やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

『ズレずに 生き抜く』(文藝春秋)が5月15日刊行されることになりました


 拙著、『ズレずに 生き抜く』が5月15日に文藝春秋から刊行されることになりました。

 このところ、公私ともに慌ただしいところがあり、常勤の仕事がなくなってすっかり引退気分でいたものが、むしろスキマ時間にいろいろと詰め込まれて収拾がつかなくなっているところであります。

 人生、そんなもんなのでしょう。

ズレずに生き抜く 仕事も結婚も人生も、パフォーマンスを上げる自己改革

【告知】山本一郎の本が出ます! 『ズレずに生き抜く』(文藝春秋)5月15日あたりオンストア!

 書影が4月9日にAmazonに掲載されていたので、ついもう告知するべきかと思ってブログを書いたところ、他の著者から「そんな刊行日ずっと前から告知してもランキング上がらないし、そんな初心者みたいなことをベテランの山本さんがやらないでくださいw」と煽られる事態が発生して、私としては早く彼の家族に香典を渡せる日が来るといいなと思います。

 文春オンラインというのは不思議な媒体で、私がいままで知っている週刊誌やウェブ媒体ともまた違うハネ方をする、ある意味で得体の知れない、それでいて人間の知の本性を体現しているかのようなサイトになっています。毎週一本書かせていただいて、それなりにランキングに入ったりするわけなんですが、ランキング上位に文春が得意な芸能ゴシップが並んでいるところに社会派記事や時事、エッセイなどが中心の私の記事がぽつんと入ったりしているのを見ると「これは私は大丈夫なんだろうか」と思ったりも致します。

 先日、とある大手SNSの日本法人の方と会食をしているときに私の記事がFacebookで定期的にシェア上位に来る話をされまして、メディア担当が朝早く出勤しているときに私の記事が猛烈にシェアされるので「通勤時間の男」という不思議な異名を取っていると聞き、嬉しいのかそうでないのか良く分からないところがあります。

 それでも、いろんな媒体から執筆依頼も含めてお話を戴いたり、連載や企画モノのご相談があるのですが、さすがにこのメルマガ『人間迷路』を筆頭にヤフーニュース、文春オンラインとLINEブログ(BLOGOS)にnoteに、またお付き合いしているシナリオ案の作成などもあるため、これ以上はなかなか執筆量を増やすことも難しいなあと思っています。4Gamer.net向けの原稿も未完のままになっちゃっているし、みんなの介護はお陰様で大変ご好評を戴くものの込み入った話をすっきり書くのはあれはあれでなかなかの手間です。社会福祉法人の理事長さんたちの研修会に呼ばれて、話をしてみたら「記事の軽妙な感じとはまた違う、落ち着いた人物だったんですね」としみじみと皆さんに言われて私はどんな人間と思われているのだろうと怪訝に思うところもまたあり。

 それもこれも、私自身はいろんなことを経験し、さまざまな修羅場にあって悩み、感じることを体系化して活かし、良くないことがあっても次につながるように自分自身をモチベートしてきたからこそ、多くの人たちの織り成す問題について観察でき、テーマが尽きることなくあちこちで連載し続けることができたのだと思います。私自身は空っぽで感情的な人間に過ぎず、身の回りにいるいろいろな人や出来事を見ながら起きる問題を都度都度処理し続ける人生だったと思います。

 あんまり生き様本のつもりもなかったんですが、毎週書き溜めた自分の記事を読み直してみて、一つひとつの記事で念頭に置いていたものが次々と脳裏に蘇ってきて、ああ私は生きてきたんだなあと思うんです。私の人生のテーマに、もちろん「生きた証を残す」というものがあり、社会に何か爪痕を残してやりたいという気持ちもまたあるわけですけれども、その向こう側にある平安な魂の「揺れ」が、感性によって知覚され、理性によって文章に直されて原稿になっているんだなあ、というイメージがあるのです。

 だからこそ、忙しくて締め切りに追われることはあっても、書くことが無くて真っ白な画面の前で呆然とするようなことはもう10年ぐらい経験しておらず、一気に書き上げ、少し推敲するだけで編集者さんにお送りするというスタイルのまま現在までやってきました。これからもたぶん、そういう書き方を続けていくことでしょう。

