若林理砂
@asilliza

若林理砂のメルマガ『鍼灸師が教える一人でできる養生法』より

食品添加物を怖がる前に考えておきたいこと

パンの品質劣化には二つの種類がある

 

……要するにここが区別すべきポイントなんだな。パンの品質劣化には、

1.カビ等による劣化
2.食感や食味の劣化

の二つがあるわけ。臭素酸カリウムは、2の劣化を防ぐ事ができる食品添加物なのだ。1の劣化を防ぐ機能はないのだ。グルテンと結合して食感を向上させる添加物に防カビの作用はありません。

コラムの最初の方にリンクさせた長村洋一先生の論文にはこのへんのことが細かく描かれています。文章としてはちょっと「消費者は化学的見地に乏しい」って立場に寄りすぎていてその点、普通の消費者は読んでいると鼻につくかもしれませんけど、平易な文章で的確で分かりやすいです。ぜひ全部読んでみて。化学者はこういう風に添加物を捉えているんですよ。

一部引用。

「パンに生える赤カビ、青カビには何種類かのマイコトキシンが含まれている。私は、もし、食パンによる発がんを恐れるとするならば、痕跡程度の臭素酸が入っていたとしてもカビの生えないヤマザキパンの方がよほど安全だと結論付けるのがリスク管理ではないかと考えている」

……マイコトキシンというのはカビ毒の総称ですね。

リスクの考え方ですよー、これ。わたし、以前、息子の川崎病に関してこれと同じようなことを書いた覚えがあります。

私の父親は仕事で全国各地を飛び回っておるのですが、彼は大事な仕事のある前はコンビニ弁当しか食べないと豪語しております。なぜなら。食中毒のリスクを最小にすることができるだろうから。コンビニ弁当は添加物の入ったものがたくさん使われていますが、衛生管理は極端すぎるほど徹底されています。リスク管理としては非常に正しい。

……ですが、長村先生、ちょっとだけ論点ズレてるのよね。無添加のパンをカビないうちに食べるのが一番安全だと思うよ、わたし。カビた無添加パンよりヤマザキパンの方が安全なのは確かだけどね。

1 2 3
若林理砂
1976年生まれ。鍼灸師・アシル治療室院長。高校卒業後に、鍼灸免許を取得し、エステサロンの併設鍼灸院で、技術を磨く。早稲田大学第二文学部卒。2004年、アシル治療室開院。現在3ヵ月先まで予約が埋まるほどの人気を集めている。

その他の記事

『戦略がすべて』書評〜脱コモディティ人材を生み出す「教育」にビジネスの芽がある(岩崎夏海)
季節の変わり目に江戸幕府の長期政権を支えた箱根の関を偲ぶ(高城剛)
アメリカでスクーター・シェアを「見てきた」(西田宗千佳)
週刊金融日記 第272号<高級住宅地は子育てにまったく向かないという話 他>(藤沢数希)
「有休を使い切ったうえで生理休暇って、アリなんでしょうか?」(城繁幸)
間違いだらけのボイストレーニング–日本人の「声」を変えるフースラーメソードの可能性(武田梵声)
「完全ワイヤレスヘッドホン」に注目せよ!(西田宗千佳)
スペイン、アンダルシア地方の旅の途中で考えたこと(本田雅一)
変化が予測できない時代(本田雅一)
どうも自民党は総体として統一教会と手を切らなさそうである(やまもといちろう)
なぜ、日本人はやりがいもないのに長時間労働で低賃金な仕事を我慢するのか(城繁幸)
「日本の動物園にできること」のための助走【第一回】(川端裕人)
住んでいるだけでワクワクする街の見つけ方(石田衣良)
かつては輝いて見えたショーウィンドウがなぜか暗く見えるこの秋(高城剛)
古都には似つかわしくない最先端の「現代日本語」講座(高城剛)
若林理砂のメールマガジン
「鍼灸師が教える一人でできる養生法」

[料金(税込)] 550円(税込)/ 月
[発行周期] 月2回発行(第2,第4月曜日配信予定)

ページのトップへ