画され、そこに香港、フィジー、ベトナムが加わって、アジア・オセアニアで次々と「トラベル・バブル」が、はじまろうとしています。

この「トラベル・バブル」とは、新型コロナウイルス感染症の流行後に、地理的・社会的・経済的に結び付きが強い隣国どうしがひとつのバブル(泡=安全圏枠組みの例え)の中に包まれていると見なし、新型コロナウイルスに対する感染防止策を講じた上で海外旅行をする取り組みで、安全な域内旅行を意味するパワーワードです。

もともとニュージーランドがロックダウンする際、アーダーン首相が「Stay Home」ではなく「Stay in your bubble(自身の泡の中にいてください)」と温和な表現を用いて宣言を発令したことが所以となり、安全な同じ泡のなかにいる国家同士が、自由往来を再開させることに合意する動きが日に日に顕著になりつつあります。

アメリカ疾病予防管理センターCDCによれば、日本は、先月までアジア・オセアニアのなかでは渡航リスクが高い国=「Very high」でしたが、現在は「Moderate」まで降下(https://bit.ly/3daegTA)。
しかし、先週後半から再び感染者が急増し、その上、厚生労働省の検査数をコントロールする書類が流出するなど、先行きは、再び怪しくなってきたように思えます。

さて、多くの問い合わせを頂戴しております新型コロナウィルス・ワクチンですが、世界ではじめて「LDLコレステロール検査法」を発見した新潟大学岡田正彦元教授の動画が大変よくまとまっています(https://bit.ly/2ON38Ti)。
岡田先生は、ワクチン接種により副作用どころではない大変な疾病に陥ることを危惧し、また、米国で治験を担当した有名病院の理事長は、ワクチン開発会社「モデルナ」の重役を兼務し、8億円相当の株券を供与されていたとお話しになっています。

なかでもアストラゼネカのワクチンは、内容が非公開のため、どのような添加物が入っているのか、まったく不明です。
このワクチンは、構造がファイザーやモデルナと異なり、一度摂取すると各人の遺伝子に組み込まれて半永久的に残り、タンパクを合成し続けます。
さらに、アストラゼネカのワクチンは、変異ウィルスに対する治験を行っていない可能性が高いどころか、このワクチンによって変異ウィルスが生まれてしまったのではないか、と岡田先生は推察しています。

一方、ワクチン接種が遅れている日本は、経済復興も大幅に遅れる見通しです。
ブルームバーグによりますと、米国は今年中にパンデミック前の状態のGDPになる見通しですが、ワクチン接種が遅れているEU圏は来年までかかり、さらに遅れている日本が回復するのは、2023年までかかると予測されています(https://bloom.bg/3dgdvZo)。
この間、日本経済はますます疲弊し、外資ファンドの「狩場」になると、フィナンシャルタイムスが報じています(https://on.ft.com/32iaGAB)。
先月、世界最大のファンド「ブラックストーン」は、近鉄グループが所有する8つのホテルを5億5000万ドルで買収しています。
また、ベイン・アンド・カンパニーによりますと、2020年末の時点で、プライベート・エクイティがアジア太平洋地域に向けて保有する未使用の資金は、過去最高の4770億ドルに達するとのことで、国富流出含む「狩り」は、この後ますます活発になる見込みです。

ちなみに米国では、許可を得た薬剤師が常駐するスーパーマーケットでもワクチン接種が行われるようになり、近々「ドライブスルー・ワクチン接種」も予定され、すでにワクチンが余りはじめています(https://bit.ly/3gfnYWW)。

世界的なワクチン協奏曲と、日本経済の疲弊による混沌と混乱は当分続くでしょうから、あらゆる整理はお早めに。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.513 2021年4月16日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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