高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

健康的な耳を取り戻す

高城未来研究所【Future Report】Vol.583(8月19日)より

今週は、姫路、岡山、富士山麓と移動しています。

ちょうど「お盆」ということもありまして、まだまだコロナ禍だと言われる日本でも、夏の大移動の時期で各地が賑わいます。

「お盆」は、日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した行事で、仏教用語の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」を省略し「盆」と呼ばれるようになりましたが、大元はサンスクリット語の「ウッランバナ」の当て字として漢字になり、さらに辿れば、人類初の文明が起きたと言われるシュメールの「霊魂」を意味する「ウルヴァン」が語源です。
古代中東で先祖供養していた文化が、ゾロアスター教を経て、インドで仏教と集合し、それが東に向かって漢字になったのが「盆」です。
古代中国では、お盆に行われる飾り付けを模し「皿を分ける」と書いて「盆」の字が当てられました。

また、丁半博打を開帳する賭場も「盆」と呼びますが、こちらはお盆の時期に仏壇に敷いてお供え物をするのと同じ茣蓙(ござ)を敷くことに由来します。
しかし、もととも違法行為だったこともありまして、現代社会で賭場はすっかり廃れ、同じく「お盆」の時に先祖をお迎えする飾り付けやお待ちする茣蓙も、いまや廃れているように見受けられます。
これもグローバリゼーションが本質的に内包する無宗教の現れなのかもしれませんし、すでに帰省タイミングと化したことから、100年後にお盆は完全になくなっているかもしれません。

さて、今週も聴力復活とヘッドフォンのお話しをもう少し。
それなりのご年齢の方や長年ノイズキャンセリングヘッドフォンを使ってきた方は、高域を聞き取る聴力がおぼつきません。
一方、長年直接耳に入れるカナル型のイヤフォンをお使いの方は、全域に渡って聴力が落ちている傾向にあり、左右差が生じてしまっている方も少なくありません。

そこで、iPhone用の聴力検査アプリをMacで走らせ、アプリの出力をDAWに流し込んで何度もテストしながらイコライザーを使って自分の耳を補正します。

まず、自分が聞き取れない帯域をイコライザーを用いて持ち上げ、また、左右差があるようならパンポットで適正値を探ります。
もし、右も左も全周波数帯域に渡って聴力が落ちているようなら、聴力検査アプリから聞こえるDAWのマスターレベルを上げる必要があります。
こうして何度もテストを繰り返しながら、適正音量で全域に渡ってフラットになるように調整を繰り返すのです。

この結果、得られた音が正しい音、つまり健康的な耳の状態といえます。
こうして普段から音楽を聴く際もイコライザーなどを駆使し、擬似的に健康的な音を聴かないと、聴きやすい周波数ばかり聞くようになってさらに偏ってしまい、本来の正しい値と乖離してしまいます。

また、全域を聴き込むトレーニングも必要です。
簡易的なものであれば、Youtubeにもアップされておりますので、適宜聴き込みます。

そして耳も他の筋肉と同じ、衰えたらトレーニングする必要がありますので、幅広い音域を聞きながら物理的に耳を揉むことで効果を高めます。
さらに、腸内環境悪化と難聴傾向に相関関係が見られることから、耳だけに注力するのではなく、クレアラボ社などのサプリメントを用いて、あわせて腸内環境を整え直すことも大切です。
東洋医学では、古くから耳の問題は腸の問題だと考えられれきました。
古い教えを忘れてはなりません。

翻って現在、盆踊りも騒音に対するクレームから各地で次々と中止が報告され、どうやら古くからの教えを忘れているように見受けられます。
いつか、全員がヘッドフォンして踊る「未来型盆踊り」も登場するかもしれません。
たとえ形は変わっても、古くからの教えには大切ななにかが必ずあるものです。

次週は、いよいよ自分にあったヘッドフォンの選び方につきまして、お話しします。
あわせて、私的なベストヘッドフォン2022夏を発表します!
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.583 8月19日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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