岩崎夏海
@huckleberry2008

岩崎夏海のメールマガジン「ハックルベリーに会いに行く」より

結婚はむしろコスパサイコー!? ほとんどの若者が理解していない賢い老後の備え方

※岩崎夏海のメルマガ「ハックルベリーに会いに行く」より

「老後破産」というのが話題だという。

「天地真理」が激白! 「柳沢きみお」も瀬戸際! 誰でも危ない「老後破産」の共通項を検証する

また、この記事に言及した、こんな記事もあった。

キミは天地真理さんを笑えるか? 他人の苦労を笑う者ほど「明日はわが身」の怖さがわかっていない

これらの記事がどういうことを書いているかというと、「今の時代はさまざまな理由で、あるときから急に収入がなくなったりする。そうして資産がなくなる。それでいながら、体はまだ健康だ。そのため、老後を鬱々と過ごす羽目になる」というものだ。

この記事を読んだある若者が、自分の老後が不安になったという。そして、「貯金でもしようか」と考えたのだそうだ。なにしろ、今は全く貯金がないのだという。

しかしながら、貯金はけっして賢い選択とはいえない。なぜならお金は、資産の中でも最も減りやすく、そのためすぐになくなる危険性が高いからだ。数億円という規模だったらまた別だが、数千万円では、何かことがあったら一気に吹っ飛んだりするので、全く当てにならない。

それに、お金は「新たな資産」を形成しにくい資産でもある。それを元手にまたお金を生む――というのが案外難しい。その意味でも、資産としては非常に頼りない存在だ。お金の利点はすぐに使えるということくらいなのだが、まさにその利点が、資産としての弱点ともなっているのである。

では、老後に備えるにはどうすればいいのか?
今回は、そのことについて考えたい。

まず、もとの記事にも触れられているが、人が収入を得るための方法は、大きく分けて4つある。それは、「労働、資産、家族の援助、社会保障」だ。

若者の中には、この4つを「収入を得るための方法」として、そもそも理解していない人が多い。ほとんどの若者は、収入を得る方法は「労働」しかないと考えている。

例えば先日、こんな記事が話題になった。

コスパが悪い? 結婚ほど不確実なものはない

これを読んで、びっくりした。今の若者の多くは、結婚のコストパフォーマンスの「良さ」が、理解できていないのだ。それは、収入を得るための方法として、上に挙げた「家族からの援助」を考えられていないからである。

家族というのは、何も血縁に限るわけではなく、ここでは大きく「社会とのつながり」と言い換えても良い。社会とのつながりが大きければ、それだけ助けてもらえる可能性が高まる。子供が何人もいれば、そのうちの誰かが助けてくれる可能性は大きい。あるいは、子供が何人もいれば、孫だって何人もできる。そうして、社会とのつながりは指数関数的に増えていく。
極端な話、孫が100人いて、そのうちの多くの強いつながりを保っていれば、死ぬまで食いっぱぐれはないだろう。その意味で、結婚はむしろ「コスパサイコー!」なのである。
(ちなみに「コスパサイコー!」とは、頭の悪そうな若者が言いがちの言葉ということで、ぼくの中で流行っている言葉である)

「お金」というのは、労働、資産、家族の援助、社会保障という4つのうちの、「資産」に分類される。そして「資産」には、大きく分けて「お金、不動産、証券、その他」の4つがあるから、お金はそのうちの4分の1に過ぎない。つまり、収入を得るための方法全体でいえば、4分の1の中の4分の1で、16分の1の価値しかないのだ。

確かにお金は目に見えやすいし、とても使いやすい。しかしながら、その16分の1に集中してしまうと、他の16分の15が疎かになって、老後の困窮は免れない。もし真剣に老後に備えるとしたら、お金以外の16分の15について、もっと真剣に考えるべきなのだ。

そろそろ紙幅がつきてきたから、ここからは簡単に記したい。
老後に備えるためには、上記の「労働、資産、家族の援助、社会保障」の4つについて、それぞれ考えることだ。

一つ目は、「老後にも働ける環境を確保しておく」ということ。そのためのスキルを、若い頃に身につけるのだ。
例えば士業などは、一生続けられる仕事だ。あるいは商売も、定年というものがない。それ以外にも、老人になっても働ける仕事というのがいくつかある。そのためのスキルを、今から養っておくのだ。

二つ目は、資産でも新たな資産を形成しやすい、不動産や有価証券を手に入れるよう、若いうちから努力すること。

三つ目は、家族に投資すること。結婚し、子供を産み、地域の人々ともつながりを深める。助けられるときに、できるだけたくさんの人を助ける。今持っているお金を、誰かを助けるために使いまくる。

四つ目は、社会保障。社会保障は、いざというときのセーフティーネットだが、これを心置きなく受けるためには、変な言い方だが、税金や年金、保険金を払えるときにけちけちせずにしっかり払うということである。税金や年金、保険金を払えるときにしっかりと払っておけば、いざというとき社会保障に助けられても、心の負担が軽くなる。心の負担が軽くなると、それだけ生きやすくなるのである。

まとめると、老後に備えるためには、若いうちにいろいろと「投資」しておくということだ。老人になっても働くスキルを身につけるために投資し、不動産などの資産を形成するために投資し、子供のために投資し、社会保障を得るために投資する。
そういうふうに投資をしまくっていると、現金など手元になくなるが、それでいいのである。それは、貯金をするよりよっぽど賢い老後への備えなのだ。

 

岩崎夏海メールマガジン「ハックルベリーに会いに行く」

35『毎朝6時、スマホに2000字の「未来予測」が届きます。』 このメルマガは、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(通称『もしドラ』)作者の岩崎夏海が、長年コンテンツ業界で仕事をする中で培った「価値の読み解き方」を駆使し、混沌とした現代をどうとらえればいいのか?――また未来はどうなるのか?――を書き綴っていく社会評論コラムです。

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岩崎夏海
1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著「部屋を活かせば人生が変わる」(累計3万部)などがある。

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