※高城未来研究所【Future Report】Vol.676(5月31日)より
今週はラスベガスにいます。
昨年も春に訪れましたが、この一年で明らかにホームレスの数が増加しています。
改めて数字を見ますと、2年前に対して40%もホームレスが増えており、警察が路上で物乞いしているのを撤去する姿を頻繁に見かけるようになりました。
ここまでホームレスが増えたのは、30年以上にわたってラスベガスを見てきた僕から見ても異様に思える光景です。
2023年1月に実施された南ネバダのホームレス人口調査(ポイント・イン・タイムカウント)では、ラスベガスで約一万人のホームレスが確認され、今年に入っても驚くべきスピードで急増していると報告されています。
現在、ホームレス人口の約60%が屋外や車両、砂漠、テントなどの非住宅環境に住んでおり、支援施設満員で収容できるキャパはもうありません。
また、女性や高齢者のホームレスが増加し、55歳以上の成人が全体の約33%を占めていますが、若年層ホームレスも急増中です。
この背景には、金融緩和の影響で家賃が急騰し、経済的困難に陥った人々が次々と路上に放り出されたことが挙げられます。
特にパンデミック中の家賃の平均増加額は安価なネバダ州でも500ドルに達し、支払い困難による退去者が続出しました。
果たして、これはラスベガスの影なのか、それとも米国の未来なのでしょうか?
さて、今週は昨年も参加した機能性医学総会に出席しています。
機能性医学(Functional Medicine)とは、身体全体のシステムのバランスと機能に着目し、個々の患者の健康問題の根本原因を特定して治療する先進的医療アプローチで、いまも毎年アップデートが続いています。
本年の主なトピックは、以下の通り。
1. 遺伝子情報の活用
遺伝子解析を用いて、各個人の遺伝的特徴に基づいた治療計画を策定し、特定の疾患に対するリスク評価や最適な治療法の選定を可能にします。
また、遺伝子の発現を制御するエピジェネティクスの研究が進むことで、環境やライフスタイルが遺伝子に与える影響を理解し、個別の治療アプローチをさらに精密化しています。
2. マイクロバイオームの徹底研究
腸内フローラ(マイクロバイオーム)が全身の健康に与える影響をあらゆる角度から研究し、そのバランスを改善することで、消化器疾患だけでなく、精神的健康や免疫機能の向上も目指します。
3. デジタルヘルスとテレメディスン
ウェアラブルデバイスやスマートフォンアプリを使用して、患者の健康データをリアルタイムでモニタリングし、治療効果の最適化を図ります。
4. ライフスタイル医学
食事、運動、睡眠、ストレス管理など、生活習慣全般の改善を通じて、慢性疾患の予防と治療を目指します。ここには最新の時間栄養学も含まれます。
5. 再生医療と細胞療法
幹細胞やその他の再生医療技術を用いて、損傷した組織や臓器の修復を目指します。
6. 環境医学
住環境や職場環境、日常的に接触する化学物質が健康に与える影響を評価し、環境改善を通じて健康を最適化します。
これらのアプローチは、より効果的で個別化された治療を提供するための重要な要素で、いよいよ高度医療はパーソナルの時代に本格的に入ったと実感するところです。
今回発表された最新の知見は、先日発表した8weeks.aiにも取り入れたいと思います。
しかし、それにしても暑い。
日々37度を超えています・・・。(シアトルは9度だったのですが)
高城未来研究所「Future Report」
Vol.676 5月31日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 大ビジュアルコミュニケーション時代を生き抜く方法
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。


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