2014年3月13日、武術研究者の甲野善紀先生を迎えての鼎談「奏でる身体2」を行うことになりました。ここで、フルーティストとしてのこの20年ほどの間の試行錯誤の日々を振り返ってみたいと思います。
「なぜ音楽家が、武術研究者に身体操法を学ぶ必要があるのか」という疑問にもある程度、答える内容を述べたつもりです。(白川真理 フルート奏者・音楽家)
・「奏でる身体2」の詳細はこちら
http://yakan-hiko.com/event.php?id=20140313
公開レッスンでの大失敗
今から20年ほど前、まだ私が30代だった頃のこと。フルートの公開レッスンを受ける機会がありました。受講生はほとんどが20代の若手ばかり。ドイツで学び、日本でプロのはしくれとして演奏活動を始めていた私は、受講生の中では年齢も、経験も頭ひとつ抜けていたはずでした。
しかし、私はその場で、大失敗をしてしまいました。若手に見られているということ、プロとして、恥ずかしい演奏はできないという緊張感があったのでしょう。通常のコンサート以上に上がってしまい、心臓はドキドキと聞こえる程の速い動悸を打ちました。一音出すだけでもブルブルと息が震え、まともな演奏ができず、大恥をかいてしまったのです。
しかしこの時私が痛感したことは、「なぜこんな失敗をしてしまったのだろう」という後悔というよりは、「これは、たまたまではない」ということでした。思い通りに行かない居心地の悪さ、失敗するかもしれないという恐怖心と背中合わせの中で演奏を続けてきた自分自身の演奏に、改めて気付かされたのです。
そのときまでの私は、本番のたびに無理矢理奮い立たせて「さあ、やるぞ! 私は大丈夫!」という過剰にテンションを上げることによってごまかしてきました。もちろん、それで乗りきれることもありましたが、常に身体には違和感が残り、次はどうなるか、その次はどうなるかと不安で、毎回、いわば「丁半博打」を打つような気持ちで本番を重ねてきていました。
後輩や、同僚に囲まれた中での「大失敗」は、私にとって、「このままじゃダメだ! 変わりたい」と真剣に考えるきっかけになったのです。
その他の記事
![]() |
「爆買いエフェクト」と沖縄が抱えるジレンマ(高城剛) |
![]() |
ビッグな『トランプ関税』時代の到来でシートベルト着用サインが点灯(やまもといちろう) |
![]() |
週刊金融日記 第275号 <いまさら人に聞けないビットコインとブロックチェーン・テクノロジー他>(藤沢数希) |
![]() |
テレビのCASがまたおかしな事に。これで消費者の理解は得られるか?(小寺信良) |
![]() |
Nintendo Switchの「USB PD」をチェックする(西田宗千佳) |
![]() |
「一人負け」韓国を叩き過ぎてはいけない(やまもといちろう) |
![]() |
アップル固有端末IDの流出から見えてくるスマホのプライバシー問題(津田大介) |
![]() |
旅行需要急増でのんびり楽しめる時間が残り少なくなりつつある南の島々(高城剛) |
![]() |
明石市長・泉房穂さんが燃えた件で(やまもといちろう) |
![]() |
「データサイエンスと個人情報」の危ない関係(やまもといちろう) |
![]() |
参議院議員選挙をデータで眺める(小寺信良) |
![]() |
『魔剤』と言われるカフェイン入り飲料、中高生に爆発的普及で問われる健康への影響(やまもといちろう) |
![]() |
人はなぜ初日の出に惹かれるのか–数万年の心の旅路(鏡リュウジ) |
![]() |
私的録音録画の新しい議論(小寺信良) |
![]() |
野菜はヘルシーフードどころか真逆の毒の塊?(高城剛) |