小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」より

一から作り直した「非バッファロー的なもの」–『新おもいでばこ』の秘密

だから「おもいでばこ」と書いてあれば十分なのだ。型番もあるが、本体には表から見えるところには一切書いていない。箱を開けようとすると、フタのベロの中に「はじめまして(^-^)/」と書いてある。

・細かいところに愛があふれる
103602

会社的には、「おもいでばこ」というのがサブブランドということになる。LinkStationやTera Stationなどと同列だ。だがここまで自由にやれるサブブランドは珍しい。これには本社の理解と協力、そして機構設計やデザインチームがそれぞれの思いで、ひとつひとつの小さなことがすべてthe Rest of Usの人のために考えられ、作られている。

ハードウェアに込められた思い

そうは言っても、この新モデル実現は大変だったと根本氏は振り返る。初代の登場は2011年。容量を増やした2代目が2013年。ハードウェアは固定のままで、ソフトウェアでできることはほぼやってきた。そしてどうしても残るのが、ハードウェア的な制約だった。

実際に家庭で前モデルを使っていて、どうしても気になるのが横幅だった。テレビの近くに置くのが前提なので、他のレコーダやチューナーといった機器と並べると、微妙に置き場所に困る中途半端な幅だったのだ。しかも横に廃熱孔があるため、左右がピッタリ付けられない。

まず新モデルは、女性の手のひら程度のサイズを目指した。そして若干上に絞り込んだ形状とした。こうすることで、もし横にピッタリ何かが来ても、廃熱孔を塞がない。

・サイドはテーパーがあるため、横に物が来ても廃熱孔を塞がない
103602

底部は中央部は凹んでおり、ここから吸気する。二の字型のゴム足にも理由がある。旧モデルでは丸い4つ足のゴムだったが、これだと取り込みボタンを押したときに、足のグリップ力が足りず、後ろにズズズッと本体が下がってしまう。これを解消するため、前から押された際のグリップ力を高めたのだ。またボタンも中央に付けられたため、押された力を均等に受け止める。

・二の字型のゴム足にも深い理由が
103602

新モデルは1TBと2TBの2タイプがある。中身は2.5インチのHDDだ。1TBは難なく入ったが、2TBの2.5インチはプラッターの数が多いので、高さが収まらなかった。どうしてもこのサイズにこだわりたかったため、あちこちのベンダーから探した結果、ようやく高さ9.5mmのHDDが見つかった。かなり高コストだが、無理をしてこれを採用することに決めた。

GUIは、高速化したに留まらず、文字も綺麗になった。実は旧モデルのGUIは、内部的には720Pで作られており、それをHDMI出力時に1080にアップコンバートしていたのだ。今回は、内部処理も1080で行なっているため、文字のにじみもなく、解像感もアップした。

一方で動画再生は、旧モデルも2011年当時のアーキテクチャとしては、破格に強力だった。これは旧おもいでばこが、Blu-rayプレイヤーに使われるプロセッサを搭載していたからだ。だがあれから数年が経ち、Blu-rayプレイヤーも需要が減ったことで、プロセッサの入手が困難になった。そこで今回の新モデルでは、タブレットなどでよく使われるプロセッサに変更した。

だがそうなると、アーキテクチャ的にもソフトウェア的にも、全部作り直しである。まずはその下回りをきちんと作ることを最優先とし、GUIのようにユーザーから見える部分は、ほぼ前モデルを踏襲することとなった。新メニューや新機能追加は、発売後また徐々にアップデートで改善していくという。

1 2 3

その他の記事

安倍政権「トランプ接待」外交大成功ゆえに、野党に期待したいこと(やまもといちろう)
「不思議の国」キューバの新型コロナワクチン事情(高城剛)
孫正義さん、周りに人がいなくなって衰えたなあと思う件(やまもといちろう)
ソーシャルビジネスが世界を変える――ムハマド・ユヌスが提唱する「利他的な」経済の仕組み(津田大介)
歩く速度と健康状態の関係(高城剛)
本当に必要なものを見抜くためのひとつの方法(高城剛)
今週の動画「飇拳(ヒョウケン)」(甲野善紀)
「試着はAR」の時代は来るか(西田宗千佳)
実力者が往々にして忘れがちな「フリーランチはない」 という鉄則(やまもといちろう)
パラリンピック「中止」の現実味と、五輪中止運動のこぶしの下ろし先(やまもといちろう)
グルテンフリー食について個人的に思うこと(高城剛)
“リア充”に気後れを感じたら(名越康文)
週刊金融日記 第274号 <小池百合子氏の人気は恋愛工学の理論通り、安倍政権の支持率最低でアベノミクスは終焉か他>(藤沢数希)
クラウドファンディングの「負け戦」と「醍醐味」(西田宗千佳)
児島ジーンズ・ストリートを歩いて考えたこと(高城剛)

ページのトップへ