「温病」を引き込んだ夏
……わたしは、真夏にこれこそ「温病」というのを引き込んだことがあります。アレは思い出せば二十歳になったばかりの夏。ちょうどこの時期ですよ。鍼灸学校の期末試験が迫った時期、初めての選挙の投票権を行使できる日があり、日曜日に外出しました。変にどんより曇った暑い日で、湿気も多く、なんだか妙な感じがしました。
投票所近くまで歩いて行ったのですが、ある場所で生ぬるく肺の奥まで「ぬるり」と入り込む何かを吸い込んだのです。なんか変だなー……と、思ったのですけど、まだ特に鍼灸師として研鑽を積んだわけではなく、タダの学生であったわたしはそのままにしました。
したらばさ。次の日の朝、強烈な発熱で動けなくってさ。その日、実技試験だったもんだから、何としてでも学校へ出かけたかったの。熱でぼーっとしているもんだから、なんかねえ、バファリンだかアスピリンだか歯科で貰って余ってたロキソニンだかを倍量飲んで動けるようになるまで待って、学校へ行きました(ホントはこんなことはしてはいけない!)。たしかこの時点で38.5度くらいあったと思う。
で、頑張って頑張って実技試験を受け、その後、保健室で寝込む。医療系の専門学校だから、医師免許持ってる先生っているんだわよ。診察されて、「ああこれは抗生物質がないと駄目だ」って判断され。
家に帰って。「なんとかこれ治んないかしら」っていろいろ試して病院に行くのを逡巡していたら、そのうち40.2度をたたき出しました(笑)。この体温になると、布団にヒト形のシミが出来るんだよ、汗で。しかも、汗がいつまで経っても止まらなくて、布団をひっくり返したり、タオルを敷いたり、ぼーっとした頭とあちこち痛い身体で布団をベランダに干したり、お客さん用の布団も駆使して湿っていないところで寝ようとしたんだけど、どうにもならないくらい。
着るものも全て無くなり、最終的には全裸で湿気た布団+なんとか乾かしたバスタオルにくるまって寝る……という状態になりました。手詰まりです。お手上げです。あ、わたしこの時一人暮らしだからね。親とか兄弟、家にいないの。

その他の記事
![]() |
「心の速度を落とす」ということ(平尾剛) |
![]() |
次のシーズンに向けてゆっくり動き出す時(高城剛) |
![]() |
「科学的」と言われることは「現在のひとつの見方」にしか過ぎない(高城剛) |
![]() |
残暑の中で日本だけに定着したマスク文化を考える(高城剛) |
![]() |
生成AIの台頭と「情報密度の薄いコンテンツ」の危機(やまもといちろう) |
![]() |
アメリカ大統領選はトランプが当選するのではないだろうか(岩崎夏海) |
![]() |
なんでもアリのハイレゾスピーカー「RS-301」を試す(小寺信良) |
![]() |
国会議員は言うほど減らすべきか?(やまもといちろう) |
![]() |
年の瀬に「私の人生はこのままでいいのか?」と思ったら読む話(名越康文) |
![]() |
ピクサーにみる「いま、物語を紡ぐ」ための第3の道(岩崎夏海) |
![]() |
気候変動がもたらす望まれない砂漠の緑地の皮肉(高城剛) |
![]() |
ネット教育今昔物語(小寺信良) |
![]() |
『デジタル時代における表現の自由と知的財産』開催にあたり(やまもといちろう) |
![]() |
「いままで」の常識が通じない「宇宙気候変動」について(高城剛) |
![]() |
英国のEU離脱で深まる東アフリカ・モーリシャスと中国の絆(高城剛) |