毎月専門家のゲストをお招きして、旬なネタ、トレンドのお話を伺います。
今月の対談のお相手は、僕と似たようなフィールドで活躍している、ジャーナリストの西田宗千佳さんにお願いしている。
フィールドは似ているとは言っても、西田さんと僕とではアプローチの方向が全然違うので、同じネタを扱いながらも内容が被らないという、不思議な関係を維持している。僕としては、大変組みやすい相手なのだ。今回の対談は、元々西田さんのメルマガ用に収録したものだが、こちらでも使っていいということなので、有り難く頂戴させていただいた次第である。
テーマは「現在僕らが気になっていること」。今年度も半期が過ぎたところで、一度ムーブメントをまとめてみようか、ということで企画されたものである。全4回に分けて、様々なトレンドについて語っていく。
PCで仕事をする必然性がない
西田 僕ら2人ともこうやって何かあるというと、タブレットを使ってるわけじゃないですか。iPadとキーボード使って。で、周りからは「わざわざそんなもんにキーボードつけてタイプしなくても、PC使えよ」って言われちゃうんだよ。
小寺 言われちゃうね。
西田 うん。なんで僕らはこれを使ってるのか、って話ですよ(笑)。
小寺 それは、あの──今ノマド系ってすごく叩かれてるけど、そっちの話になるね。
西田 うんうんそうそう、まさに!(笑)
小寺 僕より西田さんのほうがノマドワークしてるんじゃ。
西田 あ、ノマド的ですね。多分、外に出てる時間というか、取材で人に会ってる時間が僕のほうが長いということですね。1週間のウイークデーを使うと、5日のうち4日はなんか取材が入ってるから。
小寺 あ、そうなの。じゃ、相当出てますね。
西田 そう。で、1本だったら行って帰ってくるけど、2本だったら間にどっか行って仕事をしてるので、きっと、要はスタバで、あいつiPadにキーボードつけてドヤリングしてるって言われてるんだと。
[caption id="" align="alignnone" width="307"] iPhone 5を手にドヤ顔の西田宗千佳氏[/caption]
小寺 言われてるね(笑)。
西田 うん。でも、そこんときに、僕はずっと──PCというかMacだけど──使ってたわけだけど、ふっと気がついてみると、自分がいらいらしたりだとか、ここでどうやって使おうだとかっていう環境を考えてる問題の大半って、バッテリーだったんですよね。
小寺 ああ、そうだね。
西田 で、iPadもATOK Padが出てなかったら、多分この環境で使ってないんですよ。で、ATOK Padが出て、少なくとも文字数をカウントしながら、きちんとした変換効率で日本語が書けるということが担保された瞬間に、「あ、これでいいか」っていう感じに。
小寺 そう、なったんですよね。
西田 これが、たとえば、Impress Watchの編集者みたいに、その場で記事書いて写真編集してニュース上げなきゃ、っていったらPCじゃなきゃいけないと思うんですけど。でも僕らその場で上げなきゃいけないのって、せいぜい海外出張でイベント取材に行った時ぐらいじゃないですか。
小寺 うん。
西田 で、そうすると、PCでないと絶対仕事ができない時って、月に1回か2回しかないんですよね。そうなると、メールと、ちょっとまあ、写真が軽く加工できて、テキストがきちんと打てればいい。そもそもPCである必然性がない、というのに気がついて。
小寺 そうですね。あとはDropboxとか、クラウドサービスも使えるから、常にPCとはデータが同期してるわけじゃない? あるいは必要な時に引っ張ってこれるわけじゃないですか。
西田 そうなんですよ。
小寺 要するにこいつを何も考えずに持って出れば、あとはなんとかなる、っていうところまで来ちゃったんですよ。ついに。
西田 そうなんです、ついに来たんですよ。そうすると荷物としても、デジカメが入ってて、録音もひょっとすればiPhoneでいい、って話になると、最小限の荷物でも、取材に必要な録音と写真って、どれも二重化されてる状態にはなってる。これで仕事としていけるんだな、っていう感じになってますね。おかげでだいぶ荷物が軽くなった。
小寺 うん、やっぱりね、重さは重要っすよ。僕も、えーと──持ち歩き用にはThinkPadを持ってるんだけど、『PC Watch』でそれのレビューを書かしてもらった時に、「多分僕が買う最後のPC」って書いた(笑)。多分現実にそうなるんじゃないかな、という気はしてるんですよね。
というのはやっぱり、iPadでたいていのことはできるようになっちゃったんすよ。でも多くの人は、未だにiPadの使い道が見つからない、って言ってる。なんかそのへんがね、使い道を見つけた人と見つけられない人と、お互いが理解されないまま、ずーっと平行で走ってる気がします。
あとね、もうひとつ大事なポイントは、いざとなればキーボードを使わなくても、画面にタッチでいける、ってところはわりと大きいんですよ。
西田 あ、それはそう。
小寺 僕一回ね、田舎に帰って、いわゆるディーゼルの電車に揺られながら、帰りがけに原稿書いてたことがあるんだけど。春だったんで窓全開で、ガタンゴトン揺れながら。それでも隣の人に「うるさい」って言われたからね。
西田 ああー、そっか。
小寺 うるさいっつったって、電車の音のほうが全然うるさいと思うんだけど(苦笑)。やっぱりキーボードの音はうるさいのね。
西田 カチャカチャいうね。
小寺 そういう時にね、やっぱりガラスに切り替えられる、っていうところは強いんじゃないかと。
西田 うんうん、たしかに。
小寺 あとね、まだ実際には試してないんだけど。裁判の傍聴って、録音・録画しちゃいけないけど、メモはしてもいいんですよ。多分これの画面キーボードでメモできるんじゃないかなぁ、という気がしています。
西田 あーーーーーなるほど。そこはたしかに、あるかもしれない。
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