※高城未来研究所【Future Report】Vol.714(2月21日)より

今週は、東京にいます。
久しぶりに東京へ訪れたハリウッドで働く友人は、LAの山火事で家を失ったため、しばらく日本各地を巡ってニュージーランドへ移り住む予定だと僕に話します。
この機に移住を考えているハリウッド関係者は相当数いるとのことで、特にニュージーランドは人気とのことです。
いったい、なぜハリウッド関係者が向かうのは、リセッションに突入したニュージーランドなのでしょうか?
以前、ペイパルマフィアと呼ばれるピーター・ティールなどテック長者が、ニュージーランドのクィーンズタウン周辺に、「世界の終わり」や「最終的な破滅の日」を指すドゥームズデイ(Doomsday)に備え、セーフハウスを持つ人が急増している、とお伝えしました。
ニュージーランドは主要な大国から遠く離れた島国であり、地政学的リスクが低く、英語圏かつ政治的に安定しており、社会的な混乱が少ないため、安全な避難先として米国人に人気の移住先です。
豊かな自然環境と低い人口密度により、食料の完全自給が可能であり、持続可能な生活が期待できるのも魅力です。
また、一定の投資を行うことで永住権を取得しやすい制度が整備されており、富裕層にとって魅力的な条件となっているため、今後想定される米国大混乱に備え、ニュージーランドのクィーンズタウン周辺に避難地を作っているのです。
しかし、今回のLAの山火事による被災者たちは、このような「最終的な破滅の日」に備えるのではなく、すでに「ドゥームズデイ」がLAで起きてしまい、家も子供の学校もすべて焼けてしまって、余儀なくすべてがリセットされてしまいました。
そこでイチから生活を考えなくてはならない事態に陥った彼らが目指すのは、魅力的に映る新天地ニュージーランドのなかでも富裕層が好むクィーンズタウンではなくウェリントンです。
いったい、なぜウェリントンなのでしょうか?
それは、ニュージーランドに第二のハリウッドを作る計画があり、すでに「アバター」シリーズで知られる映画監督ジェームズ・キャメロンなどがLAから移住しているからに他なりません。
同国出身で、「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」のピーター・ジャクソン監督は、ニュージーランドを世界的な映画の都にしようと長年苦心してきました。
特に「WETA DIGITAL」を中心とする、ポストプロダクション産業に力を入れ、現在、1000社近い映像系IT企業がウェリントンに集まり、いまや世界的な特撮のメッカに成長しています。
実は「アバター」シリーズの続編「アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ」は、撮影も含めてすべてニュージーランドで制作されており、キャメロンはウェリントン郊外にある東京ドーム250倍の敷地を入手。
「ハリウッドを超える巨大な撮影所を作る」と、昨年、市長同席の記者会見を行いました。
そこで、ハリウッドのなかでもVFXを手がける人材を、絶賛リクルート中なのが現在です。
パンデミック以降、TMSCをはじめ、産業集積地を圧縮して人もコミュニティも装置もすべて場所を移し替えるような動きが増えています。
ハリウッドそのものを圧縮してウェリントンへシステムごと動かすように、また、自動車産業がデトロイトから深センに移り変わったように、単なる企業誘致を超え、世界のどこかにある産業集積地を日本へ持ってくることはできるのでしょうか?
ポストインバウンドとも言えるこの動きは、これからますます顕著になるのだろうなと考える今週です。
ちなみに友人曰く、8年ぶりに訪れた渋谷駅周辺は、別の街だ!とのことです。
確かにこの5〜6年で別の景観になりました、少し前のVFXで作った街のように。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.714 2月21日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 大ビジュアルコミュニケーション時代を生き抜く方法
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
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