「ハックシリーズ」で知られる著者ふたりによる、ありそうでなかったスペシャル対談。話はゆるく始まるものの、「キャリアについて」「生きることと芸術」「成長とは何なのか」といった深~いところまでたどり着きます。ほかでは読めない貴重な内容をお届けします。
対談:小山龍介×原尻淳一
小山:普段、僕らは雑談レベルでは、結構いろんな話をしているんだけれども、本にはならないよね(笑)。本のネタじゃない。ひとつは時事性があるから本にするまでのタイミングにならないのと、もうひとつは「あくまで仮説レベル」なんだよね。
原尻:ほとんど、仮説だね。
小山:「証明しろ」と言われても困るよね。そういうこともあって、今までこういうやりとりは文字にはならなかったんですけれども、今回メルマガという媒体もあるので、これを記事にしてお届けしたいと思います!
原尻:はい。(笑)
「清水少年」のエピソード
小山: 先日、場の研究所の清水博先生と、「大地の芸術祭」[*1]が行われている越後妻有に行ってきました。そして向こうで、清水先生が小学生たちに書籍『コペルニクスの鏡』の話をしたんだよね。僕もそこに同行した。話す相手の小学生は、被災地から林間学校として越後妻有に来ている子たちでした。
[*1]大地の芸術祭
http://www.echigo-tsumari.jp/
その小学生たちに、清水先生が「生きていくということはどういうことなのか」という話をした。「生きていく」ことと、「生きている」ことは、実は全然違うことなんだよね。未来に向かってどのように「生きていくか」ということは、すごく重要。そうした「生命の哲学」を、小学生に対して話したわけです。
原尻:おお!
小山:その内容が、本当にすばらしい内容だったんだよね。
まず、清水先生が小学生の頃のことを思い出して語るところから、話は始まった。
その頃はまだ戦時中で、根性がないやつ、勇気がないやつはダメだという風潮があった。子どもたちは川に連れて行かれて、泳げないのに高い崖の上から次々にボン、ボン、ボンと飛び込まされていって、溺れつつも、だんだん泳げるようになっていく。そんな乱暴なことをやっていた時代。
ほとんどの子どもは、飛び込んで溺れながら泳ぎ方を覚えていくのに対して、清水少年は、「自分はそういうアプローチとは違う方法でいこう」と観察をはじめるんです。岩陰から覗いて「泳げる人」と「泳げずに溺れている人」の違いを真剣に観察した。そうしたらある法則が見つかったと言うんだよね。
それは「泳げずに溺れている人は、溺れたくないから顔を上げようとしている。一方、泳げる人は顔をつけている」ということ。「ああ、自分から顔をつけるようにすれば、溺れずにスッと泳いでいけるんだ」ということに気づいた。顔をつけるのは、怖いことだけれども。
そこで、自分も、最初はまず水に顔をつけてみた。そうしたら、確かにそんなにバチャバチャする必要もないということが分かった。慣れてきたら今度は手を動かしてみた。そうしたら他の子どもたちが「先生! 清水君が、泳いでます!」って(笑)。
原尻:あはははは!
小山:そうやって、みんなに驚かれたという話があって(笑)。

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