現実をきちんと「見る」ことが難しい今こそお薦めしたい本

『ご依頼の件』星新一著

読書の原点

子供の頃に星新一のショートショートにお世話になったという人は、ずいぶん多いのではないかと思います。典型的なじっとしていられない子供だった自分にとっても、星新一ははじめて本というものに没頭させてくれた読書の原点でした。

彼の読者だった者なら誰しも、記憶に焼き付いて離れない“特別なお話”というのが一つはあると思いますが、自分の場合、特に本書に収録されている『夜の会話』がそれでした。内容は、一見するとある平凡な男のUFOそして宇宙人との遭遇を描いた軽いSFものという風なのですが、その実「現実はどうやって作る(作られる)のか?」「そもそも人がなにかを見るということとはどういうことなのか?」といった、唯識論的なテーマを扱ったお話になっているんです。

ここのところ、ますます時勢の変化が激しくなり、「現実」をきちんと「見る」ということが難しくなってきたという気がしています。そうした状況のなか、改めて“見通し”というもののありようを問う意味でも、この場をかり先のお話を紹介したいと思います。

1 2 3 4

その他の記事

乱れてしまった自律神経を整える(高城剛)
英国のシリコンバレー、エジンバラでスコットランド独立の可能性を考える(高城剛)
iPhone6の画面サイズにみる「クック流Apple」の戦略(西田宗千佳)
“B面”にうごめく未知の可能性が政治も社会も大きく変える(高城剛)
普遍的無意識を目指すあたらしい旅路(高城剛)
ヘヤカツで本当に人生は変わるか?(夜間飛行編集部)
リピーターが愛してやまない世界屈指の炭酸泉(高城剛)
週刊金融日記 第316号【Twitterオフパコ論の再考察とTOKIO山口メンバーはおっさんになったらモテなくなったのか他】(藤沢数希)
なぜ若者に奴隷根性が植えつけられたか?(後編)(岩崎夏海)
「脳ログ」で見えてきたフィットネスとメディカルの交差点(高城剛)
ZOZOSUITのビジネススーツ仕上がりが予想以上に残念だった理由を考える(本田雅一)
初夏のような沖縄で近づいてきた「転換期」を考える(高城剛)
史上最高値をつける21世紀の農産物(高城剛)
学歴はあとから効いてくる?ーぼくは反知性主義的な場所で育った(岩崎夏海)
今週の動画「虎落解き」(甲野善紀)

ページのトップへ