藤沢数希のメルマガ『週刊金融日記』第279号(2017年8月14日発行)より、冒頭部分をお届けします。
〘第279号 目次紹介〙
// 週刊金融日記
// 2017年8月14日 第279号
// ビットコインはバブルなのか
// トランプvs金正恩チキンレースで米朝開戦の危機
// 表参道ヒルズのレストランはコスパが良かった
// EVの潮流の中でのトヨタ自動車の未来について
// 他
こんにちは。藤沢数希です。
日本は三連休で、そして、お盆休みですね。東京のオフィス街は閑散としています。僕はお盆休み明けぐらいに、ちょっと海外にでも行こうかと思っています。
先日、ビジネス経済誌の週刊SPA!で映画「東京喰種(トーキョーグール)」を紹介しました。僕は原作も読まずに見たのですが、意外と面白く、特に女子高生グールであるトーカちゃんを演じる女優が素晴らしかったです。僕は芸能人とかに疎いので、誰かわからず、帰ってからググったら清水富美加さんという方だとわかりました。
●週刊SPA! 2017年8/15・22合併号 藤沢数希の映画工学
http://amzn.to/2vyIFDK
清水富美加さん……、どっかで聞いたことあるなぁ、と思ったら、大手芸能事務所とケンカして仕事をぶっちし、幸福の科学に出家してネットで騒がれていたあの御方じゃないですか! マジ、僕の感性は間違っていなかった、とひとりGoogleの前で打ち震えました。出家するときに、「人肉を食べる役柄など良心にかなわない仕事を断わることもできず、苦悩していた」などと発言しています(正確には、清水富美加さんがそう言った、と幸福の科学が言っている、と週刊誌が書いている)。東京喰種のことか!! で、さらに、その発言を受けて、東京喰種の原作ファンが、そんなふうに作品を侮辱するとは何事か!と明後日の方向で炎上した、というオモシロ展開。
まあ、僕はこの映画で、女優としての清水富美加さんは本当に素晴らしいと思ったので、週刊SPA!にその旨を書いたんですが、さっきうちに届いた現物を見たところ、そこんところは、何事も無かったかのように、編集で書き換えられておりました(笑)。
さて、常に品薄状態で、プロの転売屋たちに買い占められ、価格を吊り上げられている任天堂のスイッチですが、とうとう公式サイトで予約販売をはじめるそうです。最初からそうすればいいんですが、小売業者といっしょにこれまでやってきたんで、安々とこういうことはできないんですよね。これも、大人の事情というやつですよ。
●任天堂、品薄の「ニンテンドースイッチ」公式サイトで予約販売、8月22日から
http://www.sankeibiz.jp/business/news/170810/bsc1708101820012-n1.htm
トランプ大統領と北朝鮮最高指導者の金正恩氏とのつばぜり合いが続いています。いま世界の平和は、このふたり次第だということですよね。人類はこのふたりに核のボタンを託したわけです。
●「体制の終わり」「グアム沖に4発」米朝、威嚇の応酬
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO19906340Q7A810C1EA1000/
僕がビットコインについてこのメルマガで書きはじめたときは、まだ、20万円台だったのですが、いまやビットコインは1枚50万円を目指す勢いです。なかなか売りから入る人はいないでしょうから、僕のメルマガをきっかけでビットコインをはじめた人は、だいたいは儲かっていそうで何よりです。また、ビットコイン分裂をかなり正確に分析できて、僕自身も儲かりましたし、ビットコインひとり勝ちで、アルトコインのパフォーマンスが低調だというのも予想通りで、まあ、嬉しいんですが、まさか、ここまで上がるとは……。
まあ、僕もロングしてるんで、儲かってはいるんですが、もうちょっと下がってから、たくさん買おうと思ってたんで、そこまで大きく買えてないんですよね。トレーディングしていると、損するともちろん苦しいのですが、大きく儲けるチャンスをガッツリと取れないだけでも、そうとうに心が苦しいのです。やっぱり、こんなものはカタギの人間がやるものではなく、買ったら、あとは買ったことなんて忘れて、ずっと放置するのが、どう考えても正解ですよ。利益を確定しなければ税金の心配もありませんし。
