高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

波照間島への旅のコツ

高城未来研究所【Future Report】Vol.357(2018年4月20日発行)より


今週も日本最南端の島、波照間島にいます。

いよいよはじまる旅行シーズン前に、この島へのアクセスとベストシーズンにつきまして多くのご質問を頂戴しましたので、今週は「行く時期を間違えると大変」かつ「意外な島での注意事項」等々、波照間島につきまして、しっかりお伝えしたいと思います。

波照間島に行くには、石垣の離島ターミナルから1日に数便出ている船のアクセスしかありません。
しかし、この航路は、欠航率が高いことで有名です。
これが、第一の注意事項。

1月2月は、冬特有の北風(カーチバイ)が強く吹き、海上にも影響を与えるため欠航率5割を超えています。
もし、乗船できたとしても、西表より先は外海に出るため大揺れは必至で、乗客が骨折するなどの船内事故もあるほどです。
小さいお子様づれの家族旅行は、避けるほうが無難な時期だと思います。

3月は、かなり海が穏やかになりますが、まだまだ寒い時期で、4月は、年間でもっとも欠航率が低く10%以下になり、日中の気温が25度を超える日々が続きます。
まさに、いまの時期が、波照間に遊びに行くベストシーズンなのです。

5月後半から7月は梅雨の影響を受け、ふたたび欠航率は上昇します。
特に7月は台風の影響も受けやすくなるため、欠航率が5割を超えることも珍しくありません。

8月から10月前半は、台風の影響を本格的に受ける時期になる上に、観光シーズンのピークとなりますので、今度は船のチケットを買うのが難しくなります。
その上、船が欠航して島から出られない&宿もないゲストが溢れかえっており、港はカオスそのものです。
もし、夏に旅行をご予定されるなら、早めのチケット入手と、欠航に備え余裕あるスケジュールが大切です。

11月から12月は、「ミーニシ」と呼ばれる風が吹くようになり、再び欠航率がぐっと上がります。
特に11月下旬以降の欠航率の上昇は顕著で、ここ数年12月の欠航率は5割を超えています。

こう考えると、まともに波照間までたどり着け、ほぼ予定どり無事に帰路につけるのは、4月中旬からGW、そして10月後半ぐらいしかないのです。

このような「アクセスが困難な島」では、観光ビジネスの事業プランが立たないこともあって、島は驚くほどに観光化されていません。
竹富島が、年々原宿のように店舗が増え大混雑しているのとは真逆に、むしろ、閉じる店もあるほどです。
最近まで島内の地図は手書きでしたが、やっと公式な地図(いわゆる印刷物)が配布されました。
その分、海は最高に素晴らしく、美しくて有名なニシ浜はもとより、できれば、その先にあるペー浜まで行くのをオススメします。

さて、この島で次に困るのは、実はなかなかランチにありつけないことにあります。
ほとんどの宿は、朝食と夕食を提供しますが、昼食は提供しません。

今週、この島に10人を超える団体で来島しまして、バンバン撮影したり、大型ドローンを飛ばしたりという日々を続けていますが、島事情から昼飯抜きの日も珍しくありません。

この一週間ほどの滞在のなかで、島内の飲食店も共同売店もすべてまわりましたが、基本的に、どの店も「団体客お断り」の上に、時には11:30に行っても、すでにランチメニューが売り切れてしまう店もあるほどで、どこも少量しか対応できない様子です。
結局、同行者全員揃ってランチを食べることが一度もできない上に、いくつかの店に分散で入れればラッキーで、場合によっては、昼になにも食べることができない「ランチ難民」になってしまう可能性があるのです、まさかの波照間で。

つまり、この島は団体旅行に向きません。

持ち込むべきだったのは、大型ドローンではなく、玄米圧力炊飯器だったかもしれない、と、昼時になると考える今週ですが、もしかしたら、のんびり過ごし、1日2食の生活こそが(もしかしたら1日一食の生活こそが)、この島を楽しむ秘訣かもしれない、と考えるようになりました。
もし、石垣から日帰りをお考えの方で、島内でランチをご希望なら、何卒お早めに店舗に行くことをお考えくださいませ。

年々、観光客で大混雑する石垣島を中心とした八重山諸島の最後の楽園。
いよいよ波照間にも大型船が来島するようになり、残された「楽園の時間」は、長くないかもしれません。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.357 2018年4月20日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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