『ピダハン』に省みる信仰
この著者ダニエル・L・エヴァレット氏の、この告白は、人間として心打たれるものがあります。ただ、この本を読んで、深く自らを省みる宗教関係者は決して多くはないでしょう。
なぜなら、この本は近代文明に対して十分なインパクトがあるとはいえ、他人の経験を記したものであり、この本から自分の信仰を深く問い直すという事は、日常それだけ信仰と本気で向き合っているという前提が必要だからです。
ただ、本当に深い信仰を持っている人は逆に感銘を受けるのではないかと思います。それは「ピダハン」の人々の精霊に対する思いと、自らが信じる宗教の神や仏に対する感覚に共通したものを感じ取るからだと思います。深い信仰に目覚めた人にとっての神や仏は、きわめて実感があり、現に存在している親戚の人々や知人のように感じられているようですから。
しかし、何といっても驚くのはピダハン語という言語によって形成されたピダハンの人々の精神構造が、近代文明と触れ合って百年以上も経っていて、その文明の利器をある程度生活に取り入れているのに、精神は「いささかも」と言っていいほど近代文明に侵食されていない事です。この事に関しては、言語学を専門的に学ばれている田口さんの御意見を是非とも伺いたいと思いますので、よろしくお願い致します。
甲野善紀
※この記事は甲野善紀メールマガジン「風の先、風の跡――ある武術研究者の日々の気づき」 2012年07月16日 Vol.032 に掲載された記事を編集・再録したものです。
<甲野善紀氏の新作DVD『甲野善紀 技と術理2014 内観からの展開』好評発売中!>
一つの動きに、二つの自分がいる。
技のすべてに内観が伴って来た……!!
武術研究者・甲野善紀の
新たな技と術理の世界!!
武術研究家・甲野善紀の最新の技と術理を追う人気シリーズ「甲野善紀 技と術理」の最新DVD『甲野善紀技と術理2014――内観からの展開』好評発売中! テーマソングは須藤元気氏率いるWORLDORDER「PERMANENT REVOLUTION」!
甲野善紀氏のメールマガジン「風の先、風の跡~ある武術研究者の日々の気づき」
自分が体験しているかのような動画とともに、驚きの身体技法を甲野氏が解説。日記や質問コーナーも。
【 料金(税込) 】540円 / 月 <初回購読時、1ヶ月間無料!!> 【 発行周期 】 月2回発行(第1,第3月曜日配信予定)
ご購読はこちら


その他の記事
![]() |
チェルノブイリからフクシマへ――東浩紀が語る「福島第一原発観光地化計画」の意義(津田大介) |
![]() |
『外資系金融の終わり』著者インタビュー(藤沢数希) |
![]() |
参議院議員選挙をデータで眺める(小寺信良) |
![]() |
私の出張装備2016-初夏-(西田宗千佳) |
![]() |
『仏像 心とかたち』望月信成著(森田真生) |
![]() |
殺人事件の容疑者になってしまった時に聴きたいジャズアルバム(福島剛) |
![]() |
健康のために本来の時間を取り戻す(高城剛) |
![]() |
『好きを仕事にした』人の末路がなかなかしんどい(やまもといちろう) |
![]() |
萩生田光一師匠、ガセネタを流し続けてきた深田萌絵を刑事告訴(やまもといちろう) |
![]() |
“日本流”EV時代を考える(本田雅一) |
![]() |
いまそこにある農政危機と農協系金融機関が抱える時限爆弾について(やまもといちろう) |
![]() |
競争社会が生み出した「ガキとジジイしかいない国」(平川克美×小田嶋隆) |
![]() |
俺たちのSBIグループと再生エネルギーを巡る華麗なる一族小泉家を繋ぐ点と線(やまもといちろう) |
![]() |
住んでいるだけでワクワクする街の見つけ方(石田衣良) |
![]() |
旅行者が新天地を探すことができるか試される時代(高城剛) |