城繁幸
@joshigeyuki

期間限定公開! 新刊『「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話』

【第4話】キャンプイン――静かな戦いの始まり

 

フィールドでは、中森達の威勢の良い声が響き、バットは快音を上げている。そりゃそうだ。午前中ゆっくり休んでいる分、朝から跳んだり走ったりしている二軍の若手より余裕があるのだ。

「よっしゃ!  声出していこうぜ!」

山田はふと、昔、日の丸電機の職場にいた先輩達の顔を思い出した。小手先の技術はいらない。かといって本質的な改革をやるわけでもない。ユニオンズは日本の希望なのか、それとも単なる縮図にすぎないのか。真価が問われる日は近い。

 

 

【教訓】環境が人を変える

 

市場環境が激変するなか、過去の成功体験にしがみつくな、恐れずに新しいことに取り組めということがほうぼうで口にされています。しかし「成功体験にしがみつくな」と言いながら、日本企業の内幕を見れば、その多くは過去の成功者がポストにしがみついて離れない現実があります。

筆者の知り合いの大学教授に、普段は「大企業ばかり狙うな、これからは無名企業に行ってリスクをとったもん勝ちだ」と口癖のように言っているけれども、大学教授ポストの 歳定年延長にはあっさり賛成した人が何人もいますね。彼らにとってリスクというのは人に取らせるもので、自分で取るものではないようです。

 

最初から「仕事ができない人」はいない

 

さて、そういった環境に一度入ってしまうと、若手社員も自然と、新しいことには取り組まず、年齢とともにポストが回ってくるのを待つようになるものです。「サラリーマン根性」というのは、環境が作るものであり、その悪循環から抜け出すには、環境を変えるか、その環境から抜け出す以外に選択肢はないでしょう。

実は、筆者は「能力的に仕事ができない人」というのは普通の会社には存在しないと考えています。相対的にできる人、できない人はいても、企業として採用したことを後悔するような能力の低い人材を、人事担当はわざわざ採用しないからです。

しかし実際の職場には「ソリティア」ばかりでまったく仕事をしない人間がおり、SONYのように、「もう仕事しなくていいから転職活動して一日でも早く出てってください」と特定の社員に通告しているケースまであります。こうした現実を見ると、多くの大企業で、まったく戦力になっていない人材が一定数存在することがわかるでしょう。

こうした「仕事ができない人」は最初から仕事ができなかったわけではなく、組織という環境の中でそのように育てられたと考えるほうが妥当です。実際、人事部門の中には「人材は職場環境で作られる」という格言もあります。すごく優秀な人材でも、配属先にライバルが大勢いたり上司に合わなかったりした結果、 年後にはすっかりお荷物社員と化している人は少なくありません。逆に、新人なんて 年に一人くらいしか配属されない事業部に配属された結果、事業部を背負って立つ人材として見事に大成する人もいます。

まず、今の職場環境が合わないと感じても、ネガティブになることなく、できるだけ前向きに成果や経験を積み上げることに専念してください。そうすれば、3年、5年と経つうちに風向きが変わるかもしれません。変わらなかったとしても、そうした姿勢で業務に取り組んでおけば、人事異動の機会にも恵まれるはずです。意欲があって経験も豊富な人材なら、どんな上司でも積極的に部下に欲しがるものですからね。

それでも、そうした機会に恵まれない時は、転職を視野に入れ活動するのもよいでしょう。目の前の担当業務に前向きに取り組んできた人間であれば、転職市場においても一定の評価は得られるはずです。

環境は人を変えます。でも、その環境を変えるのもまた人であり、その人 自身の心の持ちようであるということは覚えておいてください。

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2014年6月20日発売!

『「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話』

城 繁幸 著

 

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ある日、「サラリーマンなんて言われたことやってれば楽勝だろ」が信条の山田明男に、とんでもないミッションが与えられてしまう。史上初の”終身雇用”プロ野球球団「連合ユニオンズ」への出向! 山田が見た終身雇用システムの光と影とは!?

 

――衝撃のストーリーが教えてくれる、すべての働く人のための生き残り術!

 

眼を閉じて、10年後の自分を思い浮かべてみてください。

「責任ある仕事を任され、安定した収入を得ている」そんな自分を明確にイメージすることができますか?

「さすがに失業している……ってことはないだろう」と思ったあなたは、日本の雇用環境についての見通しが少し甘いかもしれません。

人事部門には、「人材は職場環境で作られる」という格言があります。確かに、環境は人を変えます。でも、その環境を変えるのもまた人であり、その人自身の心の持ちようです。

さて、あなたは10年後に仕事で困らないために、今、どんな心構えで、何を準備すればいいのでしょうか。

この本では、「もし日本労働組合総連合会(連合)がプロ野球チームを保有して、全選手を終身雇用にしたら何が起こるのか」を細かくシミュレーションしました。そこには多くの日本人が見落としている「雇用の真実」を見つめるヒントが詰まっています。

「ありえないこと」が普通に起こる激変の「10年後」の世界で力強く生き残る方法、お伝えします。

 

<目次より>

1主体性を持って仕事をする
2嘘と本当を見分ける方法
3年功序列に期待するな
4環境が人を変える
5流動性のない組織に成長はない
6”研修”ですべてを変えるのは無理
7自分の市場価値を高める
8世の中にただ飯はない
9きれい事しか言わない人を信用してはならない
10ローンは組まないほうがいい
11若手に仕事を任せる
12過去の成功体験は捨てる
13「人に優しい会社」などない
14会社の”社会保障”には期待しない
15ブラック企業の心配をする暇があったら勉強しろ
16未来の成功体験はこれから作られる

 

四六判並製1C・248頁
定価 本体1600円+税
ISBN978-4-906790-09-8

amazon.co.jpで購入する

 

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城繁幸
人事コンサルティング「Joe's Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』等。

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