東芝の粉飾事件については、盛大に報道されておりまして、東芝の歴代3社長が辞任に追い込まれるなど騒ぎが広がっております。
個人的には、東芝は原子力関連事業を抱えているため、いきなりどかんと壊滅されると困る方面がいろいろ出るのかなあと邪推するところではありますが、エピソードとしての「チャレンジ」といい、歴代社長の軋轢といい、島耕作なんて所詮は作り事だったってレベルのドロドロが垣間見えて心が穏やかになります。
一方で、この大企業東芝の不祥事について、日経新聞が不可解な見解を掲げており、また、一部媒体では引き続き「不適切会計」という文言でストレートに「粉飾」というワードを避けているように見受けられ、これまた興味深いところです。
日経新聞曰く「損失隠しや利益の水増しが組織的に行われ悪質性が高くなると「不正会計」、刑事告発されて事件になれば「粉飾」と呼ぶのが一般的だ」。
いやいや、その当の日経新聞でさえ、刑事告訴ではなく課徴金勧告された段階ですでに「粉飾」というワードを使っているじゃないですか。
一方、リソー教育のときは「不適切会計」にしております。このあたりのワードの使い方には、おそらく日経なりの線引きはちゃんとあるんだと思います。が、そもそも「粉飾」という言葉自体があまりきちんとした定義の無い言葉ですので、このあたりは留意しないといけないと思うんですよね。
さて、磯山友幸さんが今回の東芝の件について「オリンパスより悪質」と仰っています。
オリンパスより悪質
東芝巨額粉飾「総額1562億」は
まったく信用できない
粉飾決算「東芝」が上場廃止にならない「奇妙な理屈」 - 磯山友幸
進行中の事案ですので、金融庁他担当方面から具体的な話が聞ける機会は少ないのも事実なのですが、思い切り「資本市場全体の問題」と断罪されています。仰る通りではないかと感じますが、さらに踏み込んで「東証では、上場前に公表していた業績見通しが、上場後の決算でいきなり大幅下方修正されるケースが相次いだ。ていのよい見通しの粉飾である」とまで書いておられます。
こうなってくると、中国のシャドウバンキングも日本市場の体たらくを見るとまったく笑えない状態なのも事実なんですよね。さて、どうしたものでしょう。
やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」
Vol.133<休眠口座とNPO助成はもう少しどうにか透明性確保できないかという話と、昨今止まりっぱなしのauキャリアメールがらみの感想>
【0. 序文】東芝「粉飾」はなぜきちんと「粉飾」と報じられないか
【1. インシデント1】「休眠口座」活用のNPO界隈、年間450億円相当のお金をどう扱うか
【2. インシデント2】KDDIの長期にわたる不具合が象徴するキャリアメールの行く末
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A
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