やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

総裁選とかイベントとかいろいろあるけど粛々と進めて参る感じの告知と考え


 当メルマガ『人間迷路』も謎に読者の方が増えてきた一方、人気コーナーというか定常化してしまって久しい「3. 迷子問答」の読者質問が多くなり、なるだけ頂戴した質問はすべてメルマガ内で回答したいと思いながらも、お待たせしているのが一年を超える質問が出てきてしまいました。溜まり過ぎですね、すみません。

 もちろん、頂戴しました質問メールは、メルマガでの回答とは別に所見をお返ししているのですが、本格的な人生相談や事業に関する相談などもあって、おいそれと「じゃあメルマガで回答しておくね」とはいかないケースも多いのです…。

 そのうち、質問回答総集編みたいなのも号外でやりたいと思っていますので、お好きな方は正座してお待ちください。

 また、8月7日は白泉社の傑作マンガ『しょせん他人事ですから』のドラマ化記念セミナーが企画されております。誹謗中傷とか、ほんと許せませんよね。ということで、この私が総合司会する形で参画したいと考えております。華麗なるパカ弁の世界へいざないたいと存じますので、ご関心のある方はぜひお越しください。今回迄、オンラインは無料です。

【告知】8月7日『『しょせん他人事ですから~とある弁護士の本音の仕事』ドラマ化記念イベントやるよー

 で、当JILIS(情報法制研究所)では、このところ情報法や関連行政の問題に関するセミナーやシンポジウムなどイベントをやるたびに大変多くのお客様にお越しいただき、大変に盛況な感じとなっておりまして… 調子に乗っていろいろどんどん増やしていたら、会員が増えてとてもいい感じになってきました。乗るしかない、このビッグウェーブに。

情報法制研究所 最新情報

 というのも、情報法やデジタル立憲主義って新しい概念のようでいて実際には昔から端牌のように思われていた概念とも言えるし、情報法なんて法曹界でもゴミや芥の扱いであったのが、データ資本主義の高まりと世界的なプラットフォーム事業者の横暴でグローバリズム的な圧迫の前に私人間効力が見直され、国家があるべき社会の平等に対して介入すべき、なんて話がドーンと出てきた中で「実は情報法って大事じゃん」って一周回ってメインストリームに来まして。

 そんな中、目下進んでいる個人情報保護法の改正にあたっては、多くの人が情報法に対する理解を進めていき、かつて高木浩光鈴木正朝両先生と『ニッポンの個人情報』なんて本を出させていただいたころからすると明らかに新しいいろんな人が情報と法制に関して割と正しい意見を出すようになってきたのは画期的だと思うんですよ。

 それだけアメリカ型のプライバシーと欧州型の情報法制(データ保護)との仕組みに関して自分事として注目が集まり、整理が進んだことで、議論が進んできている面もあるのかなと感じるわけです。

プライバシーよりデータ保護(個人の感想です)|主婦ねこ

 他方、医療関係や子ども・学校関連の教育データでは進捗も未整備ですし、ここから先になにを問題視し、どういう解決に繋げていくかはかなり重要な問題になってきます。

 例えば、先日上場して、最新型あいりん地区アプリとまで揶揄されたタイミー社については、その酷評とは別に、データ保護の文脈とはまた違ったニーズが国民の中にあり、脱法的だけど価値のある「マッチング」によって労働法制をかいくぐり利益を出しています。ここでも労働者と労働法制のベクトルとは別に、労働に関するデータとそこから導き出される情報が価値を生んでいるという、古来リクルートが血道を挙げて頑張ってきた道筋にもまだまだ先があるんだと示しているものだと思うんですよ。

 労働者に関するデータにおいても教育データも創薬に使う病人の治験データも、割とその多くが既存法制の制度的な歪みが存在しており、情報法という別のベクトルからの光が当たると全然違う解法が見えてくる、なんてことは、私でさえ、ここ数年で気づいたことです。それまでは、鈴木正朝先生が2000個問題を提唱して何だあいつ呼ばわりされていたり、高木浩光さんが省庁訪問するたびに何だあいつ呼ばわりされていたり、しかしそういう伝道師的な積み上げがあってようやく「これって、実は重要なんじゃないか」となり、法制局の人や政党の政策担当者・議員にも振り返ってもらえて、それじゃ頭の隅に入れておこうかぐらいになってきたというのは画期的です。

 なもんで、イベントやると人が来るのは「情報法の界隈に社会性のあるテーマをブチ込むと、法務から行政からいろんな面倒くさい属性の交差点からの解がぼんやり見えてくる」からなのかなとも思っています。

 次回は、メルマガでも何度か取り上げている表現規制とクレジットカード会社の話題を取り上げたいと思っております。これって、プラットフォーム規制の枠組みでは往々にしてGoogleやAmazon、Appleの問題と思われがちなビッグテック(GAFAM)の界隈だけでなく、実はクレカのような決済業者なんかも中枢だったんじゃないのってことで、いままさに起きているヲタコンテンツの決済拒否による間接的な表現規制にも光が当てられるのではないか、と思うのです。

 このあたりをイシューとして、いろいろと社会問題と情報法というテーマセットでイベントをやってみたいと考えておりますので、ご無理のない感じでご参集いただければと存じます。

 あわせて、情報法制研究所では、目下個人や法人の賛助会員のあり方を更新しようとしています。こちらもあわせてご注目賜れますと幸いです。
 

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」

Vol.448 諸々の告知などを行いつつ、来たる自民党総裁選にまつわるあれこれやAI学習データが抱える問題点を語る回
2024年7月30日発行号 目次
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【0. 序文】総裁選とかイベントとかいろいろあるけど粛々と進めて参る感じの告知と考え
【1. インシデント1】俺たちの暑い夏「自民党大総裁選」よもやま話を熱く語る
【2. インシデント2】AI開発における学習の面倒くささ
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A

 
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やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

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