※この記事は名越康文氏の新刊『どうせ死ぬのになぜ生きるのか』(PHP研究所、2014年11月15日刊行)の序文です。
みなさんこんにちは。この本は皆さんの生活の中に仏教を取り入れていく方法について、僕なりにまとめたものです。具体的には仏教における行や瞑想、そして方便を中心に、皆さんの日常の中に仏教の学びを取り入れる方法をご紹介したいと思っています。
行とは何か、方便とは何か。簡単に説明すれば、行や瞑想というのは心を落ち着かせ、整える方法であり、方便というのは仕事や日常の人間関係の中で適切に振るまい、人に貢献する、ということです。
仏教を学ぶというと「難しい」とか「厳しそう」という印象を持つ人が多いかもしれません。しかし、行や瞑想、あるいは方便というのは必ずしも難しく、厳しいものではありません。むしろ一つひとつを取り出してみると、「え? こんなことでいいの?」と思うぐらい、単純なこと、当たり前に思えるようなことも少なくないのです。しかし、それを実際に自分の生活に取り入れるか、取り入れないかということが、その人の人生を大きく変えてしまいます。
そもそもなぜ、精神科医である僕が仏教に関心を持ち、それを日常生活の中に取り入れるようになったのか? そこに疑問を持たれる方もおられるでしょう。詳しいことは本文で述べさせてもらいたいと思います(少し長いストーリーがあるのです)が、ここで言っておきたいことは、そんな「門外漢」だからこそ、お伝えできることがある、ということです。
仏教の行や瞑想、あるいは方便というのは、老若男女を問わず、どんな人でもいつからでも日常の中に取り入れることができるし、取り入れるべきものだというのが僕の考えです。そして、これまで縁がなかった人が仏教を自分の日常に取り入れていくときには、僕のような「門外漢」の話のほうがお役に立てることも少なくないと思うのです。
本書を手に取られた方の中には、仏教に強い関心を持っている方々が少なくないでしょう。ここで最初にお断りしておきたいのは、もしあなたが仏教の「知識」や「教養」を求めて本書を手に取られたとすれば、残念ながら期待はずれになってしまうかもしれない、ということです。
僕はお坊様でもなければ、仏教の専門家でもない、一介の町医者に過ぎません。僕が毎日の生活の中に仏教の行や瞑想を取り入れるようになったのは、四十八歳の頃からで、まだ十年も経っていません。ですから、「仏教の専門家」としての内容を期待されると、それは高い確率で裏切ってしまうことになるでしょう。もし知識や教養としての仏教を学びたいので あれば世の中にはすばらしい本がたくさん出ていますので、そちらで学んでいただきたいと思います。
しかしもしあなたが、「自分の人生をもう少し充実させたい」「毎日をもう少し明るく生きたい」という願いから仏教に関心を持たれているのであれば、この本のお話は、多少なりともお役に立てるのではないかと思っています。
新刊『どうせ死ぬのになぜ生きるのか』

精神科医の結論。日々の不安の根底にある根本的な疑問を解決する答えは、仏教の教えにある! 誰でも実践できる“行(ぎょう)"が人生を変える。
<目次>
第一章 どうせ死ぬのになぜ生きるのか
第二章 仏教には行がある!
第三章 〝最強の心理学〞としての仏教
第四章 因縁を断ち切る「行」の力
第五章 無常を知るということ
第六章 日常の中でお寺や仏具を活用する
第七章 仏教の真髄は瞑想にあり
第八章 現世で善行を積もう│ 方便と菩提心
amazonで購入する!
その他の記事
|
「暗い心」から脱するための、あまりにもシンプルな指針(名越康文) |
|
これからの数年間は本格的な動乱期に入る前の最後の準備期間(高城剛) |
|
NAB2017でわかったHDRのインパクト(小寺信良) |
|
重要な衆院三補選、戦いが終わって思うこと(やまもといちろう) |
|
『悲劇の誕生』ニーチェ著(茂木健一郎) |
|
川の向こう側とこちら側(名越康文) |
|
ネットニュース界隈が公正取引委員会の槍玉に上がっていること(やまもといちろう) |
|
迷走する吉本興業の問題が“他人ごと”だけでは済まない理由(本田雅一) |
|
2022年夏、私的なベスト・ヘッドフォン(高城剛) |
|
無意識の領域へアクセスするあたらしい旅路のはじまり(高城剛) |
|
無我夢中になって夏を楽しむための準備(高城剛) |
|
資本主義の「貪欲さ」から逃げるように拡散するエッジ・ブルックリンの本当の魅力(高城剛) |
|
「AI色」の未来は避けられない(高城剛) |
|
『つないだ手をはなして』主演川上奈々美さんインタビュー(切通理作) |
|
再びサイケデリックでスイングしはじめるロンドン(高城剛) |