『週刊金融日記 第275号 いまさら人に聞けないビットコインとブロックチェーン・テクノロジー』
『週刊金融日記 第276号 ビットコインは本当に世界を変えるかもしれんね』
『週刊金融日記 第277号 ビットコイン分裂の経済学 ~ハードフォークを正しくプライシングする』
『週刊金融日記 第278号 ビットコイン・アービトラージ ~市場に札束が落っこちていた』
●ビットフライヤー
https://bitflyer.jp/?bf=qrnsepru
さて、今週も面白い投稿がいくつもありました。見所は以下のとおりです。
─角川ドワンゴのN高等学校についてどう思われますか
─全国版パコログの提案
─EVの潮流の中でのトヨタ自動車の未来について
─ニューヨークで23歳中国人女性にゴールの報告
─ルーティーン「居合(ゐあひ)」女からの波動を感じたらすっと引き寄せて……
それでは今週もよろしくお願いします!
1.ビットコインはバブルなのか?
ビットコインの価格はあれよあれよという間に上がり、この原稿を書いている時点で、1BTC=45万円程度です。時価総額はすでに7兆円を超えました。もう、ビットコインより時価総額が大きい会社は、日本にはトヨタ自動車と三菱UFJFGとNTTとドコモとソフトバンクぐらいしかありません。果たしてこれはバブルなのでしょうか?
そうしたことを考えるために、僕はいま、暗号通貨のバリュエーションモデルを作っているところです。最初のアプローチは、ダイヤモンドやゴールドのような宝石や希少金属など、伝統的に価値を保存するために使われてきたアセットとの比較です。二番目のアプローチは、ブロックチェーンを積み上げるために、世界中のコンピュータが競争するProof of Workにかかる電気代から求める方法です。三番目は、自国通貨を信用できない政情不安定な国の市民の需要や、北朝鮮や犯罪組織など国際金融の決済システムから締め出されている地下経済からの需要を推定し、その価値を見積もる方法です。
有望で比較的簡単なのは最初のアプローチでしょう。僕は、さっそくAmazonでダイヤモンドや宝石の本を買って、いま勉強しているところです。二番目の電気代アプローチは、まだサトシ・ナカモトがビットコインの開発に関わっていたころ、仲間内で最初にドルや円と交換するときにどれぐらいのレートにしようかと相談して、じゃあ採掘にかかった電気代から求めてみよう、ということになったらしく(この辺の噂の真偽はよくわかりませんし、調べていません)、暗号通貨バリュエーションの古典的なアプローチだと言えそうで、これも有望そうです。しかし、価格が上がれば、採掘業者のインセンティブが高まり、より多くのハッシュパワーが振り向けられる結果、ビットコインの採掘難度が自動的に難しくなり、電気代も増えるということから、ビットコイン価格と電気代が複雑な相互作用を引き起こしているため、なかなかの難問かもしれません。最後のアプローチは、まず、地下経済の需要を見積もるのが大変です。そして、暗号通貨に懐疑的な人たちが、よくマネーロンダリングに使われるリスクを指摘するのですが、これまでの取引がすべて世界中に公開されてしまうビットコインは、じつは地下経済に向かない、という話もあります。
そもそも、通貨というのは、価値があるから価値がある、というトートロジーでしか説明できない不思議なものであるので、暗号通貨の価値を測る、というのは極めて難しい問題です。世の中にある、金融工学などの理論は、通貨の価値は何だという難しいことは置いておいて、自国通貨から他の資産、たとえば株式だとか債権だとかの価値を見るから成り立つのです。為替の理論も、通貨の絶対的な価値ではなく、通貨同士の相対的な価値から考えるから、理論が構築できます。通貨そのものの絶対的な価値というのは、なかなかに哲学的な問題であり、ことのほか難しいのです。
