ブロマガと夜間飛行の違い
津田:とくに、「読みやすく」というところがポイントです。今、津田マガの編集を頼んでいる松本香織に声をかけたのも、彼女が構成した文章を読んで「抜群に上手い」と思ったからです。僕自身も構成マニアというか、対談やインタビューの構成は大好きで、かなり凝るタイプなんですが、彼女は僕よりも構成が上手い。津田マガはそういう人たちに支えられて、今のクオリティを維持しているわけです。
それでね、夜間飛行がどうやって生き残っていくかという話ですが、まさにこのインタビューで実現しているように、ある企画を立てて、それを「読みやすいテキスト」に落とし込むことができるというのが、夜間飛行の持つ強みだと思うんです。
実際、先日のニコ生を僕は2時間弱観たわけですが、長いですよね。よほど興味のあるテーマでもない限り、現代人は1時間半もかけて動画を観ることはできません。でも、もしあの生放送を文字に起こして整理をすれば、きっと15分もあれば読めるものになる。そうすればずっと多くの人に内容を知ってもらうことができますね。
井之上:なるほど。画像をつけたり、動画をつけたりすることが、「リッチコンテンツ」と言われてきましたが、実は、情報の圧縮率が高いものこそ、「リッチ」なコンテンツだということですね。
津田:ええ、そうです。そして、リアルな空間を圧縮する場合に、「文字」というのはとても優秀です。
今では、会見を中継することを「tsudaる」なんて言われていますが、実は僕がツイッターを使ってやっていたのも、まさに「文字による情報の圧縮」なんです。会見全部を見ている時間がない人に向けて、ポイントだけをテキストにまとめて読めるようにした。この仕事のおかげで僕自身も世間に注目してもらえるようになったわけです。
そう考えてみると、ブロマガというのは、実際問題、夜間飛行にとってものすごく強力なライバルだと思いますが、最終的にはうまく住み分けられるような気がします。
というのは、ブロマガは動画があるというのが売りです。動画というのは、結局、コミュニケーションの道具なんですよ。話されている内容がどうであれ、読者と視聴者が触れ合うこと自体を楽しむメディアです。一方でテキストの強さは、コンテンツの純度が高いという点です。だから、ブロマガは、ソーシャルなコミュニケーションの力で人を呼び込む。夜間飛行はコンテンツの純度を高めて、コンテンツの力で人を呼び込む。どちらが正解ということでもないと思うんです。
…続きはご購読の上、お楽しみください。
(注):ニコニコ生放送9月5日放送「メルマガの未来~ネットはオープンorクローズ...どちらに進んでいくのか」のこと。津田さんは司会をしたかったのだが、ほかのスケジュールと重なっていたため、出演できなかった。
http://news.nicovideo.jp/watch/nw360503
<津田大介メルマガ『メディアの現場』特別号外Vol.1より>
その他の記事
開発者会議で感じた「AWS」という企業の本質(西田宗千佳) | |
細野豪志さんとJC証券が不思議なことになっている件で(やまもといちろう) | |
「支持政党なし」の急増が示す政治不信の本質(やまもといちろう) | |
平成の終わり、そして令和の始まりに寄せて(やまもといちろう) | |
宗教や民主主義などのあらゆるイデオロギーを超えて消費主義が蔓延する時代(高城剛) | |
スマートフォンの登場:デジタルカメラ市場の駆逐へ(高城剛) | |
人間関係は人生の目的ではない <つながり至上社会>の逆説的生き残り戦略「ひとりぼっちの時間(ソロタイム)」(名越康文) | |
5年後の未来? Canon Expoで見たもの(小寺信良) | |
中国発「ビリビリ動画」の米NASDAQ上場と、日本の「ニコニコ動画」の終わりっぷり問題(やまもといちろう) | |
ネット教育今昔物語(小寺信良) | |
「10年の出会い、積み重ねの先」〜日本唯一のホースクリニシャン宮田朋典氏による特別寄稿(甲野善紀) | |
連合前会長神津里季生さんとの対談を終え参院選を目前に控えて(やまもといちろう) | |
スマホが売れないという香港の景気から世界の先行きを予見する(高城剛) | |
週刊金融日記 第306号【余るホワイトカラーと足りないブルーカラー、株式市場は回復の兆し他】(藤沢数希) | |
「温かい食事」だけが人生を変えることができる #養生サバイバル のススメ(若林理砂) |