1976年生まれ。鍼灸師・アシル治療室院長。高校卒業後に、鍼灸免許を取得し、エステサロンの併設鍼灸院で、技術を磨く。早稲田大学第二文学部卒。2004年、アシル治療室開院。現在3ヵ月先まで予約が埋まるほどの人気を集めている。夜間飛行よりメールマガジン「鍼灸師が教える一人でできる養生法」配信中。
『大往生したけりゃ医療と関わるな』を読んで
ちょっと前にtwitterで、緩和ケア医の先生が「またこういうのが流行ってきている……尊厳死協会の弊害で、生きられる人も死ぬ選択をすることがあって… …」とつぶやかれていて、何のことだ? と思って調べてみました。
どうもこの書籍のようです。
うむ……言ってることはわかる。大筋賛成。でも……いろいろ思うところがありました。今回は、「死」について東洋医の立場とふつーの35歳女性としての立場からつらつら書いてみましょう。
この本の主眼になっているのは、老いてからの医療との関わり方、特に死に至る病の場合に限ります。ココがポイント。中村仁一医師がいうのは、60歳を境に病 へのスタンスを変えたほうがイイよ……ってことであり、老年者の癌は、手術や 化学療法や放射線治療を行わないことで痛まないで幸せに死ねる、というのが主な主張です。
若い世代に関してはほとんど言及しておりません。ほんの一部に、「(若い世代 でも)同じように痛まないのではないかと思っております」と書かれていますが ……臨床上遭遇したケースでは強い腰痛から末期の子宮頸がんが見つかったケー スや、胸の痛みの苦しさから肺がん末期が発見されたケースがあります。わたしくらいの年齢の鍼灸師でも激しい痛みで癌が発見され、その後痛みが増強していく症例に出会うことがあるのです。だから、どんな癌でも医療の介入を避ければ 痛みなく死ぬことが出来るというのは間違いです。
また、わたしが最後の最後まで見せていただいた60代前半の肝臓癌患者さんは見つかった時点で手術が困難な状態でしたが、良い主治医に恵まれ、食道静脈瘤の数回の破裂を乗り越えてあちこち旅行に出かけ、最期は自宅でモルヒネの投与を 受けながら意識もはっきりした状態でみんなにお別れをしてから亡くなりました。
医療介入がすべて悪いことではないのです。わたしとして言えることは、過剰な医療介入はやめたほうがいいよね……ということです。末期癌の場合だけではなく、全く後遺症も残らないのに、医療介入を嫌って治療拒否するのはもったいないし、残された家族がかわいそうだな……と思います。
<次ページから「苦しまずに死にたい」あなたが知っておくべき3つのことをご紹介!>

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