6月20日発売! 『「10年後失業に備えるためにいま読んでおきたい話』(城繁幸 著)
<これまでのお話>
プロ野球史上初の〝終身雇用球団〞連合ユニオンズへの出向を命じられた総務畑ひとすじのサラリーマン山田明男(45歳)。
宮崎でのキャンプはメディアからも注目を集めるが、ベテラン勢の間ではトレーニングのサボりが目立ち始めた。いよいよ新生ユニオンズはじめての実戦であるオープン戦が始まろうとしていた――。
第5話 オープン戦
キャンプがスタートして3週間ほど経過した。すでにスポーツ紙やテレビの記者たちはあらかたのチームを一回りし終え、だいたいの仕上がりを確認している。ユニオ ンズ管理部長の山田も、仕事柄、他球団の仕上がりには興味があるので、いろいろと記者を捕まえては情報収集している身だ。
「どうです? 今年のセリーグ優勝予想は」
もちろん、お世辞でもいいからユニオンズと言って欲しいのだが、現実はそう甘くはない。この道10年以上のベテラン記者たちの評価はほぼ一致していた。
「本命は巨人か中日。ダークホースで若手の多い阪神だね。この3つでまず決まりだろう」
「じゃ、じゃあ4位は?」
「うーん、カープかな」
「いや、俺は、良い助っ人を採ってきたヤクルトだと思うね」
「あの......じゃあ逆に聞きますけど、最下位はどこでしょうか?」
「そりゃあユニオンズだよ」
「そうそう。元から弱いくせに、そこから主力がごそっと抜けてるじゃん。勝てるわけがないよね」
という具合に、各記者とも「セリーグの最下位はユニオンズ」ということで一致している。自然、メディアの論調もユニオンズには冷たいものが多かった。
だが、2月下旬になり、オープン戦がスタートするや、状況は一変した。オープン戦初戦のソフトバンク戦、ユニオンズは双方合わせて10本の本塁打が飛び交う乱打戦を制し初勝利。その後の他球団とのオープン戦も6勝1敗1分けと大きく勝ち越したのだ。
特に4番中森はこの8戦だけで3本塁打12打点の活躍で、全盛期以上の仕上がり具合を見せつけている。
その他の記事
【代表質問】山本氏の『ボク言いましたよね』の真髄を知りたい(やまもといちろう) | |
岸田文雄さんは「6月14日解散・7月23日投開票本線」を決断できるのか(やまもといちろう) | |
「ヤングケアラー」はそんなに問題か?(やまもといちろう) | |
絶滅鳥類ドードーをめぐる考察〜17世紀、ドードーはペンギンと間違われていた?(川端裕人) | |
東芝「粉飾」はなぜきちんと「粉飾」と報じられないか(やまもといちろう) | |
夏の帰省に強い味方! かんたん水やりタイマーセット「G216」(小寺信良) | |
時の流れを泳ぐために、私たちは意識を手に入れた(名越康文) | |
温泉巡りで気付いた看板ひとつから想像できる十年後の街並み(高城剛) | |
今年もウルトラデトックス・シーズンがはじまりました(高城剛) | |
快適に旅するためのパッキング(高城剛) | |
沖縄、そして日本の未来を担う「やんばる」(高城剛) | |
サウンドメディテーションという新しい旅路を探る(高城剛) | |
現代日本の結婚観と現実の夫婦の姿(やまもといちろう) | |
歴史上もっとも幸運にめぐまれたある駆逐艦の話(甲野善紀) | |
「映画の友よ」第一回イベントとVol.033目次のご案内(切通理作) |