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パンがカビないのは食品添加物のせい……?
Twitterのタイムラインをどんぶらこっこと流れてきた、これ。「うちの手作りパン、三日以上カビないよ……」とコメントしたところ、「ええええー!」という反応が。
これに関しては食品衛生と添加物とがごちゃごちゃに混ざってるんだよな、きっと。うーん……ここらでちょっと、食品添加物とかの話をしてもいいかも、と思った次第。
あのtumblrの出典は、このページの「ヤマザキパンはなぜカビないか」のようで、この記事自体がここに載せられている、(リンク先はPDFファイルです。)この論文からの抜粋のようです。
この論文を書いた方はこういった肩書きの先生で、かの悪名高い『発掘あるある大辞典』の「レタスで快眠」の回で、ご自身の実験結果をとんでもない取材方法でTV放映されてしまった方でもありました(参照)。
さて。食品添加物の話になると結構な頻度で槍玉に挙げられる山崎製パン。これは、臭素酸カリウムを使っているってことが問題になっているんだよね。発がん性があるとの指摘がされている食品添加物なんだわ、これ。
パンに添加する目的は、食感の向上。これを添加することで、パンの膨らみ方や柔らかさを増すことが出来るのですよー。で、だ。長村洋一先生がこのレポートを書く原因となった書籍が、『ヤマザキパンはなぜカビないか―誰も書かない食品&添加物の秘密』
この書籍の中でですね。臭素酸カリウムが入っているとパンが長持ちする、カビが生えなくなるって記述があるんだわよ。こういうの書くんだったら、もうちょっとちゃんと書いたらいいと思うんだけどなあ。
パンがカビるほんとの理由
臭素酸カリウムをパンに添加している山崎製パンが、パンに発生するカビに関する詳細なコメントをだしています。カビ胞子の付着がない限り、カビが生えることはない……これに尽きるのです。
うちの食パンがなかなかかびない理由は、スライスせずに保存する・ホームベーカリー使用なので手でこねていないことが挙げられると思います。
上記リンクにもあるように、カビ胞子の付着はほとんど焼成後です。空気中にはものすごーいたくさんのカビ胞子やら何やらが存在しています。
……その様は「もやしもん」のアレ。
「この部屋、かびだらけー。いい部屋だー。」……よくないよくない。
実際、通常の部屋の中、こんなもんじゃないくらいカビが飛んでいるハズです。カビ以外の病原微生物もね。でもそれが普通です。いくら空気清浄機を使っても、掃除を偏執的に行っても、こういうのは撲滅できません。滅菌しようなんて、通常の環境中では、やるだけ無駄。
……山崎製パンをはじめとする大手パンメーカーのパンがかびない理由は、パック詰め工場内をクリーンルーム化してあることに尽きると思います(参照)。
それこそ福島の原発作業員みたいな恰好で食品工場で働く映像とかどこかで見たことがあるでしょう? ああやって食品にくっつくカビその他の微生物を極限まで減らしているのですよ。このへんの技術が向上したこともあり、様々なコンビニ弁当が「防腐剤・保存料無添加」ってうたうようになったのです。まあ、実際は鮮度保持剤みたいなのを使っていて、完全に保存料無添加とは言い難かったりするんだけどもさ。
(代表的なのはポリリジンやプロタミンなどのしらこ蛋白抽出物。 )
自家製パンでも、食べる分だけスライスするようにすると、焼き締めたパンの皮(みみ、って言うね)が表面をコーティングしてくれているので、カビが生えにくくなります。パンの柔らかい部分は水分量が多いのでカビるんだけど、耳のところは水分が少ないので生えにくいんだわ。
スライスする際はパン切り包丁を炙っておくと、パンが張り付きにくく切りやすい上にパンの汚染も減らせます。そして、ちょっと乾き気味に保存するのがコツ。清潔な紙袋とかに入れてね。乾き気味になったらビニール袋へ変更……。って、ここまでする必要ってあんまりないんだよねえ。
冷凍庫に入れれば済むことだから。こんな風にして保存した場合は、カビは生えないけど劣化するんだよ。ボソボソしたパンになります。焼きたてをスライスして冷凍庫に入れれば、劣化は防げるしカビも生えないんだけどさ。
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