 また、常勤の仕事こそゼロにしてリタイアしてみたものの、逆に何かあったら呼ばれる類のコンサル仕事が増え、これがまたみんな見事に丸焦げになっている炎上案件を抱えたり、必要なことがあるのに関係者が多すぎて整理がつけられなくてバッサリやれる人がいないとかだったり、これはこれでいままでの経験を活かしながら勉強しつつ進めています。引退するともうビジネス方面は錆びて枯れるのかなあと危惧している部分もあったのですが、むしろ少ない時間で生産的に整理したり判断の手助けをしたりする役割であるために精神的には重労働になりました。

 記事執筆であれコンサル仕事であれオンラインゲームであれ、誘われているうちが花であることは重々承知しています。本書にも書きましたが、46歳にもなって資産もなく仕事を探すために履歴書を書くような人生は送りたくなかったので、その意味では、少しは胸を張れる人生にできるのかなと思うところはあります。

 ただ、自分の身の回りや親父お袋を見ていると、健康を害して一気に駄目になってしまう人もいるし、ご縁があって初めて人が生きる価値という部分もあるし、まあなかなかむつかしいなあと思うわけです。振り返って、家族で笑い合って、たまには怒ったり泣いたりして、みな元気に食卓を囲んで晩餐を楽しんでいることこそが本当の幸せなんだろうなあ、これが失われることのないように、一歩一歩歩んでいくのが人生だとするならば、生きるための誠実とは何だろうかということも自分なりに理解や得心がいくようになった、というのが昨今です。

 自分で言うのも何ですが、タイトルの『ズレずに生き抜く』といっても、たぶんみんな、誰かしらどっかズレてるんですよ。そして、ズレていることに気づいているかいないかは別として、ズレているから個性であり、価値があったりする。それを分かって、必要なところでズレたりズレなかったりする必要があるんじゃないかなあと思うわけですね。

 そんなわけで、本書が刊行されるまでは、親父お袋の車椅子を押しながらLINEブログやnoteなどあちこちで本の宣伝を兼ねた論考を発表していきたいと思います。

 読者の皆さま、応援の程、よろしくお願い申し上げます。
 

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」

Vol.259 新著刊行のお知らせ、そしてこのところの政府の不思議な有り様に感じる疑問とこれからのネットの行方を憂える回
2019年4月26日発行号 目次
187A8796sm

【0. 序文】『ズレずに 生き抜く』(文藝春秋)が5月15日刊行されることになりました
【1. インシデント1】政府中枢に売国奴的な国賊行為を行うスパイは存在するか
【2. インシデント2】ネット上での自由な言論や表現行為には何らかの規制が必要なのか
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A

 
やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」のご購読はこちらから

やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

その他の記事

iPhone 12は5Gインフラの整備を加速させるか(本田雅一)
「モノ」と「場所」に拡張していくインターネット(高城剛)
Alexaが変えた生活(悪い方に)(小寺信良)
初夏のような沖縄で近づいてきた「転換期」を考える(高城剛)
AIの呪縛から解き放たれ、なにかに偶然出会う可能性を求めて(高城剛)
「一人でできないこと」を補う仕組み–コワーキングスペースが持つ可能性(家入一真)
「嫌われJASRAC」が地裁裁判で無事勝利の報(やまもといちろう)
ズルトラ難民が辿り着く先、HUAWEI P8max(小寺信良)
ゲームを通じて知る「本当の自分」(山中教子)
Netflix訪問で考えた「社内風土」と「働き方」(西田宗千佳)
「蓮舫代表辞任」後の民進党、野党、ひいては反自民について考える(やまもといちろう)
米大統領選に翻弄されるキューバのいま(高城剛)
「疑う力」を失った現代人(名越康文)
YASHICAブランドのスマホ向け高級レンズを試す(小寺信良)
執筆スタイルが完全に変わりました(高城剛)
やまもといちろうのメールマガジン
「人間迷路」

[料金(税込)] 770円(税込)/ 月
[発行周期] 月4回前後+号外

ページのトップへ