高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

2022年夏、私的なベスト・ヘッドフォン(アンプ編)

高城未来研究所【Future Report】Vol.589(9月30日)より

今週は、東京にいます。 

秋晴れが続く気持ちが良い季節になりましたが、この「秋晴れ」とは近著にも書きましたように、二十四節気の第16番目の節気「秋分」からはじまります。
「秋分」は昼と夜の長さがほぼ等しくなる日ですが、祝日法によって政府が定める「秋分の日」と同じとは限りません。
政治家が地方の地盤に少しでも長く帰れるように制定された2003年の「国民の祝日に関する法律」の改正以降、同じ9月の「敬老の日」をうまく使って、意図的に連休を作れるように策定されています。
それゆえ、国立天文台が定める「秋分日」と毎年政府が発表する「秋分の日」に違いが生まれるのです。
暦は、いつの世も為政者次第。
常々、自然に沿った暦で日々を送りたいと考えています。

さて、今週から秋葉原通いが復活しまして、遅くなってしましたが、引き続き「2022年夏私的なベスト・ヘッドフォン(アンプ編)」を発表したいと思います。

まずヘッドホンアンプとは、音声信号を増幅させ、イヤホン・ヘッドホンで迫力ある音量や高音質の音楽を聴けるようにする機器です。
実は、スマートフォンやコンピュータにも簡易なものが内包されていますが、こちらはあくまでもオマケ程度なものに過ぎず、ディバイスからデジタルデータ(つまり音楽)だけを取り出し、外付けのヘッドホンアンプで再生したほうが、はるかに良い音を奏でます。

この夏、南カリフォルニアと東京(秋葉原と中野)で数百本に及ぶヘッドフォンと同時に聴き込んだアンプのなかから、卓上(仕事用)とモバイル(持ち歩き用)の二種を僕なりに選びました。

まず卓上(仕事用)として選んだのは、Benchmarkの「HPA4」です(https://benchmarkmedia.com/collections/all-products/products/hpa4)。
SN比135dB、歪率0.00006%という超低ノイズ&超低歪データも驚きですが、実際に聴いてみるともっと驚きます。
テキサスのBenchmark Media Systems社は、どこまでも正確なインパルスレスポンスを追求し、歪みやノイズを限界まで抑える事で、個性的な音よりもスタジオ・モニタリングなどプロの現場で求められる透明性のある音を求めるユーザーの要望に応え続けてきたメーカーです。
ただし、ケーブルをはじめとする電源周りに気を使わなければ、「HPA4」本機の性能を完全に引き出せません。
本製品とコンビと言っても差し支えない「DAC3」も素晴らしい製品です。

続いてモバイル(持ち歩き用)に選んだのは、英国CHORDエレクトロニクスのDAC&ヘッドフォンアンプ「Mojo2」です(https://chordelectronics.co.uk/product/mojo-2)。
7年前に出た前作「Mojo」も愛用していましたが、今年ついに「Mojo2」が登場。
CHORDの製品は、市販のDACチップを使わず、104bitのカスタムDSPコア上で走るFPGAによってデジタル音源を解凍するのが特徴で、本来の音質を損なうことなくバッテリーレスで動作します。
特に独自のイコライザーカーブが秀逸で、僕が測定して聞きづらかった高域を見事に補正。
なにより小さいのが嬉しい(185gです!)。

また、いくら良質なヘッドフォンとアンプを選んでも、電気が不安定なアフリカ奥地の旅路に耐えられないようでは、僕にとって意味がありません。
そこで、数台持ち込みながら最終確認して戻ってきました。

かくありまして、アフリカ渡航でも各種ヘッドフォンを持ち込んでテスト。
評価は変わらず、仕事でのミックスやマスタリングには開放型のAudeze「MM-500」。
外で仕上げをする必要がある場合には、密閉型のダン・クラーク・オーディオの「STEALTH」。
聴覚補正トレーニングに日々使うWestone Audioの「MACH 80」。
そして、(主に機内)制作用にマーク・レビンソンの「No5909」を使い分けています。

新型コロナウィルス感染拡大で、スタジオに行かずに自宅で作業するようになって活況を呈した高級ヘッドフォン業界。

躍進は、もう数年続きそうです。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.589 9月30日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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