高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

最新テクノロジーで身体制御するバイオ・ハッキングの可能性

高城未来研究所【Future Report】Vol.404(2019年3月15日発行)より

今週は、金沢にいます。

今年、独自視点の医療本・健康本を出そうと考えておりまして、その協力を仰ぎに、金沢のクリニックにお邪魔しています。

今回のテーマのひとつが、血糖値。
つい最近まで、血糖値を突然上げないために野菜から食するのが正しいと言われてきましたが、どうやら、その説はすでに古く、いきなり肉や魚から食するほうが、血糖値をコントロールする上では正しい、といまは言われるようになってきました。

本当でしょうか?

僕は、人によると考えています。
いまから二年ほど前に、体内に埋め込むディバイスを使って、血糖値と食事の関係を徹底して調べたことがあります。
当時、日本で使用可能なディバイスは、内部メモリーに溜め込んだデータを医療機関にある母艦機からダウンロードするまで、データを見ることができませんでした。
そのため、いま食べている食事による血糖値の変動や、夜間低血糖による体調の変化などを、リアルタイムで見ることができなかったのです。

しかし、やっとiPhoneなどを利用し、リアルタイムで血糖値の変動を見ることが可能な「持続グルコースモニタリングシステム」が、日本でも数ヶ月前に認可されました。
本来は、糖尿病患者の高グルコースや低グルコースをモニタリングすることが目的のディバイスですが、これを利用し、個々にあった食事をリアルタイムで判断することが、やっとできるようになりました。

ご経験ある方も多いと思いますが、昼食をとった後の午後、突然眠気に襲われたり、体が怠くなることがあります。
この原因は、血糖値のコントロールにあり、これを食事を変えることで回避し、また、予測アラートによって、いち早く理解することが可能となるのです。

また、ダイエットやデトックス、そしてパワーナップでも、個々にあった食事を知ることで、短期間で効果を出すことができるようになると考えます(今回の実験目的のひとつです)。

IT業界ならずとも、ビッグデータやアーカイブこそが資産といわれる昨今、個々の身体データを個々が蓄積し、「本当の自分」を知ることが可能な時代に、僕らは生きています。

この結果は、これから一年近くかけてデータを蓄積し、協力いただいている医療機関の医師たちと連携しながら分析したのち、どこかでまとめたいと考えています。

いままで、コントロールができなかった自分を、最新テクノロジーを用いてコントロールする。

僕のバイオ・ハッキングへの興味は、当面尽きそうにありません。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.404 2019年3月15日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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