名越康文
@nakoshiyasufumi

名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)より

【対談】類人猿分類の産みの親・岡崎和江さんに聞く『ゴリラの冷や汗』ができたわけ(1)

ボノボにハゲはいない

岡崎 次、これもボノボで、なんせ真っ黒で。この後ろ髪のこの辺りがとてもフサフサしています。

名越 フサフサしてますねえ。

岡崎 「ボノボにハゲはいない」って言われてて。

名越 ボノボにハゲはいない(笑)。

岡崎 チンパンジーはものすごいハゲがいるんです。年を取るとハゲてくるのが多いんですけど、ボノボはとってもフサフサしているんですね。

名越 そうなんや。なかなかコメントしづらいけど(笑)。でも万が一人間で何かの傾向があればちょっと面白いですね。

岡崎 あー!どうなんでしょうね。では次の写真。この子たちもボノボなんですけど、やはり顔は真っ黒で。チンパンジーだと子供の顔がピンクなんです。だけどボノボは赤ちゃんのときからずーっと終始一貫まっ黒。その辺が大きな違いかなと思います。

名越 これはもう大人ですか?

岡崎 大人ですね。これが全体の感じなんですけど、やはり手足が長くて人間に近い感じですよね。これは大人のボノボなんですけど、とにかくもう黒光りしてるんですね。黒さが独特で、顔はどちらかと言うと細面というか、チンパンジーに比べるとすっきりしてて、体もすきっとスレンダーな感じがします。

名越 たしかにこの目の上のボコッがほとんどないですね。ただ、説明を聞いていなかったらチンパンジーだと思ってしまいそう。

 

放送禁止? ボノボの発情

岡崎 ボノボのメスって、1年の4分の3くらいは、性器が腫れて、巨大化するんです。だからお尻を後ろから見るとこういう感じで、すぐオスかメスかの違いがわかるんです。いかにも邪魔そうなんですよね。

名越 あ、おできみたい。

岡崎 ここに別物の何かがついてるのかなというくらいもっこりしてるんですね。

名越 すごいなあ。

岡崎 こうやって「ニセ発情」の時期を作って競合を緩和してるらしいんですけれど。

名越 ん? なんで性器が巨大化することで、競合を緩和することができるんですか?

岡崎 それはつまり、「いつでもOKよ」というメスがたくさんいるということになると、オスもそれほど慌てないで済む、ということですね(笑)。

名越 ああ、なるほど。争いを、好き好きモードで問題をうやむやに回避する、というやつですね。

岡崎 はい、とにかく「いつでもHできるから、まあまあ」と、あらゆる問題を回避しようとする、ということだそうです。

名越 はーーすごい話やなあ。

岡崎 次はオスですが、こっちも緊張すると、こんなふうに「いつでもオッケー」ってなっちゃう。

名越 ちょっと待ってください。ボノボのオスは緊張すると勃起するんですか?

岡崎 はい。この写真の子は、手にエサを持ってますよね。ご飯を食べるときは争いが起きやすいから、緊張感が高まるんです。そうするともう、あっちこちで性器を互いにこすり合わせて、緊張を緩和しようとするんですよ。この写真みたいな感じで。

名越 これで緊張を緩和してるんやね。

岡崎 もちろん、どう解釈するか、という問題はあるわけですが、一応、そう言われている、ということですね。

名越 食事のとき、すぐこういう行為が行われるんですか?

岡崎 もうあっという間に起きます。

名越 うーん、これは、テレビ的には、チンパンジーに比べてボノボが登場しにくい理由がよくわかるね(笑)。

岡崎 そうなんですね。だから日本の動物園にも、ボノボはいませんよね。あっという間にそういう状況になってしまうので、これを子どもに見せるのはいかがなものか、という話になるわけです。

名越 すごい話やねえ。

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名越康文
1960年、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、京都精華大学客員教授。 専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、1999年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。 著書に『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』(角川SSC新書、2010)、『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『質問です。』(飛鳥新社、2013)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。 名越康文公式サイト「精神科医・名越康文の研究室」 http://nakoshiyasufumi.net/

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