高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

モアイの謎、イースター島にはまだまだ夢がある

高城未来研究所【Future Report】Vol.274(2016年9月16日発行)より


今週は、イースター島にいます。

先週滞在していた、ほぼアフリカに位置する常春のマデイラから、リスボン、イビサ、そしてリマ、サンチャゴでの南米仕事を終え、次の仕事先であるオーストラリアへ真横に移動する途中に、久しぶりにイースター島に立ち寄りました。
チリのサンチャゴからオーストラリアに向かうためには、接続の関係で、このイースター島で1日半滞在する必要があるのです。

年々観光化が進むイースター島は、10年前に比べ、来島する飛行機も倍近くなりましたが、空港のキャパシティだけを考えれば、まだまだ余裕があるように見えます。
というのも、この島の3500メートルに及ぶ超ロング滑走路は、実はスペースシャトルの着陸を前提に設計されており、しかし、一度も着陸したことがありません。
以前、この島を訪れた際に、「一説には宇宙人によって作られたとも言われるモアイの島に、スペースシャトルのための滑走路が作られたなんて現代の夢物語のようだ」と思いましたが、その夢は夢のままで、スペースシャトルも宇宙人の再訪も、近年この島にはありません。
訪れるのは、増え続ける世界中からの観光客で、それはそれで良い夢のように思います。

さて、解明が進んでいると言っても、モアイは多くの謎に満ちています。
いまも900体を超えるモアイが島じゅうにあり、いったいどのように作られ、運ばれ、何のために作られたのか、多くの謎がまだまだあります。
特に大きさ20メートルを超え、重さ100トン近い大型モアイが、どのようにして石が切り出されて作られた山間から、多くが立つ海辺まで運ばれたのか、その運搬方法がまったくの謎なのです。
木を切った丸太の上を転がしたとする説や、紐をつけて立たせたまま、多くの人手を使って少しづつ前に進めたとする説の他、なかには、「モアイが自ら歩いた」と言われる伝説もあります。

今回、久しぶりに島に訪れてわかったことは、モアイの製作技術を持っていた人たちは、実は一家族だけで、その人たちが多くの人たちに指示をだし、製作から運搬まですべてを手がけていたことでした。
何百人も(一説には数千人も)働いていたと言われるモアイ工場を取り仕切っていたのは、たった数人の家族だけだったというのです。
滞在中、偶然にもその末裔の方とお会いする機会がありお話を伺うと、当時は「現代とは違う、科学の力があった」とお話ししていたのが印象的でした。

さて、人口6000人しかいない小さな島に似つかわしくない3500メートル滑走路を持つ大型空港に降り立つのは、スペースシャトルが先か、それとも「現代とは違う、科学の力」を持つ人々が再び舞いおりるのが先なのか。

この島には、まだまだ夢があります。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.274 2016年9月16日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. マクロビオティックのはじめかた
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

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高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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