しかし、このように暗号通貨の価値とは何か、と考えるのは大変に知的好奇心をくすぐられます。そして、いま現在、ほとんどまともなモデルがありません。大げさにいえば、量子力学や相対性理論が一気に花開いた1900年頃の物理学と同じ状況なのかもしれません。この大げさな例え話が、じつはそんなに大げさでなかったとしたら、いまのビットコインの価格はバブルではない、ということになるのですが……。
さて、今週は読者から暗号通貨に関する質問が多かったので、まずはそれらに答えましょう。
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─仮想通貨リテラシー向上に役立つ書籍やWebサイトを教えてください
所長、ご無沙汰しております。
小生、仮想通貨は全く知らないという素人よりは、ちょっと知っているぐらいのレベルなのですが、今後、生活インフラにまでなるかもしれない仮想通貨周りのリテラシーを上げておきたく、しっかりと勉強したいと考えています。
所長が仰っていたように、仮想通貨関連の情報はネットも本とよく間違っていたり、わかりにくかったりするものが多いとのことですが、前提知識がないと「ググってもカス」で終わってしまいます。
つきましては、以前ご紹介された以下の書籍以外で、リテラシーを深める上で役立つ書籍やWebサイト等を教えていただけますでしょうか。
『ビットコインはどのようにして動いているのか? ビザンチン将軍問題、ハッシュ関数、ブロックチェーン、PoWプロトコル』大石哲之
http://amzn.to/2u2EYak
『ブロックチェーン入門』森川夢佑斗
http://amzn.to/2uUnhuU
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僕は暗号通貨関連の書籍を20冊ぐらい読みましたが(パラパラめくっただけのものも含む)、これがぜんぜんいい本がないんですよね。だって、去年のいまごろのビットコイン価格は4万円程度で、いまの10分の1ですよ。2014年にビットコイン取引所の最大手のマウントゴックスで、数百億円のビットコインが盗まれてしまい、経営者や身内による犯行だろうと思われていたら、つい先日、ブルガリアの世界最古の暗号通貨取引所のひとつを使って、4000億円以上を資金洗浄していたロシア人が、マウントゴックスから盗まれたビットコインも洗浄していたらしく、ずっと捜査していたアメリカのFBIにギリシャで捕まったりしたんですよ。
もう、本屋に並んでいる暗号通貨の本は、どれも古くて、古くて……。
まあ、敢えていえば、以下の本が、よくまとまっているかもしれません。アルトコインを買うのには便利なコインチェックの共同創業者の方が書いた本です。
『いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン』大塚雄介
http://amzn.to/2w2OH1A
ということで、習うより慣れろ、というか、どう考えても、自分でビットコインを保有してみるのが一番ですね。
●ビットフライヤー
https://bitflyer.jp/?bf=qrnsepru
●コインチェック
https://coincheck.com/?c=eVx3E0oefEs
ビットフライヤーについてはメルマガでかなり解説したのですが、ビットフライヤーはほとんどビットコインのためだけにある取引所でして、それでもいいんですが、他のアルトコインもちょっと買ってみたい場合は、コインチェックのアカウントも必要です。こちらの取引所も、次週以降に解説したいと思います。
(続きは藤沢数希のメールマガジン『週刊金融日記』第279号にてお読みください)
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藤沢数希・著『損する結婚 儲かる離婚』
男女双方とも、簡単に全財産以上の金額が吹っ飛ぶのが結婚という金銭契約です。 「結婚はデリバティブ取引と同じでゼロサムゲーム。こと金に関しては夫婦は食うか食われるかの関係にある」。金融工学と恋愛工学について研究を重ねてきた藤沢数希が、適切な結婚相手の選び方を具体的なケースを元に解き明かす!
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