西田宗千佳×小寺信良対談 その1(全4回)

「ノマド」ってなんであんなに叩かれてんの?

ノマドしやすい「場所」をビジネスにつなげる

西田 なるほど。そこで、こういうことがしやすい場所というのをビジネスにする、それは僕、すごいアリだと思うんですよ。

小寺 「場所」の感覚ってアリですよね。英語の記事で見たんだけど、向こうのノマドは、ホテルのロビーで仕事してるっていうじゃない。一方でさ、日本はそういう状況にないじゃん、ホテルの作りが。

西田 うん。ホテルのロビーは、自分がホテルに用事がなかったら居ちゃいけない場所、ですよね。

小寺 ですよねえ。一応ね、公園と同じ公共の場所なんで居ていいってことになってるけど、なかなかね。そこで電源まで取って……ってことにはならないじゃないですか。ホテルのロビーで電源を取ったら盗電ですよね?

西田 うん、当然。日本では。

小寺 そういう法的な違いがあるから、なかなかできないというのもありますね。そういうビジネスという例では、北京に行った時に体験したんですけど、わりとそういうノマドワーカー向けの喫茶店というか、図書館と一緒になってるようなとこってけっこうあるんですね。あれ、もともとは本屋なのかな……ちょっと、正体がよくわかんないんだけど、三里屯(サンリートン)っていうちょっとオシャレな地域のすぐ近く。

学生がそこにわんさか居て、テーブルタップが床下にぐちゃーっとあって、Wi-Fiは毎日毎日パスワードが変わって、お茶を頼むとパスワードをくれるって世界。大学生たちがそこでめっちゃ宿題してるの。時折教授っぽい人も来て、学生と話したり。

西田 ほおお、なるほど。

小寺 これたぶん、環境とか物価の構造が違うということなんだろうけど、きっとみんな家に帰るよりはお店のWi-Fiのほうが速いんだと思うんだよね。

さらに向こうの人はモバイルルータって、全然持ってないんですよ。

現地在住の人から、北京は街中どこでもフリーのWi-Fiがありますからネットは不自由しないですよって聞いてたんだけど、東京みたいに歩いてればHotSpotが入るみたいなイメージかと思ったら、違うんですよ。要はパソコン広げるならお店入るだろ常考、って話。

どんな店でもたいていWi-Fiのサービスしてて、カフェもお茶一杯なんていくらもしないから、Wi-Fiのためにどんどん店が利用されるという相乗効果があるようです。お茶も頼んじゃったし、そこで30分とか1時間は居座る。そういう環境だと、もうノマドワークのほうがデフォルトなんですよね(笑)。

第二回に続く

小寺信良のメルマガ『金曜ランチボックス』vol.41「対談:Small Talk」より>

 

1 2 3

その他の記事

成功する人は群れの中で消耗しないーー「ひとりぼっちの時間(ソロタイム)」のススメ(名越康文)
パワーは正義。USB Type-C PDで変わるモバイル(小寺信良)
いまの銀座に「粋」な場所を求めて彷徨う(高城剛)
人生を変えるゲームの話 第2回<一流の戦い方>(山中教子)
世界的な景気減速見込みで訪れる「半世紀の冬」(やまもといちろう)
これからのクリエーターに必要なのは異なる二つの世界を行き来すること(岩崎夏海)
孤立鮮明の北朝鮮、どうにもならず製薬会社にハッキングして見抜かれるの巻(やまもといちろう)
季節の変わり目に江戸幕府の長期政権を支えた箱根の関を偲ぶ(高城剛)
「反日デモ」はメディアでどう報じられ、伝わったか(津田大介)
人はなぜ初日の出に惹かれるのか–数万年の心の旅路(鏡リュウジ)
成功を目指すのではなく、「居場所」を作ろう(小山龍介)
古くて新しい占い「ルノルマン・カード」とは?(夜間飛行編集部M)
21世紀に繁栄するのは「空港運営」が上手な国(高城剛)
技術はなんのために使うべきなのか(西田宗千佳)
相場乱高下の幸せとリセッションについて(やまもといちろう)

ページのトップへ