「ブラック企業の心配をするなら勉強しろ」(城繁幸著『「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話』P225)。
機械化やグローバル化が、私たちを「ブラックな働き方」に否応なく縛り付けるのか。それともそれは「不都合な真実」を覆い隠す虚構なのか。
新刊『「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話』を出版した城繁幸さんと竹田圭吾さんの特別対談、第2弾!! 今回は「ブラック企業」という秀逸なネーミングに隠された不都合な真実について。就活生をふくむすべての「働く人」必読の未来予想図です。
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みんなが不安を抱いているほど仕事はなくならない
――今は、外国から安い労働力が入ってきていることと、IT化があいまって、「雇用枠」そのものが減っているという直観がなんとなく不安を抱かせている気がします。その辺はいかがでしょうか?
城:昔から「この仕事がなくなりそうで不安」→「なくなりました」→「なくなったけど、別の何かが出てきました」の繰り返しなんだと思います。機械化について言えば、90年代の半ばが第一次IT化のターニングポイントになりました。それまで会社の中には、事務処理スタッフがたくさんいた。給与から保険、通勤定期代の計算から営業の見積書を作るような手計算のプロがいたんです。でも、90年代中ごろにひとり一台パソコンが支給され、事務職の仕事が減った。でも今まで手計算をしていた事務員たちがみんな路頭に迷ったのかというと、そんなことはありません。別の仕事が吸収しているわけです。そう考えると、「働く必要がなくなる社会」はかなり先の未来まで来ないと私は思います。現に今はサービス業で深刻な人手不足が起きています。
竹田:ただそのシフトがスムーズにいくかどうかは問題だと思いますね。アメリカでも、鉄鋼業や鉄道業が19世紀の終わりから20世紀の初めに伸びて多くの雇用を吸収しました。それが20世紀の半ばにがたっと崩れて、20世紀末からITの時代がきた。では、IT産業に対応できなかった人材をどうしたのかというと、その一部、とくに若者が軍に兵士としてリクルートされてイラクやアフガニスタンに送られたんですね。この事実をどう見るかについては、さまざまな意見があると思います。
今は社会変化のスピードが速くて、昔だったら20年単位でシフトを考えていけばよかったものが、2~3年でどんどん変わってしまう。だからそれに対応するようなセーフティネットの調整や構築についても、かなりのスピード感でやらないとこぼれてしまう人達がいる。それが社会不安になるという点は考えないといけない問題だと思います。国民全員に「iPad」を配ったところで、みんながみんなIT社会についていけるわけではありませんから。
竹田圭吾 ジャーナリスト/編集者/コメンテーター。名古屋外国語大学客員教授。1964年東京生まれ。慶応義塾大学文学部卒。2001年から2010年までNewsweek日本版編集長を務める。フジテレビ『とくダネ!』『Mr.サンデー』レギュラーコメンテーター。J-WAVE『Jam The World』木曜日ナビゲーター。出演番組はほかに読売テレビ『かんさい情報ネットten.』、テレビ東京『未来世紀ジパング』、BS朝日『いま世界は』、テレビ西日本『土曜ニュースファイル CUBE』など。
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