藤沢数希のメルマガ『週刊金融日記』第267号(2017年5月22日発行)より、冒頭部分をお届けします。
【第267号 目次紹介】
// 週刊金融日記
// 2017年5月22日 第267号
// クラミジア・パズルとビジネスでの統計の使い方
// トランプ大統領支持率急落
// 乃木坂の安くて美味しい海鮮居酒屋
// アフリカの部族で妻を24人持つ男の話
// 他
こんにちは。藤沢数希です。
僕の会社の決算も終わり一息つきました。それにしても、うちは粗利益率が高いので、法人口座にたまったお金がすごい割合でお国に召し上げられますね。なんか自営業の人は税金を払ってない、みたいなことがサラリーマンの間でまことしやかに語られていますが、それは売上1000万円もいかない人が、生活費なんかのレシートを必死こいて集めて経費をたくさん作っている的なしょぼい話でして、税務署もカスい事業者なのでいちいち調査しないだけのことです。日本に住んで事業をしていたら、節税なんてほとんどできませんよ。日本の居住者をやめて、税金の安い国に引っ越すしかありませんね。
先日、ダイヤモンド社で、労働法が専門の向井蘭弁護士と対談しました。たいへん面白い記事になっております。
●(第1回)離婚と解雇は、こんなに似ている。
http://diamond.jp/articles/-/128360
●(第2回)美女は離婚も綺麗にできる。仕事のできる人は労働裁判で揉めない。
http://diamond.jp/articles/-/128372
また、週刊実話に掲載されたインタビュー記事がウェブにも載りました。
●話題の1冊 著者インタビュー『損する結婚 儲かる離婚』
http://wjn.jp/article/detail/9981932/
『損する結婚 儲かる離婚』 http://amzn.to/2pZedDe
離婚も解雇も、前者は婚姻費用、後者は会社に来ない係争中の社員に月給を払い続ける、という点が共通しており、この継続するキャッシュアウトを断ち切るために多額の金銭を前払いして裁判を終結させるしかなくなる、という点が酷似しております。
なんとも恐ろしい話ですね。こんなセキュリティホールが日本の司法に空いていることを広めていいのだろうか、という迷いもないわけではありませんでした。こうしたことが広まって、モンスター配偶者やモンスター社員に悪用されていいのだろうか、と。しかし、こういうものはむしろ多くの人に知ってもらうことによって、世の中が良くなるのではないか、と考え出版に踏み切ったわけです。
具体的には、コンピ地獄は、アメリカのように1年間別居していたら、もう離婚は認めてあげる。解雇に関しては、裁判で争って確かに会社が不当であった、という結論になっても、また戻れというわけにはいきませんので、たとえば1年分の給料を払ってお終いにする、という金銭解雇の制度を導入するしかないと思うのですよね。お互いのために。
さて、今週も面白い投稿がいくつもありました。見どころは以下のとおりです。
―息子との月1回8時間の面会を有意義なものにしたい
―名古屋の恋愛事情をシェアします
―現代社会で権力を得るメリットはありますか
―アフリカの部族で妻を24人持つ男の話が興味深かったです
―100人切りをとっくに達成済のスーパーヤリチンの友人が長年連れ添った彼女にフラれて困っています
―妻子にミラコスタでくつろいでもらっている間に夜の夢の国でナンパしてきました
それでは今週もよろしくお願いします!
1.クラミジア・パズルとビジネスでの統計の使い方
第262号では、日本では全体としては経済格差が拡大していること、しかし、同時に男女の所得格差が縮小しており、その帰結として、多くの日本人女性が売春市場に移行していることを紹介した。このような変化は、結婚による長期独占契約で性を売るのが難しくなり、バラ売りしたほうが得するようになってきたことが背景にある。
『週刊金融日記 第262号 日本の結婚市場が崩壊し若い女性は売春市場へ』
こうした仮説を裏付けるひとつの証拠として、日本で梅毒感染者数が急増していることを挙げた。しかし、より感染力が強く、患者数が多いクラミジアについてはなぜか統計では上昇していなかった。このクラミジア・パズルについて、ひとつわかったことがあるので、まずはそのことを紹介したい。
先日、性感染症に詳しい医師とこうしたことを議論する機会を得た。そこでわかったことは、非常に単純なことだった。梅毒やHIVについては、検査で見つかった場合、すべて報告義務があるのだが、クラミジアには報告義務がないのである。だから、現場の医師たちの実感としては、クラミジアもかなり増えているようなのだが、統計には正確に出てこず、過小評価される傾向にあるのだ。
さて、ここでの教訓は何だろうか。それは、統計の取り扱いは、とても難しいということなのだ。その分野に関して、かなり精通していないと、こうした事情までよくわからなかったりする。
以前、トレーダーがどのようにポジションを取るか解説したことがある。以下、バックナンバーの第19号からの引用である。
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プロのトレーダーは、かなり細かく専門分野が分かれていて、自分の専門分野では一次情報を使います。もちろん公開情報です。日経新聞なんかが記事を書くにしても、それは政府が発表した数字についてだったり、会社発表の数字についてだったりしますね。ここで、自分の専門分野だと、どのタイミングでどの機関がどういうデータをどういうふうに発表するか完全に把握しています。そのデータに対する自分の読みがあって、その自分の読みがマーケットの期待とは違っていて、自分の読みに自信があれば、それに基づいてポジションを取ったりします。また、発表後にどこの新聞がどういう記事を書くかとか、どこのアナリストがどういうコメントするかとかまで、大体予想がついていて、さらに発表された情報がどういう経路で多くの市場参加者に行き渡って、マーケットはどういうスピードでどういうふうにその情報を織り込んで行くのか、ということも皮膚感覚でかなり正確に理解しているのです。
当然ですが、これだけ膨大な情報が日々発表され、日々マーケットに織り込まれていくわけで、その全てに詳しくなることはできません。世の中の「重要な」公開情報の100分の1にも詳しくなれません。自分の専門分野はほんの狭いところだけなんです。その狭い得意分野で手堅く儲けて、あとは適当に五分五分よりちょっとマシならいいかとあきらめ気分でポジションを取ったりするんですよ。
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これはビジネスでの意思決定に統計を使う場合も同様で、統計学の数学的なテクニックより、むしろデータソースに対する深い知識のほうがはるかに重要なのである。それは業界の慣習だったり、法規制だったりする。数学が問題になることは、ほとんどないのだ。
さて、今週は、統計をビジネスでどう使うか、ということがテーマだ。
さっそく、ひとつ目のポイントである。
(続きは藤沢数希のメールマガジン『週刊金融日記』第267号にてお読みください)
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